ハイハイは赤ちゃんが四つん這いで手足を交互に前に出して移動する行為で、ズリバイの次の段階です。
赤ちゃんがハイハイできるのは手足の骨格が発達し、手足で身体を支える十分な筋力と姿勢を保つ腰回りの筋力がつき、常に首を持ち上げられるようになったからです。
さらに手足を上手にコントロールできないとハイハイで移動はできません。手足両方を交互に前に出すことは、大人には簡単な動きでも赤ちゃんには大きな進歩です。
また赤ちゃんはハイハイで今までよりも早く移動できるようになります。ふと目を離すと、赤ちゃんは隣の部屋の片付け忘れていた薬に手を伸ばしたり、階段の方へ向かったり、どこかに消えてしまうため「あれ!?」と声を出す機会が増えます(^_^;)
このように赤ちゃんの行動がハイハイで大きく変わると、ママは本格的な危険対策をしなければいけません。
そこで今回は赤ちゃんのハイハイがいつからいつまでか、効果的な練習方法と危険対策についてお話します。
目次
ハイハイの時期は何ヶ月ごろ?
まーさ
赤ちゃんがハイハイをする目安は生後7-8ヶ月で約5割、生後9-10ヶ月で9割を超えます。
- 生後04-05ヶ月未満:0.9%
- 生後05-06ヶ月未満:5.5%
- 生後06-07ヶ月未満:22.6%
- 生後07-08ヶ月未満:51.1%
- 生後08-09ヶ月未満:75.4%
- 生後09-10ヶ月未満:90.3%
- 生後10-11ヶ月未満:93.5%
- 生後11-12ヶ月未満:95.8%
- 生後12-13ヶ月未満:96.9%
- 生後13-14ヶ月未満:97.2%
- 生後14-15ヶ月未満:98.9%
- 生後15-16ヶ月未満:99.4%
- 生後16-17ヶ月未満:99.5%
赤ちゃんがハイハイできるのは、背骨がしっかりして腰回りや手足の筋肉がついて、バランスを保ちながら体を支えられるようになったからです。
赤ちゃんはハイハイとそれほど変わらずに、つかまり立ちにも挑戦します。そのため、「ズリバイ→つかまり立ち→ハイハイ」の流れで運動機能が発達する子もいます。
ハイハイより先につかまり立ちができても心配する必要はないですが、生後9-10ヶ月を過ぎてもハイハイしなかったり、四つん這いが崩れる場合は医師に相談してください。
赤ちゃんのハイハイ練習方法
まーさ
生後7-8ヶ月を過ぎてハイハイしないときは、コミュニケーションを取りながらハイハイの練習をして良いと思います。以下の流れで、無理せず進めてください。
- STEP.1ママが四つん這いを見せる赤ちゃんに四つん這いの形とハイハイを見せましょう。赤ちゃんのズリバイと並走しても良いですし、周りをぐるぐる回っても良いです。
- STEP.2四つん這いの練習をする赤ちゃんをうつ伏せにして持ち上げると
対称性緊張性頸反射 という反射行動をとります。赤ちゃんをゆっくり布団の上に降ろして、四つん這を意識させましょう。 - STEP.3手を補助してハイハイさせる赤ちゃんは腰回りと足の筋肉が先に発達するので、手を支えながら前に出して進むことを教えます。四つん這いで足の方が崩れる子には、足を曲げて補助します。
- STEP.4お友達のハイハイを見せるハイハイができる子が近くにいると、その子を真似しはじめます。保育園に通う子の成長が早いのはそのためです。保育園に通ってなくても、児童館に行けば近い月齢の子はいますよ。
- STEP.5ママの声掛けで興味を引く四つん這いができたら赤ちゃんの正面に行き、手を伸ばしても少し届かないところで「◯ちゃーん、おいでー。」と声掛けします。両手を見せて、抱っこをイメージさせます。
- STEP.6おもちゃで興味を引くまた四つん這いになったら近くにお気に入りのおもちゃを置いても良いです。初めは四つん這いを崩してズリバイで移動しますが、慣れると少しずつハイハイで移動できるようになります。
赤ちゃんがハイハイをしない原因
まーさ
赤ちゃんがハイハイする時期は生後7-8ヶ月ごろですが、生後10ヶ月を過ぎてもハイハイしない赤ちゃんは10%、1歳を過ぎる子も5%ほどいます。
赤ちゃんのハイハイが遅れている原因はなんでしょうか。
身体機能が十分に発達していない
赤ちゃんがハイハイをするには手足の骨格が発達して身体を支える筋力と姿勢を保つ腰回りの筋力がつき、手足を左右交互に出すコントロールができないといけません。
さらにハイハイの最中は前を見るため常に首を持ち上げますが、大人でもこれらの動きを長時間すると疲れます。
赤ちゃんの発達時期は一律じゃありません。もし身体機能の未発達が原因なら、腰回りの発達に必要なお座りに安定感がなかったり、上手にズリバイできない可能性もあります。
動きたい興味や欲求が薄い
赤ちゃんは安定したお座りができると、1人遊びをするようになります。
赤ちゃんが1人遊びをしているときは、ママも少しだけ赤ちゃんから離れて家事をすることができ、今までより少し楽になった気がします。
そのため、「もっといっぱい1人遊びしてて欲しいなぁ。」と赤ちゃんの周りにおもちゃを配置します。また、バンボなどに座らせて、できるだけ長く1人遊びを促しているかもしれません。
ただ、このように赤ちゃんが自分の意志で動かなくても良い状況を作ってしまうと、赤ちゃんの行動範囲が狭くなってしまいます。
加えて、この時期に赤ちゃんが要求する以上に抱っこをしたり、おもちゃを取ってあげたりすると、赤ちゃんの動きたいという興味欲求が薄くなってしまう可能性があります。
