まーさ
今の育児と昔の育児がいろいろ変わったことは、多くのママが知ってると思います。そのためお姑さんから口を出されると、ついイラッとする人もいますよね。
もちろん育児は十人十色なので神経質過ぎも良くないんですが、今と昔で変わった育児のやり方の中には赤ちゃんの健康や命にかかわるものもあります。
そのため育児をするママは自分の親や先輩などの知識を大切にしつつ、今の新しい育児方法を正しく学ばないといけないんです。
- 今と昔の育児の仕方ってそんなに変わったの?
- 今でも勘違いされてる昔の育児のやり方ってどんなのがあるの?
今と昔の育児がどれくらい違うか知りたい人はこの記事をしっかり読んでください。そしてお姑さんの圧力に負けずに、正しい育児の仕方で赤ちゃんを守ってあげましょう。
授乳・食事に関する昔と今の育児
ミルク育児の方が栄養管理をしやすい
昔の育児では母乳よりも栄養管理がしやすいという理由で、ミルクで赤ちゃんを育てることが推奨されました。
粉ミルク全盛の昭和50年前後は、母乳育児比率が30%を下回っていたデータがあります。
今の育児では母乳の方が栄養価が高いだけじゃなく、初乳のタンパク質(ホエイ)に免疫機能を高めるIgAが含まれることがわかっているため母乳育児が推奨されています。
また母乳育児によるスキンシップも重要視されていて、アメリカ小児科学会やWHO(世界保健機構)は2歳までの授乳を推奨しています。
授乳は夜中でも必ず3-4時間毎に行う
昔の育児では新生児は必ず3-4時間毎に授乳しなければいけないとされました。そのため赤ちゃんが眠っていても、起こして授乳をしていました。
今の育児では授乳時間の目安は同じく3-4時間ですが、赤ちゃんを起こしてまで授乳する必要はありません。そのため授乳時間は1-5時間前後と差が出ます。
とくに母乳は赤ちゃんが欲しがったら飲ませても良く、水分補給のためにも積極的に飲ませるべきだとされます。(ミルクは量と回数である程度管理が必要)。
生後3-4ヶ月から果汁やスープを与える
昔の育児では離乳食が始まる前(目安は生後3-4ヶ月ごろ)に、果物を搾った果汁を与えた方が良いとされました。
当時の粉ミルクはビタミン類が不足していたので、母子手帳にも薄めた果汁やスープを勧める文が記されるほど赤ちゃんに果汁を飲ませるのは当たり前でした。
今の育児では米小児科学会が「生後6ヶ月未満の乳児に果汁を飲ませるべきではない」という勧告をしていて、離乳食前の果汁摂取は必要ありません。
離乳食前の赤ちゃんが果汁を摂取すると必要な栄養を阻害し、虫歯、下痢や腹痛、アレルギーの原因になる恐れがあります。
生後3-4ヶ月からスプーンに慣れさせる
昔の育児では離乳食前にスプーンを使うことで、早く赤ちゃんをスプーンに慣れさせた方が良いとされてました。
スプーンに慣れさせる理由は質感に対する違和感をなくすことで、吐き戻さずに離乳食を食べられる(飲み込める)ようにするためです。
今の育児では赤ちゃんの嚥下機能とスプーンの慣れは関係ないので、離乳食が始まる前にスプーンを使う必要はないとしています。
離乳食は生後4-5ヶ月から始める
昔の育児では産後6ヶ月から母乳の栄養価が下がるため、生後5ヶ月に離乳食を開始した方が良いとされました。
そのため早い家庭では、生後4ヶ月から離乳食を始めることも珍しくありませんでした。
今の育児では産後6ヶ月以降の母乳もあまり栄養価が下がらないことがわかってるので、生後6ヶ月から離乳食を開始するよう指導されています。
また生後5ヶ月の赤ちゃんは胃腸の機能が未熟な可能性があり、離乳食を異物と判断して吐き出すことがあります。
WHOでも生後6ヶ月間は母乳のみを推奨してるので、焦って離乳食を開始する必要はありません。
乳児は、生後6ヶ月間は母乳だけを摂取すべきであり、他の食品や液体は水すらも必要ない。その後、徐々に変化する栄養所要量を満たすために、乳児は、2歳か2歳過ぎまで母乳を継続しながら、適切な栄養価の安全な離乳食を摂取する必要がある。母乳育児の支援と、乳幼児にとっての母乳の利点を知らしめることが大切である
離乳食は親が噛み砕いてから与える
昔の育児では離乳食は親の口で
