まーさ
インフルエンザや風邪なら急な発熱でも、せき、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの諸症状を伴うのでママも「風邪……かな?」と気付きやすく、何となく安心できます。
ところが急な発熱をしても風邪の諸症状がない病気もいくつかあります。たとえば突発性発疹は突然39度以上の高熱が出て、熱が治まると全身に発疹が出る病気です。
また3歳までに8割の子供が発症する急性中耳炎も赤ちゃんのときにかかることが多く、突然の発熱で疑う病気の1つです。急性中耳炎も風邪っぽい症状はありません。
もう1つ赤ちゃんや小さな女の子がかかりやすい病気が「
尿路感染症も発熱で気付くことが多く、言葉から想像できる通りおしっこに関係した感染症です。今回は尿路感染症の症状や原因、対策についてお話します。
目次
尿路感染症とは
尿路感染症とは、尿道口から入った細菌が腎臓・尿管・膀胱・尿道(腎尿路系)のどこかに感染して炎症を起こす病気です。
腎尿路系に細菌が感染するため、尿道が短い赤ちゃんから2歳くらいまでの男女、また男の子に比べて尿道の短い4-5歳までの女の子がよくかかります。
尿路感染症は腎尿路系のどこに菌が感染するかで症状が変わり、病名も変わります。
尿道に細菌が感染すると「
細菌が腎臓に進入して腎臓の出口で炎症を起こすのが「
尿路感染症の症状
尿路感染症の症状は感染場所によって違いますが、「下部尿路感染症」と「上部尿路感染症」に分けると以下の症状がよく見られます。
尿路感染症の症状・原因・検査・治療法【医師解説】 [感染症] All About
- 37度台の微熱がある
- 腹痛がある
- 排尿時に痛みがある
- 頻尿や残尿感がある
- 赤黒い血尿が出る
- 尿に濁りがある(蛋白尿)
- アンモニア臭が強い
- おねしょ
- 38度以上の高熱が出る
- 吐き気や嘔吐がある
- 腰痛や背中の痛みがある
- 食欲がない
- 尿に濁りがある
- 尿に腐敗臭がある
- 排尿時に痛みがある
蛋白尿とは腎臓のろ過機能に異常があることで、血液中のタンパク質が混じった尿のことです。尿が白濁色だったり、泡立っている特徴があります。
子供の腎機能は未熟なので、病気とは関係なく蛋白尿が出やすい子もいます。詳しくは以下を参考にしてください。
尿路感染症の見分け方
発熱した子供に風邪の症状がない場合はおむつやトイレの様子を確認し、いつもよりもおしっこがつんとアンモニア臭い、尿が赤黒いなどの症状で尿路感染症を疑います。
また頻尿傾向があったり、おなかや背中の痛み、おしっこをしたときの違和感や痛みを訴えることで尿路感染症に気付く場合もあります。
ただしどの症状も明確ではないので、ぐずりや排尿時の様子がおかしい場合は小児科に行って尿中細菌を検査してもらいましょう。
尿路感染症にかかる原因は?
まーさ
尿路感染症の原因は、尿道口から侵入した細菌が腎尿路系に感染するためですが、細菌が腎尿路系に侵入する理由はいくつか考えられます。
性器を直接触るから
子供は男女関係なく直接性器をいじることがあります。これを性器いじりといいます。
体調が悪いときなど抵抗力が弱いときに汚れた手で性器いじりをすると、尿道口から侵入した細菌に感染することがあります。
おしっこを我慢するから
おしっこには、尿道に侵入した細菌を洗い流す役割があります。ところがおしっこを長時間我慢すると、留まった細菌が繁殖してしまいます。
おしりの拭き方が間違っているから
とくに女の子はうんちをした後のおしりの拭き方が間違っていると、大腸菌などが尿道口に付着して尿路感染症を起こす場合があります。
妊娠糖尿病
これは妊婦が尿路感染症にかかる原因の1つです。妊娠糖尿病で高血糖になると免疫力が低下し、さらに血流が悪くなることで尿中細菌が繁殖して尿路感染症にかかります。
尿路感染症の対策と予防
まーさ
一般的な尿路感染症の治療法
尿路感染症の中でも高熱を伴わない膀胱炎は、抗菌薬を3-5日服用すればほぼ完治しますが、高熱を伴う腎盂腎炎は2週間ほど抗菌薬投与が必要です。
さらに腎盂腎炎は飲食できずに脱水症状を起こす恐れがあるので、まず点滴で抗菌薬を投与して熱が下がったら抗菌薬を飲む治療を続けます。
また膀胱炎を繰り返したり腎盂腎炎にかかる場合は、「
尿路感染症に影響する膀胱尿管逆流症
膀胱尿管逆流症とはおしっこの逆流を防ぐ膀胱の機能に障害があり、おしっこが膀胱から腎臓に逆流する症状のことです。
膀胱尿管逆流症は尿路感染症とは別物ですが関係が深い症状です。なぜなら、おしっこが腎臓に逆流すると腎盂腎炎などを起こしやいからです。
