まーさ
という理由で育休の期間を迷っているパパやママは多いと思います。やっぱり一番心配なことは育休期間中の生活です。
出産手当と育児休業給付金はもらえますが、産休で98日・育休で308日間フルの休暇を取得すると、1年1ヶ月ほどの収入が6割程度に減ってしまいます。
ただ「手当や給付金はありがたいけど、やっぱり6割だと生活が厳しいから……。」と言う人の中には、産休・育休期間中の社会保険料が免除されることを知らない人がいます。
社会保険料程度か……と思わないでください。計算するとわかりますが、これはかなりありがたいことです。
そこで今回は、産休・育休期間中の社会保険料が免除になる「産前産後休業保険料免除制度」「育児休業保険料免除制度」の手続き方法や免除金額の目安についてお話します。
目次
産前産後休業保険料免除制度とは
まーさ
産前産後休業保険料免除制度とは、産前産後休業の期間に被保険者と会社の両者が社会保険料(厚生年金保険料と健康保険料)の支払いを免除される制度です。
さらに被保険者資格も変更されないので、社会保険料免除期間中も保険料を納めたものとして扱われます。つまり将来もらう年金額が減ることがないんです。
産休の社会保険料免除の期間
社会保険料が免除される期間は、産前休業開始月から産後休業終了予定日の翌日の月の前月まで(産休終了日が月末の場合は産休終了月まで)です。ややこしいですね……。
社会保険料は日割り計算しないので、出産予定日によっては社会保険料の免除額に差がでます。以下、社会保険料免除期間の例です。
社会保険料免除期間の例1)8月10日が出産予定日の場合
- 産前休業開始日|06月30日
- 出産予定日|08月10日
- 産後休業終了日|10月05日
産休期間は上記の様に6月30日-10月5日になり、社会保険料の免除期間は6月、7月、8月、9月になります。
社会保険料免除期間の例2)8月5日が出産予定日の場合
- 産前休業開始日|06月25日
- 出産予定日|08月05日
- 産後休業終了日|09月30日
産休期間は上記の様に6月25日-9月30日になり、社会保険料の免除期間は6月、7月、8月、9月になります。
社会保険料免除期間の例3)8月4日が出産予定日の場合
- 産前休業開始日|06月24日
- 出産予定日|08月04日
- 産後休業終了日|09月29日
産休期間は上記の様に6月24日-9月29日になり、社会保険料の免除期間は6月、7月、8月になります。
このように社会保険料の免除期間は、出産予定日によって3ヶ月と4ヶ月にわかれます。出産予定日は変えようがないため、社会保険料免除期間が短くなっても仕方ありません。
産休の社会保険料免除の手続き
産休申請を会社にした際に、以下の書類を渡されます。会社で以下の書類を取り扱ってない場合は、リンク先(日本年金機構)からダウンロードしてください。
健康保険・厚生年金保険産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届
「産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届」に必要事項を記載して会社に提出すれば、残りの手続きは基本的に会社が行って年金事務所に提出してくれます。
産休の社会保険料免除の申請期限
会社が年金事務所に社会保険料免除を申請をできる期間は、産休期間中です。会社から必要事項記載の期限を聞いて、それに従ってください。
「産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届」は、基本的に産休前(産休申請の際)に会社に書類を提出する場合と出産後に会社に書類を郵送で提出する場合があります。
前者の場合は出産予定日ベースで社会保険料免除をしてるので、実際の出産日とズレた場合はもう一度「産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届」の修正手続きが必要です。
後者の場合は「産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届」に実際の出産日を記載して、会社に郵送します。
どちらも社会保険料免には産休中の手続きが必要なので、遅れずに提出しましょう。詳細は以下を参考にしてください。
育児休業保険料免除制度とは
まーさ
育児休業保険料免除制度とは、子供が1歳前日までの育休期間に被保険者と会社の両者が社会保険料(厚生年金保険料と健康保険料)の支払いを免除される制度です。
こちらも産前産後休業保険料免除制度と同じく被保険者資格が変更されないので、社会保険料免除期間中も保険料を納めたものとして扱われます。
育休の社会保険料免除の期間
社会保険料が免除される期間は、育休開始月から育休終了予定日の翌日の月の前月まで(産休終了日が月末の場合は産休終了月まで)です。産休のときと同じです。
また産休期間中の社会保険料免除と同様、日割り計算はしません。
期間の考え方も産休と同じなので、子供が1歳前日まで育休を取ると最大10ヶ月、または11ヶ月間社会保険料免除になります。
育休の社会保険料免除の手続き
育休の申請をした際に、以下の書類を渡されます。会社で以下の書類を取り扱っていない場合は、リンク先(日本年金機構)からダウンロードしてください。
「育児休業等取得者申出書」に必要事項を記載して会社に提出をすれば、残りの手続きは基本的に会社が行って年金事務所に提出してくれます。
育休の社会保険料免除の申請期限
会社が年金事務所に社会保険料免除の申請する期限は以下の通りです。
- 通常の育休の場合
1歳未満の子供を養育するための育児休業の期間中 - 育休の延長をした場合
1歳から1歳6ヶ月までの子供を養育する育児休業の期間中、または1歳6ヶ月から2歳前日までの子供を養育する育児休業の期間中 - 公務員等の育休の場合
1歳から3歳前日までの子供を養育する育児休業の制度に準ずる措置の期間中
つまり社会保険料免除をするには、どの場合でも育休期間中の申請が必要なんです。ただし会社から必要書類の提出期限がある場合は、それに従ってください。
一般的には「産前産後休業取得者申出書」「育児休業等取得者申出書」は同時期に会社に提出して、それぞれの期間に応じて手続きが行われます。
ちなみに3歳までの育休は、公務員の他、民間企業が独自で育休取得期間を設けている場合も社会保険料の免除対象になる特例措置です。
産休・育休の社会保険料免除の注意点・疑問点
まーさ
産休・育休中に給料をもらってる場合は?
