「ねぇ先生、うちの子お休みの日はお昼寝ばっかりなんですけど変なんですかね?」
わたしがこれまで受け持った子は3-5歳が多いんですが、3-5歳のお昼寝時間は個人差があり、たくさんお昼寝する子もいれば、ほとんどしない子もいます。
ただ「休みの日はお昼寝ばっかり」は良い傾向じゃないですね。このようなママに子供の就寝時間と聞くと、「え?決まってません。」という回答が多いです……(^_^;)
子供が3-5歳になると成長したように感じるかもしれませんが、まだ大人の生活リズムに合わせられるほど心身は成長してません。
お昼寝の有無にかかわらず、夜は20-21時に就寝して朝6-7時に起きる生活リズムを作ることが理想です。
なぜ子供は就寝時間を決めて、睡眠リズムを作らないといけないんでしょう。また仕事などでママが夜遅くなる場合は、どうしたらいいでしょうか。
今回は子供の睡眠時間と就寝時間が大切な理由、規則正しいリズムを作ることが大切な理由についてお話します。
目次
年齢別の睡眠時間の目安
まーさ
まずママは”規則正しい生活リズム”を理解するために、月齢別、年齢別の子供の睡眠時間の目安を把握しましょう。
乳幼児期の睡眠は単純に体が大きくなるだけじゃなく、身体機能や脳が育つ大切な行為です。そのため、必要な睡眠をとらないと、心と体の成長が阻害されます。
生後0-3ヶ月児の睡眠時間と注意点
生後3ヶ月までの睡眠時間は、1日15-18時間前後です。この時期は「○時に寝かせないといけない」「お昼寝は○時間しなければいけない」という概念はありません。
ひたすら赤ちゃんのペースで眠らせて、赤ちゃんが起きた時に授乳やおむつ替えなどをする時期です。
生後4-11ヶ月児の睡眠時間と注意点
生後4-11ヶ月ごろの睡眠時間は、1日12-15時間前後です。この時期は昼夜の区別をつけ、夜の睡眠時間を明確にする時期です。
また夜泣きの時期なので夜に子供を寝かせずにお昼寝で補おうとするママがいますが、お昼寝はあくまでも長い1日を元気よく過ごす一時休憩の役割です。
成長ホルモンのメラトニンも太陽の明るさを感じて、夜の睡眠中に大量に分泌されます。そのため夜の睡眠時間を長くするために、昼間の遊び方・過ごし方を調整してください。
1-2歳児の睡眠時間と注意点
1-2歳児の睡眠時間は、1日11-13時間前後です。この時期は子供が外を走り回るようになる時期です。そのため、昼間にたくさん遊ぶことで夜に眠りやすくなります。
ただし子供が疲れ過ぎるとお昼寝が長くなったり、夕方以降に眠ってて夜の睡眠に影響が出ることもあります。そのため昼夜の生活リズムを作ってあげる必要があります。
3-5歳児の睡眠時間と注意点
3-5歳児の睡眠時間は、1日10-12時間前後です。この時期の子供の睡眠時間は9-10時間で、8時間睡眠に近づいていきます。そのため、徐々にお昼寝がいらなくなります。
後で話しますが、夜の睡眠時間が8時間程度しかとれない子は規則正しいお昼寝で睡眠時間を補助し、夜の睡眠のリズムを崩さないようにすることが大切です。
規則正しい就寝時間が大切な理由
まーさ
子供の就寝時間が規則正しい方が良い理由は、子供の成長に影響があるからです。
メラトニンが正しく分泌されるため
メラトニンは身体の成長だけじゃなく、睡眠を促すホルモンです。メラトニンには体温、脈拍、血圧を下げる働きがあり、寝付きを良くしてくれます。
夜中に大量に分泌されたメラトニンは太陽の光を感じると分泌量が減り、睡眠からの覚醒を促します。そして、夜になるとメラトニンの分泌……と繰り返します。
この昼夜に感じる光の変化でメラトニンが正しく分泌されると、子供は規則正しい睡眠をとれるようになります。
