まーさ
妊産婦死亡とは妊娠中および産後満42日未満の間に妊娠・出産に関連する原因で死亡した妊婦のことで、妊婦10万人中の死亡割合を「妊産婦死亡率」と言います。
妊婦が第一に考えることは赤ちゃんが順調に育ってるか、健康に生まれてくれるかですよね。ただ身体の変化、おなかや腰の痛み、陣痛や分娩に対する恐怖から
まーさ
という考えが頭をよぎります。今は妊娠・出産年齢も上がってますが、年をとると母体リスクが高くなるという話を聞いて、
- 妊婦が死んでしまう確率ってどれくらいなのかな……。
- どんな理由で妊婦が死んでしまうんだろう……。
- やっぱり30代後半とか40代だと死亡率高いよね?
と不安を募らせる人も多いでしょう。出産する妊婦は命に責任があります。そのためおなかの中の赤ちゃんだけじゃなく、自分のリスクも知っておくべきです。
そこで今回は妊婦に起こる妊産婦死亡の原因と妊産婦死亡率についてお話しますね。若い人も妊娠・出産のリスクを知っておきましょう。
日本の妊産婦死亡率の推移
まーさ
ドラマを見ていると、妊婦が出産で命を落とすシーンが割とありますよね。そのため出産で死亡する妊婦は多いイメージがあります。
もちろん妊娠・出産による死亡の危険性はゼロじゃないので怖いことは怖いですが、昔に比べると妊産婦死亡率は圧倒的に減っています。
上グラフは統計を開始した1899年から2007年までの妊産婦死亡率です。1899年に10万人中409.8人(0.41%)が2007年には10万人中3.1人(0.003%)に減っています。
医療技術の進歩によって妊産婦死亡率は世界全体で減少しています。以下を見てわかる通り、妊産婦死亡率が低い国は10万人中3-5人前後の数字に収まっています。
日本の妊産婦死亡率も世界トップクラスの低さで、2009年が10万人中3.1人、2010年が4.1人、2011年が3.8人、2012年が4.0人、2013年が3.4人です。
妊産婦死亡の人数と原因
まーさ
妊産婦死亡の原因は、
直接産科的死亡は妊娠・出産自体が死亡原因で、間接産科的死亡は妊娠前の病気などが妊娠・出産で悪化した死亡のことです。その他は事故や原因不明です。
日本産婦人科医会によると妊産婦死亡の内訳は直接産科的死亡が63%、間接産科的死亡が32%、その他が5%となっています。
また厚生労働省が発表した「平成26年人口動態統計」によると、妊婦の直接産科的死亡、間接産科的死亡、その他による死亡の数は近年以下のように推移しています。
2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | |
---|---|---|---|---|
総数 | 45人 | 41人 | 42人 | 36人 |
直接産科的死亡 | 34人 | 26人 | 35人 | 28人 |
子宮外妊娠(異所性妊娠) | 3人 | 2人 | – | 1人 |
高血圧性障害 | 2人 | 3人 | 8人 | 8人 |
胎盤早期剥離 | 4人 | 3人 | 4人 | 1人 |
分娩前出血 | – | – | – | – |
分娩後出血 | 3人 | 4人 | 3人 | 7人 |
産科的塞栓症 | 11人 | 9人 | 11人 | 4人 |
その他の直接産科的死亡 | 11人 | 5人 | 9人 | 7人 |
間接産科的死亡 | 11人 | 15人 | 7人 | 8人 |
原因不明の産科的死亡 | – | – | – | – |
産科的破傷風 | – | – | – | – |
ヒト免疫不全ウイルス病 | – | – | – | – |
日本の出生数はここ10年ほど100万人前後を推移してますが、この表を見てわかる通り妊産婦死亡数も年間40人前後から変わってません。
元々妊婦が持っている病気や防ぎきれない分娩時の事故を考えると、これ以上妊産婦死亡数を減らすことは難しいようです。もう1つ違うデータを見てみます。
妊産婦死亡数と年齢の関係性
まーさ
以下は、日本産婦人科医会が発表した「年齢と妊産婦死亡数の関係」のグラフです。
このグラフを見ると30代の妊産婦死亡数が多いんですが、これは単にその年代の出産数が多いためです。
年齢は上のグラフと少しズレますが、厚生労働省の人口動態調査を用いて各年齢ごと10万件の出産数から妊産婦死亡数・妊産婦死亡率を算出すると以下のようになります。
- 20-24歳の妊産婦死亡|4.7件/10万件……0.0047%
- 25-29歳の妊産婦死亡|6.0件/10万件……0.0067%
- 30-34歳の妊産婦死亡|9.5件/10万件……0.0095%
- 35-39歳の妊産婦死亡|24.5件/10万件……0.0245%
- 40-44歳の妊産婦死亡|124.5件/10万件……0.1245%
20代に比べて40代の方が20-30倍ほど妊産婦死亡の危険性は高いですが、たとえ40代でも「出産は自殺行為」と一部で揶揄されるような死亡率じゃありません。
ちなみに、1年間で自動車事故に合う確率は0.9%だそうです。
国土交通省が新たな道路政策を諮問した社会資本整備審議会の会議の場で、こんなユニークな資料が示されました。「人生で交通事故にあう人は、2人に1人」資料を提供したのは国交省です。年間の交通事故死傷者数(118万人)を日本の総人口(1億2692万人)で割った「1年間で事故にあう確率」を0.9%と算出。
妊産婦死亡に対するイメージが悪すぎる
まーさ
日本だけじゃなく世界的にも医療技術が進歩しているので、妊産婦死亡は大きく減っています。
もちろん年齢が若い方が体力はありますし、病気を患ってる可能性も低いので妊産婦死亡率も低くなりますし、流産や死産の確率も低くなります。
ただ赤ちゃんが欲しくても、社会的背景で若い間の出産が難しくなっているのも事実です。そのため30代後半や40代の出産は、ある程度社会に認知される必要があります。
現在の40代の妊産婦死亡率は1960年ごろの全体の妊産婦死亡率と変わりませんし、30代後半は1970年台後半の妊産婦死亡率と変わりません。
それだけ医療技術が進歩し妊産婦死亡率が減っているのに、高齢出産は必要以上にリスクがあるイメージを持たれています。
もし今から高齢出産に臨もうとしている人、高齢出産を迷ってる人は、世間が持つイメージと実際の数字を比べて考える必要があると思います。
わたしは決して20代より40代の出産を推奨してるわけじゃありません。早く出産できるなら、それに越したことはありません。
もちろん出産は妊婦だけじゃなく、赤ちゃんが無事じゃないといけません。そちらも母体が高齢なほどリスクが増すので、以下を参考にして合わせて考えてください。
わたしももう目の前に迫る40代……どうしようか……真剣に考えないと。