赤ちゃんにはある程度自由に行動できる範囲を与え、見えるところ複数箇所におもちゃを置くなど、興味が湧くような工夫をしてみてください。
発達障害や病気など
知的障害と発達性協調運動障害
発達障害には、知的能力の発達に遅れが生じているため適応行動に問題が生じる「知的障害」、身体機能の発達に遅れが生じているため全身運動や微細運動に問題が生じる「発達性協調運動障害」、またはその両方があります。
いずれにしろ、赤ちゃんに発達障害があると、ハイハイが遅れたり、ハイハイをしない原因になります。
2012年に文部科学省が全国の公立小中学校に通う5万人の児童を対象にした調査結果では、発達障害の可能性がある児童の割合は6.5%となっています。
ただし、この数字は公立小中学校に通う児童であり、養護学校や特別支援学校に通っている発達障害児は含まれていません。また、発達障害の重度も関係ありません。
4.5% … 学習面で著しい困難
3.6% … 行動面で著しい困難(当社注:全体指示が入らない、落ち着きがなく着席が不安定等)
1.6% … 学習面・行動面の両面で著しい困難
筋ジストロフィー・や先天性ミオパチー
また、筋ジストロフィーや先天性ミオパチーなどの筋疾患、神経疾患の場合も、赤ちゃんがハイハイをしない原因になります。
ハイハイしない・できない原因を理解できたら
さて、赤ちゃんがハイハイしない・できない原因を理解できたら、その原因に合わせた対策をしましょう。
身体機能が十分に発達していない場合
身体機能が十分に発達していない赤ちゃんの場合は、赤ちゃんがハイハイをする平均が生後7-8ヶ月とわかっていても、焦らずに見守ってあげなければいけません。
赤ちゃんの発達はある程度順番に進んでいくため、安定したお座りやズリバイを経ていなければ、その分赤ちゃんの発達も遅れるものだと認識しましょう。
動きたい興味欲求が薄い場合
動きたい興味欲求が薄い赤ちゃんは、前述した通り、赤ちゃんにある程度自由な行動スペースを与えて、見えるところ複数箇所におもちゃを置くなどの他に、ママが積極的に声掛けをして誘導するなど、赤ちゃんの興味関心をひいて動きたくなる工夫をしましょう。
ママの声かけによる誘導や声かけで赤ちゃんと心を通わせる行為は、赤ちゃんの身体機能や興味関心に関係なく、愛着関係を作るためにも必要な行為です。
発達障害や病気などが疑われる場合
赤ちゃんに発達障害や病気などが疑われる場合は、医師に相談し、家庭での対応を相談してください。ただし、発達障害や病気がすぐに判明するとは限らず、しばらく様子を見るように言われる場合があります。
また、発達障害や病気とは関係なく、ハイハイしない赤ちゃんが「いざりばい」をする場合があります。いざりばいの詳細は以下を参考にしてください。
1歳前後の赤ちゃんの発達は、身体的にも精神的にも個人差があるものです。ママは焦りと心配で神経をすり減らす期間が続きますが、どちらにせよ赤ちゃんの成長のためにできることをしていくしかありません。
あまりトレーニング・練習と気負った考え方をしないで、赤ちゃんと楽しく遊ぶことを前提に、少しずつ身体の発達を促してあげましょう。
赤ちゃんのハイハイは安全な環境で行う
赤ちゃんがハイハイできるようになったら、行動範囲と行動スピードに注意しましょう。
ズリバイや寝返りで移動してたころは「あらあら、あんなとこまで行っちゃって。」と余裕で言えたのが、「わー、ちょっと待ってストーーップ!」となります……(^_^;)
そのため赤ちゃんがハイハイし始めたら、台所、高さがある玄関、階段など危険な場所には、ベビーゲートを設置しましょう。日本の住宅事情ではベビーゲートは必須です。
ベビーゲートはママが片手で開閉でき、3歳未満の子が簡単に開けられないものを選びましょう。ロックを開けるために1アクション必要なものなら3歳未満まで使えます。
- 開閉できるロック式ゲートがついたもの
- 開けたゲートが自動で閉まるもの
- ロックの開閉はママが片手でできるもの
- ロックの開閉に1アクション必要なもの
- 高さが60-70cm以上あるもの
- 付け場所を変えるため拡張性があるもの
- 子供が揺らしても壊れにくいもの
これらの要素を満たしたベビーゲートがおすすめです。
また口に入れるものがないように周りを片付けたり、家具などの出っ張りにクッションなどの保護材をつけましょう。
- 周囲に物を置かない
- テーブルの上などに小物を置かない
- ジョイントマットなどを敷く
- 家具の角に吸収材を貼る
- 家具の転倒を防止する
- テーブルクロスなどは使わない
- 引き出しストッパーを使う
- 目隠し用の布をかける
- ヒーター・ストーブ用の柵を用意する
- 重要な場所にはベビーゲート
- 家電のチャイルドロックをかける
安全対策以外のママの困り事は、どこに行っても赤ちゃんが付いてくる「後追い」ですね。
最初は可愛いのですが、家事ができない……トイレに行けない……顔が見えないだけで激しく泣く……では困りますね。以下の後追い対策も参考にしてください。
ママは常に赤ちゃんからストレスを受けますが、ある程度は仕方ありません。赤ちゃんの成長の喜びに目を向けて、ストレスが溜まらない心の持ち方を模索するしかありません。
いろいろ大変なことはありますが、それだけ楽しいこともたくさんあるので、赤ちゃんと良いハイハイライフを楽しめるようにしましょう。
赤ちゃんの首すわりからひとり歩きまでの運動機能の時期が気になる人は、以下を参考にしてください。それぞれの練習方法も合わせて説明しています。