まーさ
街中で双子や三つ子を見かけると、可愛いなぁいいなぁと思いますよね。もちろん二人同時に育てるのが大変なことはわかってますが、それでも羨ましく感じます。
ただ双子や三つ子は育児が大変なだけじゃないんです。双子や三子の妊娠は医学的に異常妊娠と定義されていて、妊娠・出産にいろんなリスクがあるんです。
- 双子とか三つ子ってなんで生まれるの?確率ってどれくらい?
- 双子・三つ子の妊娠がリスクってどういうこと?何が危険なの?
- もし双子・三つ子ってわかったら何に注意すればいいの?
昔に比べて双子・三つ子の割合は増えましたし、その理由もあります。そのため、あなたも双子・三つ子を生む可能性はあるんです。
ただ双子・三つ子は1人よりも妊娠中のリスクが増します。とくにこれから妊娠したい人はこの記事を読んで、双子・三つ子について詳しく知っておきましょう。
目次
多胎妊娠の基本知識
まーさ
多胎妊娠とは同時に2人以上の胎児を妊娠することです。1人の胎児の妊娠は「
多胎妊娠は、胎児の数で呼び方が変わります。双子は「
多胎妊娠は妊娠全体の1%ほどで、単胎妊娠と比べて周産期死亡、早産、発育不全の確率が高く、母体リスクもあるので医学的には異常妊娠・ハイリスク妊娠と定義されます。
多胎妊娠が起こる原因
多胎妊娠は偶発的に起こりますが、多胎妊娠の確率が高まるいくつかの原因があります。
遺伝
一卵性の多胎妊娠に遺伝は関係ないんですが、二卵性の多胎妊娠は遺伝が関係すると言われます。
高齢妊娠
高齢妊娠が多胎妊娠の原因になるのは、統計上の推測です。以下の表を見ると、双胎の割合(双胎の頻度)が増えるほど30歳以上の産婦の割合も増えてますね。
多胎妊娠の実態とその予防|日本産科婦人科学会
不妊治療
不妊治療は受精卵の数が多い方が妊娠率が上がるので、体外受精で精製した受精卵は複数個を体内に戻します。受精卵が複数個あると、多胎妊娠の可能性も高くなります。
一卵性と二卵性の違い
多胎妊娠には一卵性と二卵性があります。中でも双子の違いとして、「
一卵性双生児とは
一卵性双生児とは、子宮内膜に着床した受精卵が偶然2つに分かれて、それぞれが胎児に成長した状態です。
一卵性双生児は同じ遺伝子を持つ1つの受精卵から2人の子供が生まれるので、成長しても遺伝子は同じです。そのため容姿がそっくりになります。
同じ遺伝子なので性別は同じですが、稀に男女にわかれる場合もあるようです。
二卵性双生児とは
二卵性双生児とは、2つの違う受精卵が子宮内膜に着床して、それぞれが胎児に成長した状態です。
二卵性双生児は違う遺伝子を持つ2つの受精卵から1人ずつ子供が生まれるので、遺伝子が違います。そのため双子でもそっくりじゃないので、普通の兄弟姉妹のように見えます。
三つ子以上の場合は?
三子の場合は一卵性の三つ子、二卵性の三つ子、三卵性の三つ子があり、四つ子の場合も一卵性の四つ子、二卵性の四つ子、三卵性の四つ子、四卵性の四つ子があるそうです。
膜性による多胎妊娠の種類
双子には一卵性と二卵性がありますが、さらに
二絨毛膜二羊膜双胎(DD)
二絨毛膜二羊膜双胎とは、胎児1人につき羊膜と絨毛膜を1つずつ持っている多胎妊娠です。胎児が育つ部屋が別で、それぞれ専用の胎盤を持っています。
二卵性双生児は100%の確率で二絨毛膜二羊膜双胎になり、一卵性双生児は25%の確率で二絨毛膜二羊膜双胎になります。
一絨毛膜二羊膜双胎(MD)
一絨毛膜二羊膜双胎とは、胎児1人につき1つの羊膜を持っていて、絨毛膜を共有する多胎妊娠です。胎児が育つ部屋が別で、胎盤は共有しています。
一卵性双生児は75%の確率で一絨毛膜二羊膜双胎になります。
一絨毛膜一羊膜双胎(MM)
一絨毛膜一羊膜双胎とは、2人の胎児が羊膜と絨毛膜を共有する多胎妊娠です。胎児は同じ部屋と同じ胎盤を共有しています。
一卵性双生児の1%のみが一絨毛膜二羊膜双胎になるという珍しい多胎妊娠です。
双子・三つ子に関するいろんな確率
まーさ
双子・三つ子の出産率は?