今の育児では離乳食をすり鉢などですり潰してから赤ちゃんに与えることが当たり前で、親が咀嚼すると虫歯菌(ミュータンス菌)の感染原因になります。
赤ちゃんにミュータンス菌が定着するのは1歳-2歳半ぐらいで、菌の接触回数が少ないほど虫歯リスクを減らせます。家族と赤ちゃんの食器を共有しないことも大切です。
1歳を目安に断乳した方が良い
昔の育児では1歳-1歳半までに断乳しないと、赤ちゃんが甘えん坊になる、自立心が育たなくなる、おっぱいに執着する、虫歯になりやすいなどと言われました。
今の育児では1赤ちゃんが自然に母乳を飲まなくなる卒乳までは、授乳を続けることが推奨されてます。突然の断乳には以下のデメリットがあります。
- 言葉で意思表現ができない早期の断乳は、癇癪を起こす可能性がある
- 断乳に慣れるまで、夜泣きやぐずりがひどくなる可能性がある
- 断乳をした罪悪感で、ママが余計にストレスを感じる可能性がある
- 断乳との因果関係は分からないが、甘えが強くなる可能性がある
- 断乳後しばらくの間、おっぱいが張って苦しくなる可能性がある
- 子供の情緒が不安定になり、離乳食を嫌がる可能性がある
はちみつを摂取した方が健康に良い
昔の育児では乳児は栄養価の高いはちみつを摂取した方が栄養補助もでき、健康に良いとされてました。
今の育児でははちみつに含まれるボツリヌス菌で、赤ちゃんがアレルギーによるショック死を起こす可能性もあります。
乳児は消化器官が未熟なので腸管内ではちみつに含まれる菌が発芽・増殖して毒素が産生され、乳児ボツリヌス症を発症する恐れがあります。
沐浴・入浴に関する昔と今の育児
出産直後に沐浴すると低体温を防げる
昔の育児では出産直後の赤ちゃんを産湯に入れて羊水、血液、胎脂などの汚れや産道で付着した細菌をきれい落として感染を防ぎ、体を温めて低体温を防いでいました。
今の育児では出産直後の赤ちゃんは乾いたきれいなタオルで血液や羊水だけを拭き取って、胎脂を落とさないようにする「ドライテクニック」が推奨されています。
出産直後に沐浴すると赤ちゃんの体が濡れて低体温になるだけじゃなく、赤ちゃんの体力を奪い、赤ちゃんを守る役割がある胎脂が洗い流されてしまいます。
胎脂は分娩時の潤滑、肌水分の蒸発と細菌感染の予防、低体温の防止、アトピー性皮膚炎の予防などの効果があります。
沐浴中は頭を支える手で両耳をふさぐ
昔の育児では中耳炎予防のために沐浴中は片手で両耳を塞いで、耳にお湯が入らないようにしていました。
片手で両耳を押さえるので女性の手ではなかなか耳に指が届かず、わたしもかなり苦労して押さえていました。
今の育児では沐浴中に両耳を塞ぐ必要はないと教えられます。無理に塞ぐと内耳や鼓膜を傷つけてしまいます。また赤ちゃんの耳に少々お湯が入っても中耳炎にはなりません。
ベビーパウダーであせもを予防する
昔の育児ではお風呂上がりのベビーパウダーは常識でした。ベビーパウダーは肌を乾燥させ皮膚の摩擦を減らす役割があり、あせもやおむつかぶれ予防に使われました。
今の育児ではお風呂上がりの赤ちゃんにはベビーローションなどを使って肌に潤いを与え、肌バリアが機能することであせもやおむつかぶれ予防をすることが増えました。
抱っこ・寝かしつけに関する昔と今の育児
乳児を抱っこしすぎると悪影響がある
昔の育児では赤ちゃん抱っこしすぎると、赤ちゃんが泣き止まなくなる、心肺機能が育たない、太りやすくなる、寝付きが悪くなるなど影響があると言われました。
今の育児では赤ちゃんが泣いたらすぐ抱っこして、抱き癖をつけた方が良いと言います。
赤ちゃんを抱っこすると赤ちゃんのストレスが軽減され、感情表現が豊かになり、親子の愛着関係を深められるなどのメリットがあります。
乳児は抱っこして車に乗せた方が安全
昔の育児では赤ちゃんを車に乗せる際に、ママが抱っこした方が安全と言われました。また、無理にチャイルドシートに乗せるとベルトで内臓が締まって危険だとされました。
今の育児では、新生児でもチャイルドシートに乗せないと道路交通法違反になります。
チャイルドシートを使用してない乳幼児は、チャイルドシートを正しく使用している乳幼児に比べて死亡率が3倍高いことがわかっています。
