へその緒の異常(臍帯異常)で最も有名なものは、へその緒が赤ちゃんの首や身体に巻き付いてしまう「
臍帯巻絡から胎児の新生児仮死や死産など大事に至ることも稀にありますが、胎児の首にへその緒が巻き付いて出産すること自体は珍しいことじゃありません。
ところが「
臍帯過捻転や臍帯過小捻転は、臍帯巻絡よりも珍しい症状(出産全体の1%ほど)ですが、臍帯巻絡よりも新生児仮死や死産の危険性が増します。
そこで今回は、臍帯過捻転・臍帯過小捻転がどのような症状なのかをお話します。
目次
臍帯過捻転と臍帯過少捻転
まーさ
臍帯過捻転と臍帯過小捻転は字の通り、へその緒のねじれが多すぎ、少なすぎという状態のことです。
臍帯過捻転とは
臍帯過捻転とは臍帯異常の1つで、胎児のへその緒が過剰にねじれた状態です。
個人差はありますがへその緒は長さ50-60cm程(長い場合は1m近くにもなる)、太さが2cm程の管状で、管の中には動脈が2本と静脈が1本通っています。
へその緒の静脈は母体から胎児に栄養や酸素を含んだ血液が流れ、動脈は胎児から母体に老廃物や二酸化炭素を含んだ血液が流れることで、胎児は生命活動を行っています。
そのためへその緒の血液の流れが滞ると、胎児の生死にかかわります。
へその緒はらせん状にねじれてますが、ねじれが過剰だと血管が圧迫されて血液の流れが滞り、胎児の発育不全や分娩中の新生児仮死・死産につながる恐れがあります。
臍帯過少捻転とは
臍帯過少捻転とは臍帯過捻転と逆で、胎児のへその緒のねじれがなくなった状態です。
ねじれがないと圧迫がないので良いことのように思えますが、適度なねじれがないとへその緒に強度がなくなって分娩時の無理な体制から折れ曲がる可能性があります。
胎児のへその緒が折れ曲がると血流が妨げられて、胎児機能不全や胎児死亡、新生児仮死につながります。
臍帯過捻転・臍帯過少捻転の原因
臍帯過捻転・臍帯過少捻転は、胎児の胎動が原因で起こります。
元気に動き回っている赤ちゃんほど複雑な動きで臍帯異常が起こりやすいので、臍帯異常が起こったときの妊婦のショックは相当なものでしょう……。
臍帯過捻転・臍帯過少捻転の予防や治し方は?
まーさ
臍帯過捻転・臍帯過少捻転は予防できる?
臍帯過捻転・過少捻転が起こっても、出血やおなかの張りなど妊婦に何らかの自覚症状はなく、通常の超音波検査(エコー)でも異常を発見することは困難です。
またへその緒はそもそもねじれがあるので、これがどれくらい過剰にねじれていれば胎児に影響があるかを外から判断することもできません。
そのため現在の周産期医療では臍帯過捻転、臍帯過小捻転の予防はできません。
臍帯過捻転・臍帯過少捻転は治療できる?
仮に超音波検査(エコー)や心拍数検査で、臍帯過捻転や臍帯過少捻転などの臍帯異常の疑いがあるとわかっても、胎外から臍帯異常を治療する方法はありません。
対処法は可能な限り経過観察を行い、胎児の成長具合や状況・妊婦の体調などを踏まえたうえで帝王切開(妊娠28週-39週)による早産に踏み切るというものです。
帝王切開に踏み切る材料は胎動が以前より弱くなったときに、これ以上胎内にいると命の危険性があったり、発育不全のままだと医師が判断した場合のみです。
臍帯過捻転や臍帯過小捻転が必ずしも新生児仮死や死産につながるわけじゃないので、医師によっては可能性を告げずに経過観察を続ける場合もあるようです。
臍帯異常は発見が困難
胎児のへその緒に関係する異常はいくつもありますが、どの臍帯異常も発見が難しく、事前に防ぐ方法も治す方法もありません。
そのため気にしても仕方ないんですが、気になる人は担当医師に臍帯異常について一度詳しく説明を聞いてください。
臍帯異常を発見する流れは、「胎児の胎動が少ない・感じない→エコーやその他検査を行う→とくに異常が見られないため臍帯異常を疑う」と消去法で考えます。
とは言え、知れば知るほど心配は増していくもの……。
そこで臍帯異常をどうすれば発見できるのか、発見を早めるにはどうすれば良いかを以下で解説しています。あくまでも1つの可能性として参考にしてもらえれば。