まーさ
いくら産休で会社を休めても産休は3ヶ月近く(14週間)あるので、金銭的な蓄えがないと生活できません。シングルマザー、シングルファザーならなおさらです。
そんな産休期間の生活保障として、「
- 産休手当金ってどういうお金のこと?わたしももらえるのかな?
- 産休手当金っていくらもらえるの?計算方法を教えて。
- 産休手当金の申請方法といつもらえるかが知りたい!
出産はしたいけど仕事を休むとお金のことが心配……という人は産休手当金について詳しく知っておきましょう。
この記事を読めば産休手当金がいくらもらえるのか、どうやって申請すればいいのかがかんたんにわかりますよ。
目次
出産手当金とは
まーさ
出産手当金とは、会社員や公務員など健康保険の被保険者が産休を取得し、その間会社から給与を受けられない場合に協会けんぽなどの保険者から支給される手当金のことです。
出産手当金がもらえるのは、産休を取得する女性です。
出産手当金の支給条件
出産手当金は以下の条件を満たした場合に、産休期間(日数)に応じて支給されます。
- 社会保険(健康保険)に加入している人
- 出産のために会社に産休申請し、産休中に給与が支払われていない人
- 夫の扶養に入っていない人
契約社員・パート・アルバイトでも、健康保険加入者は出産手当金の支給対象です。ただし夫の扶養に入っている場合(年収130万円未満)は支給対象外です。
以前は「退職後6ヶ月以内に出産した人」「健康保険を任意継続している人」も出産手当金の支給対象でしたが、現在は支給対象外になっています。
出産手当金の計算式と計算方法
まーさ
出産手当金の支給額がいくらになるか、かんたんに計算してみましょう。出産手当金は、以下の式で計算できます。
出産手当金=(産前休業日数+出産日調整日数+産後休業日数)×標準報酬日額×2/3
かんたんに言うと産休日数×日給の3分の2ですが、「出産日調整日数」と「標準報酬日額」が引っかかりますね。
出産日調整日数とは
産休は”出産予定日”を基に申請しますが、実際の出産日がズレることはよくあります。赤ちゃんが出産予定日に産まれる確率は5-6%なので日数調整が必要です。
出産予定日から遅れた場合、早まった場合の日数調整は以下を参考にしてください。
産前休業の正式な日数は出産後まで確定しません。確定した産前休業日数に応じて、出産手当金が支給されます。一方産後休業は、後から日数を変更しない限り変わりません。
標準報酬日額とは
標準報酬日額とは、標準報酬月額を30日で割って10円未満を四捨五入した金額のことです。標準報酬月額とは、月給ベースで社会保険料額を決める以下の階層のことです。
出産手当金は、支給開始日の以前12ヶ月の標準報酬月額を平均した金額で求めます。
- 支給開始日っていつのこと?
- 12ヶ月の平均なんてわからない……。
- 今の会社に12ヶ月もいないんだけど……。
- 途中で月給がかなり変わったんだけど……。
という人もいるでしょう。まず「支給開始日」とは、出産手当金が支給された日のことです。これは後で説明しますが、手続きに滞りがなければ産後休業が終わって1-2ヶ月以内です。
「支給開始日の以前12ヶ月」とは、支給開始日が9月10日だとしたら、8月、7月、6月、5月、4月、3月、2月、1月、12月、11月、10月、9月の12ヶ月間のことです。
ではまず自分の標準報酬月額を求めて、標準報酬日額を計算してみましょう。
標準報酬日額の計算事例
計算事例1
過去12ヶ月の標準報酬月額がわからない、または12ヶ月の月収がほぼ変わらない人は、産休前月の給与明細を見て「健康保険料」の金額を確認します。
たとえば健康保険料が9,960円だとすると、標準報酬月額は200,000円です。
注意介護保険第2号被保険者は40歳以上65歳未満の方
200,000円の標準報酬月額を30日で割って、10円未満を四捨五入します。
200,000円÷30日=6666.666…≒6,670円
標準報酬日額が6,670円なので、1日の出産手当金は以下の金額になります。こちらも10円未満を四捨五入します。
6,670円×2/3=4446.666…≒4,450円
計算事例2
12ヶ月間の途中で月給が変わったり、12ヶ月以内で転職した人は、12ヶ月分の標準報酬月額を調べて平均額を算出します。
現在の会社や前職の会社に確認して、給料明細や各月の健康保険料から12ヶ月分の標準報酬月額を調べます。計算自体は上記と同じです。
計算事例3
転職を含めて12ヶ月の保険料支払い実績がない人、または転職の際に1ヶ月以上期間が空いた人は、以下どちらかの少ない方で計算します。
- 支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
- 約28万円(当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額の平均)
わかりにくいですね……。1は標準報酬月額の平均が40万円だとしても、少ない方で計算するため、28万円で計算します。標準報酬月額28万円の1日の出産手当金は6,220円です。
280,000円÷30日×2/3=6222.222…≒6,220円
出産手当金の計算事例と支給日の目安
まーさ
標準報酬日額がわかれば、後の計算方法はとても簡単です。
出産手当金の計算事例
