まーさ
40代になっても出産がまだ余裕だと思ってる人は多いですね。
というのも、世の中には高齢出産(第1子が35歳以上、第2子以降が40歳以上)で赤ちゃんを産んだママがたくさんいます。芸能人にも高齢出産の人はたくさんいます。
他人の高齢出産の話を聞くと「自分もまだイケる!」と希望を持つかもしれませんが、高齢になるほど妊娠・出産はリスクを伴います。
そもそも妊娠率も低いですし、流産や死産の確率も上がります。赤ちゃんの機能不全や奇形、脳障害があるかもしれません。もちろん妊婦の病気の可能性も上がります。
- 高齢出産の割合って今どれくらいいるのかな?
- 高齢出産ってどんなリスクがあるの?流産も増えるの?
- 今から高齢出産するならどんな準備が必要?
今アラフォーで出産に挑戦したい人は、楽観的でも悲観的でもいけません。高齢妊娠・高齢出産にどんなリスクがあって、どれくらいの確率で起こるのか正確に知りましょう。
この記事を読むことで高齢出産と冷静に向き合ってください。
目次
35歳以上高齢出産の人数と割合
まーさ
自分の周囲を見回して高齢出産と言える人はどれくらいいるでしょうか。厚生労働省の人口動態統計を見ると、高齢出産の人数と割合がわかります。
第1子出産数 | 第2子出産数 | 第3子以上出産数 | |
---|---|---|---|
35-39歳 | 81254人(17.00%) | 93249人(25.67%) | 53786人(32.72%) |
40-44歳 | 19084人(3.99%) | 19660人(5.41%) | 12449人(7.57%) |
45歳以上 | 622人(0.13%) | 354人(0.10%) | 332人(0.20%) |
合計 | 478071人 | 363219人 | 164366人 |
平成27年人口動態統計月報年計(概数)の概況 – 厚生労働省
平成27年度の第1子出産数は478071人、第2子出産数は363219人、第3子以上出産数は164366人です。そのうち高齢出産は第1子21.12%、第2子5.51%、第3子以上7.77%です。
さらに全体で見ると第1子35歳以上の高齢出産率は10.04%、第2子40歳以上の高齢出産率は3.26%、高齢出産全体は全出産中13.03%です。
ちなみに平成27年生まれの赤ちゃんのうち1300人のママは45歳以上です。もちろんこれらは自然妊娠だけじゃなく、体外受精(IVF)を合わせた数です。
高齢妊娠・高齢出産のリスク
まーさ
高齢妊娠・高齢出産にはどんなリスクがあるんでしょうか。
初期流産が増える
妊娠適齢期と呼ばれる20代前半から30代前半の流産率は10%ほどですが、35-40歳は20%、40歳以上は35-40%に増えます。これは卵子や精子の老化が大きな要因です。
資料では、女性の加齢と共に卵子の質・量が低下し、30歳から妊娠可能性が低下し始め、35歳前後からは流産率の上昇などリスクが高まり、男性でも加齢で精子の状態が低下すると説明。避妊をしていないのに2年以上妊娠に至らない「不妊症」は約10%の確率で起こり、その原因は男性側24%、女性側41%、両方24%、原因不明11%と説明。不妊治療を受けても必ずしも妊娠できるわけではなく、夫婦で検査と治療をどこまで受けるかを考えることが必要と指摘している。
またアメリカの36,056例を対象とした研究では、35歳未満の妊婦に対して35歳-40歳の妊婦の流産率は2倍、40歳以上では2.4倍に上昇すると発表されています。
齢階層別に見た産科合併症の総分娩数に対する割合|杏林医会誌 47巻1号 77~79 2016年3月|厚生労働省
染色体異常が増える
高齢妊娠・高齢出産は、胎児の染色体異常の確率も上がります。染色体異常の頻度は、20歳の妊婦が1/526に対して、40歳では1/66と約8倍上昇しています。
しかも以降の年齢でも染色体異常は何倍にもなり、40歳から42歳でさらに3倍、40歳から45歳で6倍、40歳から46歳で8倍です。これは20歳と比べると66倍のリスクになります。
同様にダウン症候群をの確率も増えています。20歳では1667人に1人の割合で生じていたダウン症は、40歳で106人に1人、45歳で30人に1人です。
帝王切開が増える
子宮内膜症や子宮筋腫などの病気も増え、子宮内環境が悪化します。子宮内環境の悪化で胎児への栄養供給量も減り、胎児発育不全による低出生体重児の出産が増加します。
また子宮の老化で陣痛が弱くなったり、子宮口が開大しないなどの原因で難産の確率も上がります。結果的に帝王切開による出産が増えてしまいます。
妊娠中期-後期の合併症が増える
子宮内環境が悪化したり、胎児の発育を阻害する要素には合併症の懸念があります。そして高齢になるほど合併症の確率は上がります。
以下で、もう少し合併症のリスクと年齢の関係性を見てみます。
妊娠の合併症リスクと高齢出産の関連性
まーさ
徳島大学大学院産科婦人科学分野の苛原稔教授は、妊娠・出産に伴う合併症のリスクと母体年齢の関連性について調査を行いました。
周産期医療施設の単胎575,927例(2001-2010年)を調査して、頻度の高い8つの産科合併症と年齢の相関性を以下のように表しています(20-34歳を相対リスク1として算出)。
年齢と妊娠・出産に伴う合併症のリスク評価について|厚生労働省
不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会報告書|厚生労働省
20歳未満 | 20-34歳 | 35-39歳 | 40歳以上 | |
---|---|---|---|---|
妊娠高血圧症候群のリスク | 0.68 | 1.00 | 1.66 | 2.55 |
前期破水(37週未満)のリスク | 0.96 | 1.00 | 1.00 | 1.14 |
切迫早産のリスク | 1.78 | 1.00 | 0.83 | 0.75 |
子宮頚管無力症のリスク | 1.32 | 1.00 | 1.04 | 1.04 |
絨毛膜羊膜炎のリスク | 1.07 | 1.00 | 1.00 | 1.04 |
前置胎盤のリスク | 0.36 | 1.00 | 1.76 | 2.19 |
常位胎盤早期剥離のリスク | 0.67 | 1.00 | 1.18 | 1.5 |
切迫早産や子宮頸管無力症など若年出産でリスクが増す合併症もありますが、高齢ととくに関係が高い合併症は、妊娠高血圧症候群、前置胎盤、常位胎盤早期剥離です。
妊娠高血圧症候群は20-34歳に比べて35-39歳の発症確率が1.66倍、40歳以上は2.55倍、前置胎盤は20-34歳に比べて35-39歳が1.76倍、40歳以上は2.19倍、また常位胎盤早期剥離は20-34歳に比べて35-39歳が1.18倍、40歳以上は1.5倍に高まります。
妊孕性に対する知識教育が必要
高齢出産で生まれる子の割合は、全出産中13.03%(約13万人)もいます。そして母親の年齢が40歳以上で生まれてくる赤ちゃんは5万人以上もいます。
この子たちは生まれることができて幸運でした。「どうしても赤ちゃんが欲しい!」と望んでも叶わない家族は少なくないです。
国立成育医療研究センターの齊藤英和博士は、妊娠適齢期を20代-30代前半としています。加えて日本人の
高齢出産を知っていてもリスクは認識しないで、「芸能人の◯◯さんが40歳で産んでるから大丈夫。」と良い面しか捉えていない可能性があるということです。
現在10-20代の女性で将来の出産を望むなら、「高齢出産」という定義がある理由を認識しましょう。そして「自分は産みたいときに産む」がどこまで通用するか真剣に考えてみてください。
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