筑波大学臨床医学系産婦人科講師の斉藤先生によると、多胎妊娠は増加傾向とのこと。厚生省統計情報部の資料によると多胎出産率(復産率)の推移は以下の通りです。
多胎妊娠の実態とその予防|日産婦誌61巻9号|日本産科婦人科学会
1955年から1975年までは、1000分娩あたりの多胎妊娠は6-7件前後(0.63%)でしたが、1997年には1000分娩あたり9.36(0.94%)まで多胎妊娠が増えています。
平成22年度の厚生労働省の資料を見ても、多胎妊娠の出生割合は増えてます。このグラフは死産を含まない出生数で、単産が左側、複産が右側の数値(万人)を見ます。
昭和50年時点で単産190万人に対して複産(双子)2万人ほどなので、出生件数で比較するとおよそ190:1です。つまり双子が生まれる確率は0.5%(人数だと1.0%)です。
ところが平成21年には、単産110万人に対して複産2万人ほどなので、出生件数は110:1で双子が生まれる確率は0.9%(人数で言うと1.8%)に増えてます。
双子・三つ子の自然妊娠率は?
「多胎妊娠の実態とその予防|日産婦誌61巻9号|日本産科婦人科学会」を見ると、双子、三つ子、四つ子、五つ子の多胎妊娠における自然妊娠率は以下の通りです。
- 双胎|67.6%
- 三胎|19.6%
- 四胎|0%
- 五胎|0%
多胎妊娠の自然妊娠率は双子に比べて三つ子の方が圧倒的に低く、四つ子以上の自然妊娠は0%です。これは人工授精の増加によって、多胎妊娠が増えていると予想できます。
双子・三つ子の早産率と出産週数は?
多胎妊娠の早産率と平均分娩週数は以下の通りです。
- 双胎|42.2%(妊娠35.1週)
- 三胎|85.0%(妊娠32.7週)
- 四胎|88.9%(妊娠29.3週)
- 五胎|100%(妊娠25.0週)
双子の出産のうち約4割が早産で、出産した妊娠週数も平均35週なので後期早産になります。三つ子の出産は8割以上が早産で、出産も平均33週を割っています。
- 流産|-妊娠妊娠22週6日
- 早産|妊娠22週0日-妊娠36週6日
- 後期早産|妊娠34週0日-妊娠36週6日
- 正期産|妊娠37週0日-妊娠41週6日
- 過期産|妊娠42週0日-
双子・三つ子の出生時平均体重は?
多胎妊娠で出産した赤ちゃんの平均体重は以下の通りです。
- 双胎|2153g(±703g)
- 三胎|1673g(±485g)
- 四胎|1203g(±359g)
- 五胎|993g(±249g)
多胎妊娠の出生時体重は、双子でも平均2153gの低体重児なので出産リスクがあります。
さらに三つ子は極低出生体重児(体重が1500g未満)、四つ子以上では超低出生体重児(体重が1000g未満)の可能性が高くなります。
- 高出生体重児(巨大児)|4,000g以上
- 正出生体重児|2,500g以上4,000g未満
- 低出生体重児(低体重児)|2,500g未満
- 極低出生体重児|1,000g以上1,500g未満
- 超低出生体重児|1,000g未満
双子・三つ子の形態異常や周産期死亡・新生児死亡は?
多胎妊娠は早産の確率が高く出生体重も軽いので、胎児の形態異常や周産期死亡、新生児死亡の割合が増えます。これらの割合を円グラフにすると以下のようになります。
形態異常も新生児死亡もない赤ちゃんは双子だと8割強ですが、五つ子は5割ほどです(形態異常に該当しない障害は数値に含まれない)。
このようにいろんな数字を見ても、双子や三つ子などの多胎妊娠はリスクが高いことがわかりますね。
多胎妊娠にはどんなリスクがある?