メラトニンが分泌されるのは覚醒から14-16時間後なので、子供が朝7時に起きたら午後8-9時に就寝しないと、質の高い睡眠・効率の良い成長につながりません。
体内時計と睡眠のしくみ | 体内時計を調節するホルモン、メラトニン | 体内時計.jp|武田薬品工業
レム睡眠の波をきっちり捉えるため
子供の睡眠時間は全体的に眠りが浅く、レム睡眠は50-60分周期でやってきます(以下子供の年齢による)。
レム睡眠とは体が休息し、脳が動いている状態です。夜中に脳を動かして昼間の情報整理を行い、効率的に身体の成長につなげます。
- 新生児|40-50分
- 生後2-4ヶ月|40-50分
- 生後3ヶ月|50-60分
- 生後5-6ヶ月|50-60分
- 生後7ヶ月-1歳|50-60分
- 1歳以降|60-90分に移行していく
画像を見る限り子供のレム睡眠の周期は幼いほど短く、1歳前後でおよそ60分、2-5歳で60-80分、5-10歳には90分と大人のレム睡眠の周期に近づいていきます。
集団生活が始まると決まった時間に起きないといけないですが、レム睡眠の周期を把握してないと子供を無理やり起こすことになり、昼間の生活に影響を及ぼします。
子供の不規則な睡眠や遅い時間に寝る影響
まーさ
規則正しい睡眠の習慣化ができないと、メラトニンが効率良く分泌されず子供に以下の影響があります。
- 体力を回復できないため、疲れが残ってしまう
- 病気を予防する免疫の働きが鈍ってしまう
- ストレスを解消できず、イライラが残ってしまう
- 記憶中枢である海馬の発達を妨げてしまう
- 成長ホルモンの効果をバランスよく受けられない
- 血流が悪くなり代謝が落ちてしまう
さらに不規則な睡眠が続くことで、子供の生活や成長に以下の悪影響があります。
- 発達の遅れ、学習障害、構音障害などにつながる
- 落ち着きが無く、行動が衝動的になったり多動になる
- 身長が伸びなくなる、体重が増えなくなる
- 太りやすくなる
- 筋肉量が十分でなく、骨がもろくなってしまう
- 抵抗力が弱くなり、病気にかかりやすくなる
- 集中力や記憶力を維持できない
- やる気が無くなり、うつ症状が出てしまう
これらは、0-2歳の子供がお昼寝をしないときに受ける影響と同じです。
お昼寝は夜の睡眠の補助のためにするものです。0-2歳の子供にとって1日は長いので、お昼寝を何度か挟んで、規則正しい睡眠リズムを整えなければいけません。
子供の寝る時間が遅くなる場合の対応
まーさ
共働きやシングル家庭、仕事が夜メインの家庭では保育園のお迎えが遅くなり、夜8-9時に子供を寝かせられないこともありますね。
家庭環境が違うので、親の努力だけだとどうしようもないことはあります。
その場合は、「今日は遅くなってしまった。」「今日は早く寝かせることができた。」じゃなく、なるべく子供を同じ時間に寝かせて同じ時間に起こしてください。
たとえば3歳の子を夜11時に寝かせた場合、7-8時間寝かせて朝6-7時に起こします。足りない睡眠は保育園の規則正しいお昼寝で補います。
もちろん家事の時短・効率化で子供をあと30分早く寝かせる努力は必要です。少しでも就寝時間を早くできるなら、工夫した方が良いです。
また子供を寝かせたい時間にちょうどパパが帰ってきてしまい、子供が興奮して寝れなくなることもあります。
パパも起きている子供と会うと心が癒やされると思いますが、子供の就寝時間近辺の帰宅は控えましょう。
子供の就寝時間が決まっていれば、パパは帰宅時間をずらせます。ママがLINEやメールなどでメッセージを送っておけば、30分は時間を潰せるはずです。
大人の睡眠リズムに近づく10歳ごろまでは、子供のために質の良い睡眠と規則正しい就寝・起床を維持できるよう夜8-9時の就寝時間のコントロールをがんばってください。