今のチャイルドシートは性能が上がって揺れを軽減する設計がされてるので、正しい使用法であれば最悪のリスクを回避できる可能性が高くなります。
頭の形が良くなるうつぶせ寝が良い
昔の育児では赤ちゃんの寝付きが良くなる、頭の形が良くなるなどの理由でうつぶせ寝が推奨されました。1980年代には、うつぶせ寝推奨本が何冊も発刊されています。
今の育児では窒息、不正咬合、乳幼児突然死症候群(SIDS)リスクがあるため、母子手帳にもうつぶせ寝をしないよう記載されています。
成長・病気に関する昔と今の育児
新生児は日光浴がくる病予防・黄疸の改善
昔の育児では赤ちゃんの「くる病(骨軟化症)」の予防、「新生児黄疸」の改善のために生後すぐから日光浴が推奨されました。
くる病とはビタミンDやカルシウムの不足で骨格形成が未熟になり、骨が柔らかくなったり、骨折しやすくなる病気のことです。
今の育児では以前ほど栄養不足の赤ちゃんがいないので、くる病予防や新生児黄疸の改善よりも強い紫外線に赤ちゃんを晒す危険性の指摘が増えました。
現在は日光浴ではなく新生児期の外気浴が推奨されるようになり、赤ちゃんとのお散歩は産後1ヶ月を過ぎてからが一般的です。
もちろん日光浴がダメなわけじゃなく、ビタミンDの生成や自律神経のバランスを整える効果はあります。
おむつはずしが早いと排泄機能が発達する
昔の育児ではおむつはできるだけ早くはずした方が排泄機能が発達すると言われました。目安は1歳過ぎにおまるでトイトレ開始、2歳までにおむつはずし完了のイメージです。
今の育児ではおむつはずしを早く行うことはなく、子供の成長に合わせてゆっくり進めるようになっています。
おむつはずしは、早く始めれば早く完了するわけじゃないです。お漏らしをしないよう身体機能がある程度成長して、子供が尿意や便意を感じなければうまくいきません。
布おむつを穿くとおむつはずしが早い
昔の育児では紙おむつより布おむつの方が、おむつはずしが早いと言われました。
今の育児では布おむつの方がおむつはずしが早いとは言い切れず、赤ちゃんの個性が強く関係していると言われています。
紙おむつは昔に比べてとても肌触りが良くなり、赤ちゃんがおしっこしても違和感を感じやすい作りです。
歩行器を使うと早く歩けるようになる
昔の育児では赤ちゃんが歩行器を使うと、早くひとり歩きできると言われました。
今の育児では歩行器を使っても赤ちゃんの歩行機能に影響はないと認識されています。むしろ歩行器は段差の転倒や転落事故が起きやすいので、アメリカでは販売禁止です。
わたしが子供のころはどの家庭にも歩行器がありましたが、今はまったく見ません。今のママは歩行器知らないんじゃないかな……(^_^;)
ひとり歩きは生後13ヶ月が平均で、1歳半までにほとんどの子ができるようになります。
3歳まで育児に専念した方が良い
昔の育児では子供が3歳までママが子育てに専念しないと、脳と心の成長に悪影響を及ぼす「三歳児神話」がありました。
今の育児ではママが子育てに専念できなくても、子供といっしょにいるときにどう接するかを考え、愛情を与え続ければ子供の成長に影響はないとされています。
3歳までの子供の心身の成長は大切ですが、子供とのスキンシップ、子供に対する反応、そして子ども(と)の遊び全てを母親が行なわなくても、子供の成長を阻害する要因にはなりません。
育児方法は今後も変わる
昔と今の育児方法が変わって困ることは、赤ちゃんの食や健康に関することですね。
まだうつ伏せ寝が良いと信じていたり、離乳食前に果汁を与えたがる年配者はいます。それがお姑さんだったら……なかなか面倒なお話です(^_^;)
ただお姑さんだったとしても、赤ちゃんの健康にかかわる育児の変化はしっかり説明して受け入れてもらうしかありません。
冒頭で話した通り、育児方法は家庭環境や赤ちゃんの個性によって十人十色です。また現在正しいと思われている育児方法も、今後常識ではなくなっていくかもしれません。
そのため、ママは赤ちゃんの健康や命にかかわる最新の育児常識をしっかり押さえつつ、あまり育児をベキ論で考えないようにして、ストレスが少ない育児を心掛けてください。