ご飯を落ち着いて食べられない、布団で静かに寝られない、お風呂に入るのを嫌がる、そして歯磨きをなかなかしない……「うげぇ……全部当てはまる……。」
どんな子もみんなそうです。子供は、1回や2回は素直に言うことを聞いても、次の日にはやりません。その日の気分によってママの言うことを嫌がったり、言われたことをやらずにダラダラするものです。
とはいえ、「せめて歯磨きだけはして欲しい。」「暴れずに磨かせて欲しい。」と思いますよね。子供が虫歯になったら、子供もママも後悔することはわかっているので。
虫歯が多くなれば歯並びが悪くなり、歯並びが悪いと虫歯は増えます。虫歯や歯並びの悪さは、歯周病、発音障害、口臭、顔の変形、脳の発達の遅れなど、子供の成長に悪影響があるため、どちらも予防しなければいけません。
では、子供は一体何歳から虫歯ができるのでしょうか。また、虫歯になりやすい年齢、虫歯予防に気をつけるべき年齢は何歳なのでしょうか。
今回は、虫歯になる子供の割合ととくに虫歯予防をすべき年齢についてお話したいと思います。
目次
5歳以降の虫歯の割合
あまりにも娘が歯磨きを嫌がるので、「今日はしなくても良いかなぁ。」「もう寝てるし起こすの可哀想だなぁ。」「1日ぐらい磨かなくても大丈夫でしょ。」と考えてサボってしまうこと……ありますよね(^_^;)
とくに、子供が自分で歯磨きをするようになり、4-5歳ごろにそう思うママが多いのではないでしょうか。もちろん、歯磨きのサボりが積み重なると、虫歯の可能性は高まります。
以下のグラフは、文部科学省が2017年の「学校保健統計調査」で発表した5歳から17歳までの虫歯を持つ子供の割合です。
5歳|35.45%(21.60%)
6歳|41.48%(24.21%)
7歳|47.76%(24.95%)
8歳|53.50%(26.11%)
9歳|53.44%(24.63%)
10歳|47.92%(21.55%)
11歳|37.93%(16.40%)
12歳|34.87%(14.93%)
※カッコ内は未処理歯がある者
5歳から小学生までの虫歯を持つ子の割合を抜き出すと上記の様になりますが、「5歳で3人に1人は虫歯持ち」というのは驚くべき事実です。これはなかなか深刻ですね。
「うちは大丈夫!」というママは、集団歯科健診ではなく、個別に歯科健診に連れて行って確認してみてください。
子供の虫歯の割合と処置状況
もちろん、4歳以下の子供でも乳歯に虫歯はできます。厚生労働省が平成23年に行なった「歯科疾患実態調査」によると、2歳の子にも虫歯があることがわかっています。
1歳|0.0%(0.0%)
2歳|7.5%(7.5%)
3歳|25.0%(25.0%)
4歳|34.8%(19.6%)
5歳|50.0%(16.7%)
6歳|42.1%(5.3%)
7歳|55.6%(6.7%)
8歳|69.2%(7.7%)
9歳|46.7%(13.3%)
10歳|52.1%(8.3%)
11歳|26.3%(0.0%)
12歳|27.0%(8.1%)
※カッコ内は未処理歯がある者
先ほどの文部科学省の調査結果とは少し違いますが、2歳で7.5%、3歳で25.0%、4歳で34.8%、5歳で50.0%、6歳で42.1%とこちらの調査でも、虫歯を持つ子供の割合が高いことがわかります。
このデータで、子供の虫歯に関して気付いたことがあるのでグラフにしてみました。
グラフを見ると子供の虫歯が増える時期は、4-5歳、7-8歳、10歳という3つの山があり、さらに治療を行う時期にも、5歳、7歳、10歳という3つの山があります。
虫歯予防に気をつける年齢とその理由
ではなぜ、子供は4-5歳、6-8歳、9-10歳のころに虫歯が増えているのでしょうか。
4-5歳で虫歯が増える理由
子供の虫歯が増える1つ目の山は4-5歳ですが、グラフを見る限り2歳ごろから徐々に増え続けています。そして結果的に、4歳から5歳にかけて虫歯治療を行う子供の割合も増えています。
4-5歳にかけて虫歯が増えている理由は、「保育園の定期健診で見逃されていた」「虫歯があるけど乳歯だから見過ごした」などが考えられます。
乳歯の虫歯は、永久歯の虫歯よりも発見が難しいため、見過ごすといつの間にか進行している可能性があります。
