まーさ
まぁ、お金はかかりますね。単純な入院・出産費用だけでも30-40万円台、個室など入院時の状況次第で50-60万円台までが1つの目安です。
「え……やっぱり子供は少し後にしよう……。」という人たちを助けてくれるのが、公的医療保険が提供する「出産育児一時金」という補助制度です。
ママ友と話をすると、妊娠するまで出産育児一時金を知らなかった人はけっこういます。
まーさ
出産育児一時金には「直接支払制度」があるので、出産費用を先払いしないで出産育児一時金と相殺できることを知らないママもたくさんいました。
「出産育児一時金」「乳幼児医療費助成制度」「児童手当」など、妊娠前に出産や育児の補助制度を知らないことは、確実に家庭の出産意欲を下げます。
もし本当に国が少子化対策をしたいなら、徹底して出産や育児を助ける制度の存在を認知させることが大切です。では出産育児一時金とはどんな制度なんでしょうか。
注意全て2016年5月現在の情報です。
目次
出産育児一時金とは
まーさ
公的医療保険の運用団体は社会保険(健康保険)なら「協会けんぽ」や「健康保険組合」、国民健康保険なら「地方自治体」のことです。
通常の出産なら出産育児一時金で入院・出産費用を賄えますし、補助金が余ることもあるので、結婚する夫婦にはすぐにでも知ってもらいたい制度です。
ただし賄えるのは出産費用のみです。その他必要な妊婦健診(助成制度がある)や出産準備は、また別に費用がかかります。
出産育児一時金の受給条件
出産育児一時金は以下の2つの条件を満たせば、誰でも申請して助成金を受給できます。
- 妊婦自身が社会保険または国民健康保険に加入していること
- 妊婦の扶養者が社会保険に加入していること
- 妊娠12週0日(85日)を過ぎていること
ただし、産科医療補償制度に未加入の医療機関で出産した場合は、出産育児一時金の額が42万円ではなく40.4万円の支給です。
産科医療補償制度に加入する全国の病院・診療所の割合は99.9%、助産院は100%なので、ほとんどの人が42万円受給できます。確認したい場合は、以下から検索してください。
また出産育児一時金は、条件を満たしていれば戸籍法が定める「死産」でも受給可能です。詳しくは以下を参考にしてください。
出産育児一時金の手続き・申請先
まーさ
出産育児一時金の申請先は、加入する保険の種類で違います。
妻が専業主婦、夫が会社員(社保)の場合
妻が専業主婦またはパート年収が130万円未満の場合は夫の扶養家族に入ってるはずなので、夫が会社で加入する協会けんぽ(健康保険組合)などに申請します。
妻が会社員(社保)の場合
妻が会社員で健康保険に加入している場合または会社を辞めて6ヶ月以内の場合は、妻の会社(元会社)で加入する協会けんぽや健康保険組合などに申請します。
夫が自営業(国保)の場合
妻が専業主婦で夫が自営業の場合は、国民健康保険に申請します。夫が自営業でも株式会社経営で社会保険加入の場合は、協会けんぽや健康保険組合などに申請します。
妻が自営業(国保)の場合
妻が自営業(個人事業主)の場合は、夫が会社員でも国民健康保険に申請します。妻が株式会社を経営している場合、年収が130万円以上の場合は社会保険加入なので、協会けんぽや健康保険組合などに申請します。
出産育児一時金の直接支払制度とは
まーさ
と不安になる人も多いですね。ただ出産育児一時金は、立て替え払いしてから出産育児一時金を受け取る方法、出産育児一時金と出産費用を相殺する方法があります。
出産育児一時金で出産費用を相殺する方法が「直接支払制度」と「受取代理制度」です。
直接支払制度とは
直接支払制度とは、出産予定の医療機関が妊婦の代わりに出産育児一時金の請求を行う制度です。手続きは医療機関が用意した同意書に署名するだけなのでとても楽ちんです。
医療機関に直接支払われるので、退院時に出産費用が相殺されます。出産費用が42万円以内なら、ありがとうございます。お世話になりました。」と言って帰るだけです。
ただし医療機関が妊婦の代わりに手続きをするので、代行手数料が数万円かかることがデメリットです。そのため代行手数料を含めて出産費用が42万円に収まると良いですね。
受取代理制度とは
受取代理制度とは、直接支払制度と同じく妊婦の代わりに医療機関が出産育児一時金の請求を行う制度です。
ただし必要な書類は自分で用意して、協会けんぽ(健康保険組合)や自治体に書類を提出します。そのため代行手数料はかかりません。
わたしは面倒がいやだったので、直接支払制度にしました。というより、直接支払制度しか行っていない医療機関が多いので要確認です。
直接支払制度の差額の取り扱い
出産費用が42万円を超えた差額分は、退院時に窓口で支払います。支払う出産費用の差額分には、健康保険の3割は適用されません。
出産費用が42万円を超えなかった場合は、退院後に協会けんぽ(健康保険組合)などに必要書類を提出すれば、2ヶ月ほどで差額分が振り込まれます。
詳細は出産先の医療機関や所属する健康保険制度の保険者に聞いてください。
出産育児一時金の流れと注意点
まーさ
出産育児一時金までの流れ
では出産育児一時金の直接支払制度を踏まえて、出産の流れを押さえましょう。
- 妊娠発覚!健康保険証を提示して出産まで12-16回ほど妊婦健診
- 妊娠84日を経過!病院などで直接支払制度の手続き
- 出産予定日が近づいたので入院
- 無事出産!おめでとう!
