胎児によって個人差はありますが、臍帯(へその緒)の平均的な長さは50-60cm程で、太さは1-2cm程です。
ところが、平均とかけ離れて長い臍帯・短い臍帯の胎児もいます。
「へその緒が他の子よりも長いなんて、特別っぽくて思い出になりそう!」と考えるママはいないとは思いますが、臍帯が長いことや短いこと自体には、特に何も感じないかもしれません。
ところが臍帯が長過ぎると「
今回は臍帯が長い過長臍帯、臍帯が短い過短臍帯で赤ちゃんにどんな影響があるのか、どんな対処法があるのかについてお話します。
まーさ
赤ちゃんの臍帯(へその緒)は、胎児のへそと妊婦の胎盤をつなぐ管状の組織です。
臍帯の管の中には動脈2本と静脈1本が通っていて、その周りがワルトン
ワルトン膠質は弾力があり、動脈や静脈が簡単に傷つかないように守る役割があります。
臍帯の平均的な長さ・太さ
個人差はありますが、臍帯の平均的な長さは50-60cm程で、太さは1-2cm程です。
臍帯の機能・役割
臍帯の静脈には母体から胎児に栄養や酸素を含む血液が流れ、動脈には胎児から母体に老廃物や二酸化炭素を含む血液が流れることで、胎児の生命を維持し成長を助けます。
つまり胎児にとって臍帯は生きるために必要不可欠な管なので、臍帯異常が起こることは生命に危険を及ぼす可能性があるんです。
そんな臍帯異常が起こる可能性が高くなるのが、臍帯が通常よりも長かったり、短かったりする場合です。
過長臍帯と過短臍帯
まーさ
過長臍帯とは
過長臍帯とは、長さが75cm以上の臍帯のことです。(1メートル以上や70cm以上などの基準もある)。
母体から胎児に送られる血液は臍帯が長くても問題ありません。ところが胎児から母体に送る血液は、臍帯が長いと胎児の心臓に負担がかかることがあります。
また過長臍帯は多くの臍帯異常の原因にもなります。
過短臍帯とは
過短臍帯とは、長さが25cm以下の臍帯のことです。
臍帯が短いと分娩で膣入り口まで胎児が下りられなかったり、分娩に時間がかかって難産になる恐れがあります。さらに過短臍帯で、以下の悪影響が考えられます。
- 臍帯の血行不全
- 臍帯の断裂
- 胎盤の剥離
- 子宮内反症
どれも胎児ジストレスや死産だけじゃなく、胎盤に負荷がかかって母体損傷する可能性があります。母体に負荷があるとわかったら、緊急帝王切開に切り替えることもあります。
過長臍帯が原因で起こる臍帯異常
まーさ
臍帯が長いと胎内で持て余すので、臍帯異常を引き起こしやすい状態です。
臍帯巻絡
過長臍帯は臍帯巻絡を起こす可能性があります。臍帯巻絡とは全分娩の25%に起こる臍帯異常で、臍帯が胎児の首や身体の一部に巻き付く症状です。
臍帯が長く胎児の胎動が激しいほど臍帯が身体に巻き付く可能性が高く、臍帯が巻き付くことで臍帯内の血管を圧迫して血流が弱まる恐れがあります。
臍帯脱出
過長臍帯は臍帯脱出を起こす可能性があります。臍帯脱出とは全分娩の0.5-0.8%に起こる臍帯異常で、分娩時に胎児より先に臍帯が出てしまう症状です。
臍帯脱出にはいくつか原因がありますが、臍帯が長いと分娩前に臍帯が子宮口から出やすく、分娩が進むと臍帯が産道と胎児に圧迫されて血流が止まり無酸素状態になります。
臍帯真結節
過長臍帯は臍帯真結節を起こす可能性があります。臍帯真結節とは全分娩の0.5-1%に起こる臍帯異常で、臍帯が絡んで結び目ができる症状です。
臍帯真結節は臍帯が長く胎児の胎動が激しいほど結び目ができやすく、一度できた結び目が解けることはほぼありません。
出産まで結び目が緩ければいいんですが、胎児の胎動で固結びになると血流が止まり、胎児ジストレスや胎児死亡を起こしてしまいます。
過長臍帯・過短臍帯の原因や防ぎ方は?
過長臍帯と過短臍帯はどちらも原因がはっきりわからないので、事前に防ぐ方法はありません。
また過長臍帯と過短臍帯は妊婦健診のエコーで発見できますが、発見したところでどうすることもできません。
ただし過長臍帯・過短臍帯が事前にわかっていれば分娩時に発生するリスクも踏まえられますし、医師と積極的に話をすることもできます。
臍帯異常は事前の発見が難しいものばかりです。そのため過長臍帯や過短臍帯がわかっているだけでも、臍帯異常のリスクを認識していろんな覚悟をができます。
過長臍帯と過短臍帯が事前にわかっている場合は、そのリスクがある心の準備をして、臍帯異常を発見することができないか考えてみましょう。