対象者限定!アンケ回答者全員に5000円ギフト券

野良妊婦、未受診妊婦、飛び込み出産とは?誰にどんな迷惑がかかる?

野良妊婦、未受診妊婦、飛び込み出産とは

もしあなたが「あれ?妊娠……?」と感じたら病院で妊娠検査をして、妊娠期間中に妊婦健診に通い、正産期に入院して出産をしますね。

ところが妊娠検査、妊婦健診を飛ばして、臨月に入ってから分娩依頼をする人もいます。陣痛で動けなくなり、救急車で初めて産院に運び込まれる人もいます。

このような行動を「飛び込み出産」と言い、妊娠・出産の社会問題の1つになっています。

  • なんで飛び込み出産は問題なの?生まれる前に病院行く方が楽じゃん。
  • 出産費用高いし、誰にも言えない。もしかしたら一人でも産めるんじゃないかな。
  • わたしには子供を育てる資金的な余裕がない……。産んだ後はいっそのこと……。

世の中には実際にこう考える人もいます。ただ準備しないで出産に臨むことがどれだけリスクなのか知りません。またリスクは知っていても、どう解決していいかわかりません。

そして、あなたがそうならないとは言い切れません。ではなぜ妊婦健診を受けない妊婦が存在し、このような信じられない行動をとるんでしょうか。

この記事を読んで未受診妊婦のリスクや解決方法を知っておきましょう。

野良妊婦、未受診妊婦、産み捨て、産み逃げ、飛び込み出産とは

まーさ

野良妊婦、未受診妊婦、飛び込み出産ってよく聞くけどどんな人で、どういう出産のことを言うの?

野良妊婦、未受診妊婦、飛び込み出産は同じような状態の妊婦を表す言葉です。他に産み捨て、産み逃げという言葉もあります。

野良妊婦とは

野良妊婦のらにんぷとは妊娠しても産院の分娩予約をしないで、妊婦健診にも行かずに臨月をむかえ、出産に臨む妊婦の俗称です。

健康な人でも妊娠中は体調の変化が激しく、病気にかかることがあります。そのため妊婦健診を受けて母子の健康状態を把握して、リスクを排除した分娩をしないといけません。

妊婦健診とは

  • 母体と胎児の健康状態の把握
  • 母体と胎児の検査計測
  • 妊娠生活や出産に向けた保健指導

野良妊婦は母子手帳を持ってる人が少ないので、何かが起きて救急搬送されても健康状態や妊娠週数がわかりません。そのため受け入れた産院は、高リスク出産を迫られます。

未受診妊婦とは

未受診妊婦みじゅしんにんぷとは、妊婦健診を受けずに出産に臨む妊婦の総称です(野良妊婦と同じ)。

大阪府では3ヶ月以上妊婦健診を受けていない妊婦、3回以下の妊婦健診しか受けていない妊婦を未受診妊婦と定義しています(または産婦人科医師の判断による)。

未受診妊婦は、特定妊婦(出産後の養育など出産前から支援が必要とされる妊婦)であることも多いので、早期発見・早期支援(児童福祉法第6条の3第5項)の必要があります。

産み捨てとは

産み捨てうみすてとは、周囲に妊娠してることを知らせずに産気付き、産院以外の場所で1人で出産して赤ちゃんを放置したり、赤ちゃんを殺してしまうことです。

産み捨ての多くは、人工中絶手術が可能な妊娠満22週未満を過ぎてしまって産むしか手段がない未受診妊婦が多くを占めます。

産み捨てを防ぐために、熊本県の慈恵病院が設置した赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」も話題になりました。