まーさ
多胎妊娠の母体のリスク
つわりが重い
一般的に多胎妊娠はつわりが重くなると言われますが、妊娠によってつわりの重さは変わりますし、個人差もあるので何とも言えません。
バニシングツイン
バニシングツインとは、妊娠初期に1人の胎児を流産することです。流産と言っても胎嚢が母体の組織に吸収されるので、流産後に特別な処置はいりません。
バニシングツインは双胎の10-15%に見られる症状で、妊娠中期以降の1児死亡に比べるともう一方の胎児に与える影響は少ないそうです。
日本医科大学多摩永山病院女性診療科・産科医局-情報-多胎妊娠
胎児体重の負担
双子の早産率は40%ほどで出産週数は平均35週なので、単胎妊娠より4-5週早く産まれます。そのため出生児の体重も軽く、平均出生体重は2,200グラム/人です。
とは言え2人いるので合計4,400グラム以上もあり、巨大児をおなかに抱えてるよりも負担が大きくなります。もちろんおなかの張りも2人分だとかなりきついです。
貧血と脱水症状
多胎妊娠は、単胎妊娠に比べて胎児に流れる血液が多いので、母体の血液が必要です。血液には鉄分が含まれるため、母体は鉄分が不足して、より貧血を起こしやすくなります。
また血液が流れる分だけ水分も必要なので、脱水症状にも気を付けなければいけません。
全身のむくみ
多胎妊娠は単胎妊娠よりも早いスピードで子宮が大きくなります。
子宮の急激な拡大で全身の血流が悪くなると、冷え性やむくみにつながります。とくに足先に流れた血液は滞留しやすいので痛みも伴います。
妊娠糖尿病
妊娠糖尿病とは、糖尿病と似た妊婦特有の糖代謝異常のことです。糖代謝異常があると胎盤の機能が低下し、妊娠高血圧症候群や尿路感染症などの合併症の原因になります。
妊娠高血圧症候群
妊娠高血圧症候群とは妊婦特有の高血圧状態のことで、妊娠20週以降から分娩後12週の間で母体に高血圧症状が見られます。
子癇と呼ばれる痙攣、HELLP症候群、常位胎盤早期剥離などを合併する場合があります。
弛緩出血
多胎妊娠は通常の分娩後よりも子宮が伸長するので、産後に子宮の収縮力が弱くなり、自力の出血抑制ができずに大量の出血をすることがあります。
赤ちゃんに及ぼすリスク
多胎妊娠が赤ちゃんに及ぼすリスクは、多胎妊娠の種類によって異なります。
単胎妊娠に比べて二絨毛膜二羊膜性(DD)は3倍、一絨毛膜二羊膜性(MD)が10倍、一絨毛膜一羊膜性(MM)では100倍も赤ちゃんのリスクが高くなります。
切迫早産・早産
多胎妊娠は胎児にとって子宮が狭く、子宮収縮や子宮口の開口も起こりやすいので早産の可能性が増します。双子は40%、三つ子は85%が早産になります。
低出生体重
双子の平均出生体重は2,200グラムなので、低出生体重児になります。三つ子以上はさらに平均出生体重が軽くなります。
胎児発育不全(FGR)
多胎妊娠は単胎妊娠に比べて子宮内が狭いので、胎内の姿勢によって胎児奇形や胎児発育不全(FGR)になる場合があります。
胎児ジストレス・胎児死亡
多胎妊娠の胎児は母体の妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群などで胎児ジストレスを起こしたり、胎児死亡に至る場合もあります。実際に多胎妊娠は死産の大きな原因になってます。
(日本産科婦人科学会の周産期登録データベースが参考とのこと)
多胎妊娠とわかったらどうする?
まーさ
多胎妊娠は病院で出産をします。助産院では医療行為ができないので、万が一を考えて設備が整った総合病院を選んでください。
仮に三つ子だとそれだけで妊娠リスクスコアが双子よりもハイリスク群と判断され受け入れできない病院も多いので、早めの病院探しが大切です。
また自然分娩を心がけている病院もありますが、帝王切開の可能性が高まります。
多胎の自然分娩は時間がかかりますし、
一卵性双胎児が胎盤を共有した状態(一絨毛膜双胎)のときに、共通胎盤上の吻合血管を通して引き起こされる血流移動のアンバランスによって両児の循環不全を生じる病態
双子や三つ子はたしかに可愛いですし、羨ましいと思います。でも裏にはたくさんのリスクがあり、母子ともにリスクを乗り越えた努力の末に生まれてきてるんです。
もし多胎妊娠が判明したら子供を授かったことを感謝しつつ、多胎のリスクを十分に理解して医師の言うことを守り、元気な可愛い赤ちゃんに会える様にがんばりましょう。
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