まーさ
もし赤ちゃんに果汁を飲ませる時期で迷ってるなら、飲ませないでください。離乳食前の赤ちゃんに果汁を飲ませるのは間違いです。
以前は離乳食前の赤ちゃんに果汁を飲ませることが推奨されてましたが、後の研究で果汁は飲ませない方が良いと変化したんです。
今まさに「赤ちゃんには果汁飲ませないとダメよ。」と親や姑から言われてるなら、それは古い情報です。
- 果汁を飲ませるべきから、飲ませるのはNGに変わった理由は?
- なんで離乳食前の赤ちゃんに果汁を飲ませちゃダメなの?
- いつからなら赤ちゃんに果汁を飲ませてもいいの?
赤ちゃんをリスクから守るのはママの約目です。もし「果汁飲ませないとダメ」と言われて困ってる人は、この記事を最後まで読んでください。
今と昔で果汁に対する考え方がどう変化したのかがわかりますよ。
目次
赤ちゃんに果汁が推奨されていた理由
まーさ
果汁が推奨されたのは1950年代-2000年ごろまでです。そのため今の40代-70代は、「離乳食前の赤ちゃんには果汁を飲ませるべき」という感覚を持った人が多いんです。
1950年代は日本で粉ミルクが生産できるようになり、病院出産が定着したので、栄養管理しやすいという理由で粉ミルクが普及しました。
粉ミルク全盛の昭和50年以前は、母乳育児が20%台にまで低下したデータがあります。
ただ当時の粉ミルクには、赤ちゃんに必要なビタミン類が足りませんでした。そのためビタミン類を補う目的で、赤ちゃんに果汁を飲ませるようになりました。
2008年以前の母子手帳には、「薄めた果汁やスープを飲ませていますか」という一文がありました。それくらい、果汁を飲ませるのは当たり前だったんです。
アメリカ小児科学会の果汁摂取に対する見解
まーさ
アメリカ小児科学会は、2001年に「子供に果汁を与えるリスクと適切な摂取方法についての勧告」を出しています。
子供に果汁を与えるリスクと適切な摂取方法についての勧告|アメリカ小児科学会
果汁摂取に関する結論
1.果汁は生後6ヵ月未満の乳児にはなんら栄養学的な利益はありません。
2.生後6ヵ月以降の乳児や子供に対して果汁は果物そのものに優るような栄養学的な利益はありません。
3.果汁や濃縮還元果汁はよくバランスのとれた食事の一部として摂取されるなら、健康的な食事の一部分となりえます。しかし、果汁飲料は栄養学的に果汁と同等ではありません。
4.果汁は脱水の治療や下痢の管理に用いる飲料としては不適切です。
5.果汁の過剰摂取は栄養障害に関係するかもしれません(栄養過剰や栄養不足)。
6.果汁の過剰摂取は下痢、鼓腸、腹部膨満、そしてう歯と関係する可能性があります。
7.殺菌されていない果汁は重篤な疾患を引き起こす病原体を含んでいるかもしれません。
8.各種の果汁は、小児の年齢に応じて適切な量が与えられる限り、問題となる臨床症状を引き起こすようなことはないでしょう。
9.カルシウムを強化した果汁は有効なカルシウム源となりますが、母乳や人工乳そして牛乳に含まれるほかの栄養素は存在しません。果汁摂取に関する勧告
1.果汁は生後6ヵ月未満の乳児に飲ませるべきではない。
2.乳児には哺乳びんや簡単に持ち運びのできる蓋つきのコップから果汁飲料をあたえない。これにより簡単に1日中果汁を摂取することを許すことになる。乳児には寝る前に果汁を与えてはならない。
3.果汁摂取量は1~6歳の小児では1日当たり4~6オンス(約110~170mL)に制限すべきである。7~18歳の小児では1日あたり8~12オンス(約220~340mL)または2盛り(サービング)に制限すべきである。
4.小児が果物そのものを食べることにより、1日の摂取量を摂るように推奨する。
5.乳児、小児、そして青少年は殺菌されていない果汁を飲むべきではない。
6.小児の栄養障害(栄養過剰と栄養不足)を評価する時に、保健医療従事者は摂取されている果汁の量を確認すべきである。
7.慢性の下痢、過度の鼓腸、腹痛、腹部膨満を伴う小児の評価をする時に、保健医療従事者は摂取されている果汁の量を確認すべきである。
8.う歯の評価をする時に、果汁の量と飲む方法を確認すべきである。
9.小児科医は、果汁と果汁飲料の使用について普段から話し合い、親に両者の違いについて教えるようにすべきである。
当時のアメリカでは赤ちゃんの果汁摂取信仰が強く、それが後々問題になりました。
米調査会社によると1歳までに90%の赤ちゃんが果汁を摂取して、1日の平均消費量は約2オンス(56ml)、2%の赤ちゃんは16オンス(約450ml)以上、さらに1%は21オンス(約590mL)以上摂取していました。
赤ちゃんに果汁を飲ませてはいけない理由
赤ちゃんに果汁を飲ませてはいけない理由をまとめますね。
果汁摂取で母乳不足になる
果汁摂取が推奨されたのは粉ミルクにビタミン類が配合できないからですが、技術の進歩によって粉ミルクが母乳に近い栄養価で作れるようになりました。
むしろ果汁には母乳ほどの栄養がないので、果汁を摂取すると赤ちゃんの母乳・ミルクが不足して栄養不足になる可能性があります。
虫歯のリスクが高まる
母乳に含まれる「乳糖」や粉ミルクの「オリゴ糖」は、虫歯になりにくい糖類です。さらに、母乳に含まれる「ラクトフェリン」は虫歯菌の増殖を抑える作用があります。
一方、果汁に含まれる「果糖」は、ショ糖や果糖ブドウ糖よりは虫歯になりにくい糖類ですが、乳糖やオリゴ糖に比べると虫歯の原因になりやすい糖類です。
下痢・腹痛の原因になる
糖類が多い飲食物は腸内で発酵して、軟便や下痢の原因になります。また果汁に含まれるクエン酸は、腸を刺激して腹痛や下痢の原因になる場合があります。
アレルギーの原因になる
赤ちゃんが果汁を摂取したときに下痢や腹痛を起こすのは、腸内発酵やクエン酸のせいだけじゃなくアレルギーのせいかもしれません。
臓器の機能が未熟な乳児ほどアレルギー反応が出やすくなります。
赤ちゃんにいつから果汁を飲ませて良い?
まーさ
赤ちゃんに果汁を飲ませても良いのは、離乳食が始まってからです。
ただし授乳は2歳まで推奨されてますし、生後10ヶ月からはマグを使って麦茶などを飲む練習を始めます。そのため、とくに果汁を飲ませる必要性はないんです。
ユニセフとWHOが「母乳育児を成功させるための10か条」を発表し、厚生労働省が「授乳・離乳支援ガイド」を策定したことで前ほど果汁信仰はなくなりました。
ちなみに今の母乳育児の割合は40%超で、昭和50年に比べると2倍になりました。また混合育児は50%を超えていて、ミルク育児は5%ほどに減っています。
今のママは信じられないかもしれませんが、赤ちゃんには母乳よりミルクの方が良く、離乳食前でも果汁を飲ませた方が良いという時代が何十年もあったんです。
今と昔の育児には多くの違いがあります。赤ちゃんを健康に育てるには経験だけじゃなく日々の勉強も必要です。
自分の目で最新の文献や資料を見て子育てに役立てることは大切なことですよ。今と昔の育児の違いを知りたい人は、以下を参考にしてください。