平均標準報酬月額20万円で出産予定日通り出産した場合
- 標準報酬日額は6,670円
- 標準報酬日額の2/3は4,450円
- 産前休業42日+産後休業56日
4,450円×98日=436,100円
出産手当金の支給額は436,100円になります。
平均標準報酬月額40万円で出産予定日より10日早く双子を出産した場合
- 標準報酬日額は13,670円(上限は6,220円)
- 標準報酬日額の2/3は4,150円
- (産前休業98日-10日)+産後休業56日
4,150円×144日=597,600円
出産手当金の支給額は597,600円になります。
出産手当金の支給日の目安
出産手当金の支給申請は会社が代行してくれるので、最初に確認してください。自分で申請する場合は、産休終了後に保険者に「健康保険出産手当金支給申請書」を郵送します。
記入ミスなどがなければ、支給申請をした2-3週間から1ヶ月前後で出産手当金が口座に振り込まれます。もちろん、支給申請が遅れれば、支給日も遅くなります。
出産手当金は以下のようなシミュレーターを使うと、より簡単に算出できるので参考にしてください。
【2018年最新版】産前産後休業・育児休業給付金|期間・金額計算ツール|社会保険労務士法人アールワン
出産手当金の支給申請方法
まーさ
出産手当金を受け取るには、事前の申請手続きが必要です。以下に必要な書類と簡単な流れを説明します。
出産手当金の支給申請手続きに必要な書類
- 健康保険出産手当金支給申請書(出産手当金支給申請書)
- 添付書類
健康保険出産手当金支給申請書は出産手当金の支給に必要な申請書類で、被保険者、医師、会社それぞれの記載箇所があります。
添付書類は過去12ヶ月間に「勤務先が変わった」「被保険者証の番号が変更した」「退職した(任意継続被保険者になった)」場合に提出する書類のことです。
自分で書類を用意しなければいけない場合は、以下からダウンロードできます。
健康保険出産手当金支給申請書 | 申請書のご案内 | 全国健康保険協会
出産手当金の申請までの流れ
以下、産休取得から出産手当金支給までのざっくりした流れです。
- STEP.1産休を申請する産休の取得希望を会社に伝えて、産休申請をします。
- STEP.2書類に必要事項を記載する「健康保険出産手当金支給申請書」に必要事項を記載し、会社にも記載してもらいます。
- STEP.3病院証明欄に記載してもらう医師に「健康保険出産手当金支給申請書」の病院証明欄に記載をしてもらいます。
- STEP.4書類を提出する出産後に「健康保険出産手当金支給申請書」を会社or保険者(協会けんぽなど)に郵送します。
- STEP.5出産手当金が振り込まれる産休後1-2ヶ月ほどで出産手当金が口座に振り込まれます。
支給申請は産休開始翌日から(産前、産後の2回に分けて請求する場合)ですが、支給申請を1回で済ませるなら、出産後に申請書類を郵送してください。
出産手当金の支給申請と会社に対する産休申請は別物です。会社に対する産休申請は、以下の通り会社の指示に従ってください。
出産手当金に関する注意点
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自営業者も出産手当金はもらえる?
国民健康保険と健康保険は別物です。個人事業主などが入る「国民健康保険」には出産手当金の制度がないため、出産手当金の受給資格がありません。
支給申請期間と期限はいつまで?
出産手当金の支給申請期限は、産休開始の翌日から2年間です。その期間内なら、いつでも出産手当金の支給申請ができます。
もし出産手当金の申請を忘れていたり、出産時に制度を知らずに申請してなかった場合は、現在勤めている会社の窓口または協会けんぽに相談してください。
産休中に退職したらどうなる?
被保険者の退職日までに継続して1年以上勤務(被保険者期間が1年以上)していた場合は、出産手当金を受け取れます。
その際、出産日(または出産予定日)から起算して42日以内に退職していなければいけません。つまり書類上は産休後の退職でなければいけないということです。
ちなみに、以前は「退職後6ヶ月以内に出産した人」「健康保険を任意継続している人」も出産手当金の支給対象でしたが、現在は支給対象外なので注意してください。
出産手当金のまとめ
出産手当金は働く女性にとってはありがたい制度ですが、ややこしいですね。一般的には以下の内容を認識できれば良いと思います。
- 会社で働いていて、社会保険に加入している女性が対象
- 産休日数に応じて日給の約2/3の手当金を健康保険が支給してくれる
- 出産手当金の申請は本人が行う、または会社が代行する
- 申請書類は産休前に受け取り、本人・会社・医師が必要事項を記載する
- 出産後に申請書類を保険者、または会社に郵送する
- 申請後1-2ヶ月程度で、銀行口座に出産手当金が振り込まれる
出産手当金とは別に、育休取得で支給される育児休業給付金の申請や計算方法は以下を参考にしてください。
また妊婦が出産費用としてもらえる出産育児一時金は以下を参考にしてください。こちらは42万円の支給(例外あり)で、出産後に出産費用と相殺できるので理解しやすいでしょう。
出産で会社を休んだとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会