膀胱尿管逆流症は先天性が多く、泌尿器科で検査を受ければわかります。将来の腎機能低下を防ぐために、膀胱尿管逆流症は早めに発見して治療を受けなければいけません。
尿路感染症の予防法
生後6ヶ月未満の赤ちゃんに発熱症状がある場合、まずは尿路感染症を疑うと言うほど赤ちゃんに多い病気です。
そのため完全な予防は難しいのですが、尿路感染症を悪化させないために普段から性器を清潔にすることが予防の基本です。
十分な水分を摂取する
水分を摂取しておしっこすることで菌の残存を防ぎます。赤ちゃんに必要な水分量は体重1kgあたり100ml/日、3-5歳で500-800ml/日、小学生で800-1,000ml/日です。
離乳食前の赤ちゃんは、母乳やミルク以外の水分補給は必要ありません。
おしっこを我慢させない
おしっこは我慢させずトイレに行かせましょう。我慢すると膀胱許容量を超えて膀胱炎を起こしたり、おしっこが腎臓に逆流して腎盂肝炎になる可能性があります。
ママは遊びに夢中な子供がおしっこを我慢していないかを観察してください。
食物繊維を多く摂る
便秘になると腸内で細菌が繁殖し、尿路感染症の原因(大腸菌など)も増えます。子供の食事に気を付け、毎日うんちが出るよう食物繊維の摂取を心がけてください。
うんち後のおしりの拭き方
女の子の場合、自分でおしりを拭くようになる4-5歳は気を付けましょう。うんち後におしりを拭くときはおしりの後ろから手を回し、前から後に向かって拭きます。
ウォシュレットがないトイレでおしりを拭くこともあるため、小学校に入るまでには正しくおしりを拭けるようにしなければいけません。
汚い手で性器を触らない
汚い手でちんちんやおまたを触ると、尿道に菌が付着する可能性があります。性器いじりは心理的に仕方ないんですが、癖がついていたら気を逸らすようにしてあげましょう。
お風呂で性器を洗う
女の子は外陰部、男の子は少し皮を剥いて尿道をきれいに洗ってください。
ただしボディーソープを使ったりゴシゴシ擦ると、かぶれたり、切れたり、カンジダ菌が繁殖しやすくなるので、ぬる目のシャワーやかけ湯で洗い流す程度にしましょう。
おむつは早めに取り替える
汚れたおむつは早めに取り替えてください。うんちはシャワーなどで汚れを流すとおむつかぶれ予防にもなるので、赤ちゃんのころから慣れておきましょう。
尿路感染症の注意点
尿路感染症が単なる膀胱炎ならそれほど心配はいらないんですが、そうでなければいくつか注意点があります。
38度以上の熱がある場合
高熱が出た場合は、膀胱炎でも膀胱尿管逆流症を伴っている場合があります。膀胱尿管逆流症を放置すると尿路感染症を繰り返したり、腎臓に障害が起こる可能性もあります。
子供が尿路感染症から回復したら早めに泌尿器科で検査を受け、膀胱尿管逆流症を持っていないか確認しましょう。
膀胱炎を繰り返す場合
4-5歳の女の子で膀胱炎を繰り返す場合は、おしっこの習慣やおしりの拭き方に問題があったり、排尿機能に何らかの障害がある場合があります。
こちらも泌尿器科で検査を受けて膀胱尿管逆流症を持っていないか、膀胱に機能障害がないか確認しましょう。
尿路感染症の認識を改めよう
膀胱炎はよく聞く病名ですが、おしっこを我慢するとかかる軽い病気だと勘違いしてる人もいます。ただ膀胱炎は症状が軽くても繰り返したり、感染が広がる可能性があります。
また子供はおしっこのときの痛みや違和感を訴えられますが、赤ちゃんは痛みを訴えられないので尿路感染症の発見が遅れることがあります。
とくに膀胱炎などの下部尿路感染症は微熱が多いので、ぐずりや嘔吐、おしっこの状態から総合的に体調の違和感に気づかなければいけません。
ただ尿路感染症は病気自体が厄介でも、普段の水分摂取やバランスの良い食事で便秘に気を付け、性器を清潔にするなど予防法はシンプルです。
ママは普段から予防に取り組み、赤ちゃんや子供を尿路感染症から守ってください。
赤ちゃんや子供の便秘解消におすすめ!
尿路感染症を防ぐために便秘解消は有効です。ただ赤ちゃんや小さな子供は便秘を自覚できません。
また赤ちゃんや子供の便秘は慢性化します。5歳で便秘と診断された子供の約25%は成人しても便秘のままです(日本小児消化管機能研究会)。
女性なら便秘のつらさを知ってる人は多いはず。子供の苦しそうな顔を見ると胸がギューッと締め付けられますよね。
息子も便秘が重くて病院にも何度も行きましたが、今は定期的にオリゴ糖を飲むことで以前のような便秘に悩むこともなくなりました。
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