産休・育休期間中に会社から給与・賞与が支給される場合も社会保険料は免除されます。
早産等で出産が早まった場合は?
早産で出産日が早まった場合、産休開始日は変更じゃなく減算になります。そのため社会保険料免除期間が早まることはありません。
出産日が出産予定日より3日間早まった場合は、早まった3日分が産前休業の6週間から減算され、産前休業が39日になります。
死産してしまった場合は?
出産とは妊娠85日(4ヶ月)以後の正産(早産)、死産(流産)、人工妊娠中絶のことなので、産後休業期間中も社会保険料は免除されます。
産後休業期間や育休期間を短縮した場合は?
産後休業は取得者が望み、医師が許可すれば休暇を6週間に短縮できます。また申請を出せば育休期間は短縮できます。その場合は期間に合わせた社会保険料免除です。
会社は「産前産後休業取得者申出書」を年金事務所に提出しますが、その書類には変更前の休業日と変更後の休業日の記載欄があるので、記載された期間で判断します。
育休期間を延長した場合は?
育休期間を1歳から1歳6ヶ月まで、1歳6ヶ月から2歳に延長した場合は延長した期間に応じて社会保険料が免除されます。
延長するには、会社を通じて「育児休業等取得者申出書(新規・延長)」を年金事務所に提出します。また、申出書は育休期間の延長の度に提出が必要です。
育休開始月と終了月が同じ場合は?
たとえば8月5日に育休を開始し8月25日に終了した場合、社会保険料は免除されません。
8月5日に育休を開始し8月31日(月末日)に終了した場合は、「育児休業開始月から育児休業終了予定日の翌日の月の前月まで」に該当するので8月分の社会保険料は免除されます。
社長や取締役等も保険料免除対象になる?
会社の社長やその他の取締役でも、産休・育休期間中の社会保険料(厚生年金保険料と健康保険料)は免除されます。
他に社長などが関係するものとして、「出産育児一時金」「出産手当金」は健康保険料を払ってるので支給されますが、「育児休業給付金」は雇用保険料を払っていないので支給されません。
社会保険料免除で得する金額の計算
まーさ
社会保険料は場合によって金額が変わるので細かい計算は省きますが、月給総額のおよそ14%が目安です。
20万円の場合2.8万円、30万円は4.2万円、40万円は5.6万円の保険料が免除されます。もし給料が20万円の女性が産休を98日、育休を308日取得すると以下のように計算します。
2.8万円×13ヶ月間=36.4万円
社会保険料は約13ヶ月間で36.4万円削減できます。常陽銀行のサイトにも、免除される社会保険料の目安が掲載されているので引用します。
- 年収240万円の方の場合
健康保険料 9,900円×15カ月=148,500円
厚生年金 18,300円×15カ月=274,500円
トータルで423,000円の免除! - 年収360万円の方の場合
健康保険料 14,850円×15カ月=222,750円
厚生年金 27,450円×15カ月=411,750円
トータルで634,500円の免除! - 年収492万円の方の場合
健康保険料 20,295円×15カ月=304,425円
厚生年金 37,515円×15カ月=562,725円
トータルで867,150円の免除!
自己負担分のみの計算、※産休・育休期間を1年3カ月として計算、東京都在住、30歳代と仮定
社会保険料の免除額を見るとわかる通り、金銭面で産休・育休を長く取得するか迷っていた家庭は想定より金銭面のデメリットが少なくなる可能性がでてきますね。
社会保険料の計算はややこしいので、詳しく知りたい場合は会社や会社の顧問税理士または年金事務所に確認してください。
また産休で支給される「出産手当金」の計算、育休で支給される「育児休業給付金」の計算は以下を参考にしてください。