産み逃げとは

産み逃げうみにげとは、産院で出産した妊婦が分娩費用を払わずに逃げたり、居直ってお金を踏み倒す行為です。産んだ赤ちゃんを病院に残したまま逃げる場合もあります。

産み逃げをする妊婦は未受診妊婦で、経済的困難を抱えている場合が多いようです。

飛び込み出産とは

飛び込み出産とは、未受診妊婦が産気付いてから初めて受診したり、陣痛などで産院に緊急搬送をされて出産することです。駆け込み出産とも呼ばれます。

大阪産婦人科医会が2016年に行った調査によると、大阪府内で1年間に行われたおよそ7万件の分娩のうち228件が飛び込み出産だとわかっています。

2016年大阪府の未受診妊婦数

大阪府子ども総合計画の概要(素案)|平成28年調査結果について

未受診妊婦の割合は0.44%です。大阪府と全国の違いはわかりませんが、年間100万件の出産のうち0.44%が未受診妊婦だと飛び込み出産は4400件も起こります。

産み捨て・飛び込み出産が起きる理由

まーさ

なんで産み捨てとか飛び込み出産なんてするの?赤ちゃん産むのにそれはちょっとひどいよ……。

2016年の大阪産婦人科医会の調査によると、飛び込み出産の理由は「経済的問題」が約27%、次いで「知識の欠如」が約21%、「妊娠事実の需要困難」が約15%です。

お金がないなどの経済的問題

出産にかかる費用は高額なイメージがあります。入院費用も含めた出産費用は病院でおよそ51万円、診療所でおよそ50万円、助産院でおよそ46万円です。

妊婦健診は14回前後で15万円以上の費用がかかります。合わせて60万円以上です。

ただし出産費用は社会保険や国民健康保険に加入していれば、出産育児一時金で概ねまかなえますし、妊婦健診も受診券などの助成制度があります。

それらを考慮してもお金がない場合は、自治体に相談窓口があります。

妊婦健診が必要などの知識の欠如

出産育児一時金や妊婦健診の助成制度だけじゃなく、妊婦健診の存在や大切さを知らない人もいます。

また日本には産婦人科が少なく早めに分娩予約しなければいけないこと、ハイリスク妊娠は高次医療機関を見つけなければいけないことも知っておくべき知識です。

出産は人任せじゃダメなので、孤立した状態だと飛び込み出産せざるを得ない環境になるのかもしれません。

妊娠を認めたくない・周囲に言えない

たとえば未成年の妊娠や不貞行為による妊娠は周囲に言えませんし、妊娠していても事実を認めたくない人もいるでしょう。

現実から目を背けてるうちに中絶手術が可能な時期を過ぎると出産するしかなく、それでも周囲に打ち明けられないと飛び込み出産するしかない状況に追い込まれます。

中絶手術の時期や詳細は以下を参考にしてください。

未受診妊婦の飛び込み出産リスク

まーさ

未受診妊婦が飛び込み出産するとどんなリスクがあるのかな?

未受診妊婦の飛び込み出産にはいろんなリスクがあります。2009-2012年に大阪府が実施した調査によると、約30万件の分娩中861件が飛び込み出産です。

大阪府未受診妊娠調査報告~4年間の成果と今後の課題~|日本産婦人科医会

母体合併症と産褥合併症の割合

母体合併症を起こした未受診妊婦は861件中261件以上で、その割合は23.2%以上です。中でも精神疾患が10%近くを占めてるのが特徴です。

また飛び込み出産で産褥合併症を起こした未受診妊婦は861件中55件で、その割合は6.4%です。

周産期死亡の割合

さらに周産期死亡は864人中17件で1000対だと19.7件です。これは大阪府でいうと1980年の周産期死亡率に匹敵します。

2014年の周産期死亡率は1000人当たり2.5人(妊娠満22週以後の死産1.8人+早期新生児死亡0.7人)なので、飛び込み出産は通常の7.88倍も死亡リスクが高いことになります。

未受診妊婦のための相談窓口

まーさ

でももし不幸が重なって、自分が未受診妊婦になりそうだったらどうすればいいのかな……。

妊娠がわかったら、まず病院で妊娠検査をして妊娠を自覚しましょう。そのうえで出産の決断ができない場合は、リスクを把握して中絶手術を検討してください。

ただし中絶手術を受けられる妊娠22週を過ぎた場合は、出産準備をするしかないです。

出産費用は出産育児一時金で費用のほとんど、妊婦健診も費用の7割ほどが賄える助成制度があります。それらを考慮してもお金がなければ、以下窓口に相談しましょう。

地方自治体

経済状況が心配な人は、地方自治体で緊急小口資金として「生活福祉資金」を借りられるので窓口で相談してください。

生活福祉資金|全国社会福祉協議会

母子生活支援施設(全母協)

母子生活支援施設では、妊娠・出産や家庭環境の相談に乗ってくれるだけでなく、奨学助成金なども取り扱っています。

全母協 – 社会福祉法人 全国社会福祉協議会・全国母子生活支援施設協議会

女性センター | 内閣府男女共同参画局

女性センター自治体が自主的に設置する談窓口で、妊娠・出産に関する問題や女性の社会進出に関する問題を扱っています。配偶者のDVなどの相談窓口を置いた施設もあります。

女性センター | 内閣府男女共同参画局

全国妊娠SOSネットワーク

全国妊娠SOSネットワークは、主に妊娠・出産・育児に関する相談ができる窓口です。

全国のにんしんSOS相談窓口 | 一般社団法人全国妊娠SOSネットワーク

妊娠・出産の社会問題を解決するために

未受診妊婦(野良妊婦)、飛び込み出産、産み逃げ、産み捨ては、一連の妊娠・出産に関する社会問題として扱わないといけません。

妊婦が飛び込み出産をする理由は経済的問題、知識の欠如、妊娠事実の需要困難などいくつもあり、1つの策ですべての問題が解決するわけじゃありません。

それでも最低限、女性は妊娠すると病気や体調不良を起こすこと、妊婦の病気が母子の生命に影響すること、妊娠・出産費用は国や地方自治体である程度補助されることなどを知っていれば、今よりも確実に未受診妊婦(野良妊婦)の飛び込み出産や産み逃げ・産み捨ては減ります。

全貌はわかりませんが、全国の飛び込み出産や産み逃げ・産み捨ての件数は1年間で3000件以上はあるはずです。

国がしなければいけないことはたくさんありますが、まずは自分が未受診妊婦にならないために妊娠・出産の社会問題を知り、それらを解決する策も押さえておきましょう。