- 保険者から支給決定通知書が届く
- 42万円を超えた場合は差額の支払い、下回った場合は保険者に返戻請求
という具合。かんたんですね。出産育児一時金の手続きは出産先の医療機関から言われますが、出産前のバタバタは避けたいので、忘れず早めに済ませましょう。
医療機関によっては流れが少し変わる場合もあるので、先に「直接支払制度を使いたいんですが。」と確認をすると良いですね。
出産育児一時金の注意点
出産育児一時金の注意点をいくつか押さえておきましょう。
申請期限はいつまで?
一般的には入院・出産費用と出産育児一時金を相殺する人が多いですが、入院・出産費用を先払いして後から保険者に申請する人もいます。
42万円の支給なので申請しない人はいないとは思いますが、もし万が一忘れても出産日(死産日)の翌日から2年以内に申請すれば、出産育児一時金は受け取れます。
会社を退職した場合は?
旦那さんが会社を退職した場合、妊婦自身が会社を退職した場合、健康保険と国民健康保険のどちらに出産育児一時金の申請をすればいいか迷いますよね。
たとえば協会けんぽでは資格喪失後の給付として、以下の条件を満たしていれば出産育児一時金が受給できます。
- 妊娠4ヵ月(85日)以上の出産であること
- 資格喪失日の前日(退職日)までに継続して1年以上被保険者期間があること
- 資格喪失後(退職日の翌日)から6ヶ月以内の出産であること
なお保険資格喪失後の協会けんぽからの給付は、被保険者(労働者)自身の出産が対象で、専業主婦の妻や年収130万円未満の妻の出産は対象外です。
また直接支払制度を利用する場合は、協会けんぽが発行する「健康保険被保険者資格喪失等証明書」を記載して医療機関に提出します。
当たり前ですが、健康保険と国民健康保険の両方から受けることはできません。
マイナンバーは関係ある?
健康保険(協会けんぽ)から出産育児一時金を受給する場合、マイナンバーは必要ありません(2016年6月時点)。健康保険組合はそれぞれ問い合わせて確認してください。
国民健康保険から出産育児一時金を受給する場合は、自治体によって対応がわかれるので、事前に確認してください。
健康保険組合の付加金ってなに?
健康保険組合が提供する健康保険には、出産育児一時金に加えて「付加金」を整備していることがあります。要は「出産おめでとう給付金」です。
付加金の申請手続方法や金額は組合によって変わりますが、10万円近い付加金もあるので必ず確認してください。
保険料の未納がある場合は?
社会保険や国民健康保険の保険料に滞納・未納がある場合でも、出産育児一時金を受け取れます。ただし故意の未払いで悪質とみなされる場合は、先に支払いを求められるケースもあるそうです。
シングルマザーはどうなるの?
シングルマザーもいくつかケースがあります。正社員として働いている場合は社会保険加入なので、協会けんぽや健康保険組合から出産育児一時金が支給されます。
会社に所属していない個人事業主やパートは、国民健康保険加入なので自治体から出産育児一時金が支給されます。
「どこにも保険料払ってないんだけど……。」という人は、親の被扶養者かもしれないので親に確認してください。もちろん出産育児一時金は受け取れます。
妊娠・出産・育児を助ける制度は多い!
赤ちゃんが欲しい夫婦でも、家計を考えて先延ばしにする人はたくさんいます。
赤ちゃんを出産した夫婦も家計を何とかやりくりしている家庭がほとんどです。若い夫婦はなおさらで、余裕のある夫婦は一部の人たちだけですね。
だからこそ「赤ちゃんが欲しい!」と考えている夫婦は、出産育児一時金のような補助金制度をちゃんと知っておきましょう。
国も少子化対策のために広く認知する義務はありますが、赤ちゃんが欲しいのは本人です。出産に限らず「○○したい」と考えるなら、情報を集めるのは基本ですよね。
出産育児一時金の他にも、生活を助ける制度はたくさんあります。まずは直近の妊娠・出産・育児に必要な制度を知るだけでも、将来の家庭像を描く役に立ちますよ。
妊娠・出産に必要なこれらの制度・給付金も押さえておいてください。