胎児の胎動が激しいことは、少々痛くても、たまに睡眠を邪魔されたとしても、ママにとっては嬉しいことですよね。
ところが過長臍帯(へその緒が75cm以上あること)の胎児がママの胎内でぐるんぐるん暴れまわると、臍帯異常が起こりやすくなります。
有名な臍帯異常は、へその緒が胎児に巻き付く
そんな臍帯異常の中でも珍しい症状として、へその緒に結び目ができる「
今回は、臍帯真結節の原因や確率、また臍帯真結節に似た臍帯偽結節との違いについてお話します。
臍帯真結節とは
まーさ
臍帯真結節とは、胎内でへその緒に結び目ができてしまうものです。臍帯真結節は臍帯異常の中でも珍しくかつ危険です。下の写真を見るとイメージしやすいと思います。
臍帯真結節の原因
このような結び目は、へその緒が通常より長い過長臍帯にしか起こりません。へその緒が長く、胎児の胎動が不規則で激しいことでたまたま絡まってしまいます。
臍帯真結節ができても結び目が緩やかならいいんですが、胎児の激しい胎動で万が一へその緒が引っ張っられて固結びになると、高い割合で胎児ジストレスの原因になります。
臍帯真結節が起こる確率
臍帯真結節が起こる確率は明らかになってませんが、国立成育医療研究センターの産科統計によると1,605の分娩例のうち臍帯真結節の件数は3件だったそうです。
つまり全分娩の0.18%の確率で臍帯真結節が起こるということです。
ただし臍帯真結節が必ずしも胎児死亡や胎児ジストレス、新生児仮死につながるわけではないですし、臍帯真結節が固く結ばれる確率とも別物です。
実際にネットで出産体験談を調べてみると、臍帯真結節でも後遺症も残らず障害もなく無事に産まれてきた赤ちゃんも多くいるようです。
臍帯真結節の発見・予防・治療法
臍帯真結節を事前に防ぐ方法はありません。また、エコーなどを使っても臍帯真結節を発見することはほぼできません。
そのため胎児ジストレスを起こし、結果的に胎児が胎内で死亡した原因が臍帯真結節だったということがあり得ます。
また分娩中に胎児の心拍数が弱くなり、これ以上自然分娩が不可能だと判断して緊急帝王切開を行った結果、臍帯真結節だったということもあります。
臍帯偽結節とは
まーさ
臍帯真結節と似た名前で、「
Comprehensive Imaging Review of Abnormalities of the Umbilical Cord|WOMEN’S IMAGINIG
一見結び目に見える腫瘤(こぶ、膨らみ、細胞の塊)がありますが、臍帯偽結節は臍帯真結節と違ってへその緒に結び目ができる症状ではありません。
これはワルトン膠質(臍帯の管の中を満たすゼリー状の物質)の一部が固まったり、血管が臍帯の中で偏ってできただけの膨らみなので、胎児に影響はありません。
臍帯異常に対する心構え
臍帯異常は妊娠出産の過程で一定の確率で起こります。臍帯異常は妊娠中の発見が難しく、万が一発見(予想)できても出産前に治療することはできません。
また臍帯異常が原因で胎児に影響があったとしても、誰が悪いというものではありません。
このような話をすると妊娠が怖く思えますが、平成26年の周産期死亡は1000対で2.5人(内訳は妊娠満22週以後の死産1.8人+早期新生児死亡0.7人)、つまり0.25%の確率です。
この周産期死亡の割合は、わたしが産まれた1970年代と比べると10分の1にまで減少しています。
妊娠・出産には必ずリスクが伴います。そのうえでわたしたちが産まれ、そのときより高い医学の技術で今の妊婦や胎児が守られていることを認識して出産に臨んでください。