また、乳歯が抜け始めることで永久歯のケアを意識したり、小学生前に対処しようという意識から、虫歯の治療を考える親が増えると予測できます。
7-8歳で虫歯が増える理由
虫歯が増える2つ目の山は、7歳から8歳にかけてです。この時期は第1大臼歯(6歳臼歯)という永久歯が生えてきますが、第1大臼歯は奥歯で歯磨きが難しいだけでなく、噛み合わせが整うまでに時間がかかるため虫歯になりやすい歯です。
そのため、第1大臼歯が生えてすぐに虫歯になり、小学校入学前の集団歯科健診で虫歯が発見された子は治療をします。それが、7歳での虫歯治療が増える原因だと考えられます。
ちなみに、集団歯科健診は子ども1人に時間をかけて、じっくり虫歯を探すわけではないため、小さな虫歯の見逃しや虫歯になる恐れがある歯を見逃すことがあるそうです。
9-10歳で虫歯が増える理由
わたしの周りでもそうですが、子供の仕上げ磨きは8-9歳ごろまで行うことが多いようです。
これは、歯科医が「せめて第1大臼歯が生えてしっかり磨けるようになるまで。※」と指導することと、子供が親から離れていく時期が重なっているためではないかと思います。
グラフを見る限り、親が仕上げ磨きをやめる時期と子供の虫歯が増える時期は一致しているため、仕上げ磨きをしないことが9-10歳で虫歯が増える原因の1つだと予測できます。
※最近は小学校卒業まで仕上げ磨きや歯磨きチェックを推奨する歯科医が多いそうです。
虫歯を持つ子供の割合と推移
次に平成5年度、平成11年度、平成17年度、平成23年度の虫歯を持つ子供の推移をグラフ化したので、そちらを見てみていきます。
この虫歯を持つ子の推移グラフを見て驚くママは多いでしょう。
前述した平成23年度のデータでは5歳の子供の50%が虫歯持ちでしたが、平成5年度は5歳の子供の80%近くが虫歯を持っていることがわかります。
さらに、同平成5年度は6-9歳の子供の90%前後が虫歯を持っており、今と比べると子供の虫歯の割合は2倍近く多かったことになります。虫歯を持つ子の割合は、かなり減っているんですね。
虫歯を持つ子の割合が減少した理由
昔に比べて虫歯を持つ子供の割合は、格段に減少しています。では、なぜ虫歯を持つ子の割合が、減少しているのでしょうか。
・学校での歯磨き指導や虫歯予防の強化
・学校や園でのフッ素うがいなどの取り組み
・歯科健診や磨き方指導など予防歯科の浸透
・歯ブラシやデンタルフロスの進化
・親の歯磨き意識の向上
・歯磨き習慣の定着化
・キシリトールなどの甘味料の進化
・フッ素入り歯磨き粉の普及
など
主に、歯磨きの大切さを教える習慣が定着し、虫歯によるデメリットが広まったとともに、歯ブラシや歯磨き粉など器具の進化、虫歯のもとになる甘味料(糖類)の進化が同時に進んでいるためだと考えられます。
最も虫歯になりやすい糖類はショ糖(砂糖)で、次に果糖ブドウ糖、そしてオリゴ糖、乳糖、キシリトール……という順番で虫歯になりにくくなります(複数種組み合わせも多い)。
やっぱり仕上げ磨きは重要
子供の虫歯の割合が減少してるとは言え、今でも5-10歳の子供の2人に1人は虫歯があるため、まだまだ虫歯予防の意識は必要です。
前述したデータを見る限り、虫歯が多い年齢や虫歯が増える原因はある程度予想できます。子供の虫歯予防でもっとも大切なことは、良い歯ブラシや歯磨き粉、学校の歯磨き指導だけではなく、家庭で子供に虫歯予防の習慣を徹底することです。
親の虫歯予防の意識としては、歯科医での定期歯科健診や子供の歯磨き指導も大切ですが、より重要なことは、子供が意識して歯を磨けるまで、親が仕上げ磨きを続けることだと思います。
どれだけ子供に歯磨きの大切さを伝えて、歯の正しい磨き方を教えても、子供は痛い思いをしなければ歯磨きの手を抜きます。でも、虫歯になってからでは遅いんです。
子供が小さいころから仕上げ磨きを習慣付けて、せめて10歳になるまでママが徹底してチェックをすれば、9-10歳までの虫歯を減らすことは可能です。
もちろん、10歳以降も虫歯になる子供は多いのですが、5-6年生になってまで仕上げ磨きを受け入れる子はなかなかいません(^_^;)
というわけで、ママは大切な子供の歯のために、せめて10歳までは「1日ぐらい歯磨きしなくても大丈夫でしょ。」という意識は捨てるようにしなければいけないですね。