子供に対する虐待のニュースを見て、胸を痛める人は多いでしょう。同じ親として憤りを感じ、ときにはよりわが子の可愛さを実感するはずです。
まーさ
と自信を持って言える家庭は多いと思いますが、子供は虐待以外でも強い衝撃を受ける行為があるって知ってますか。
あなたは人の陰口を聞いたり、いじめの現場を見て嫌な気分になったことがあると思います。それが自分にとって大切な人だと、なおさらストレスですよね。
同じように婦喧嘩は子供の大きなストレスになるんです。子供とって大切な人が怒鳴ったり、無視したり、ときには暴力を受ける様子を見るのは脳にダメージを与えます。
- 夫婦喧嘩をすると子供はどんな気持ちになるの?
- 夫婦喧嘩で子供の脳にどんな影響があるの?
- 夫婦喧嘩って絶対しちゃダメなもの?
こんな疑問を持っている人はこの記事を読んでください。夫婦げんかに巻き込まれる子供の心情や影響を理解できれば、今後の夫婦喧嘩の仕方が変わるはずです。
目次
夫婦喧嘩を見た子供の心理状態はや影響は?
まーさ
夫婦喧嘩を見た子供の心理状態
夫婦喧嘩の頻度が高いと、子供も頻繁にストレスを受けているということ。夫婦喧嘩を見た子供は以下のように感じます。
普段とは違う両親の姿に恐怖を感じる
子供にとって、親は安心感を得られる存在です。その親が怒鳴り合ったり無視をしている状況を見せられると、子供は普段と違うパパ・ママに恐怖を感じます。
幼児的万能感によって自責の念を感じる
夫婦喧嘩は「家事の分担・やり方」「伝えてある内容を忘れる」「連絡がない、遅い」「予定を決めるときに人任せ」など、子供が原因になることはほぼありません。
ところが子供はパパとママが喧嘩する様子を見て自分のせいだと感じたり、自分ならなんとかできると考えます。これを「幼児的万能感」と言います。
仲直りして欲しい、仲を取り持ちたいと感じる
子供は幼児的万能感で、自分が努力をすればパパとママは仲良くしてくれると考えます。
そのため子供はパパ・ママどちらの顔色も伺って話すようになりますが、少しずつ主張ができなくなり、次第に夫婦喧嘩の現場を避けるようになります。
ストレスを受けた子供の影響
夫婦喧嘩が多い家庭では子供がその場にいられずに隠れる……そんなイメージがありますね。隠れるほどストレスを受けている子供には、以下の影響があります。
感情をコントロールできなくなる
夫婦げんかによって子供が強いストレスを受けると、感情コントロールがうまくできなくなる恐れがあります。感情コントロールは、脳の「前頭前皮質」で行います。
前頭前皮質の発達には脳下垂体から分泌されるオキシトシンが欠かせません。オキシトシンの分泌には、触れ合いなどの愛情を感じる必要があります。
毎日夫婦喧嘩を見せられて愛情よりもストレスを感じることが多い子供は、前頭前皮質がうまく発達しないのですぐキレたり、怒りやイライラをコントロールできません。
「脳が怒りを生み出すメカニズム」脳科学者・中野信子さん | cafeglobe
眠れない・眠りが浅くなる
心理的なストレスは交感神経の働きを活発にして、副交感神経の働きを抑制します。交感神経が活発になると睡眠を阻害します。
自律神経の基礎知識 【交感神経と副交感神経】|花王ヘルスケアナビ
子供にとって睡眠はとても大切です。十分な睡眠をとれなければ脳の成長を阻害し、心身に影響を与えます。
常に不安な精神状態になる
脳が正常に機能している場合、情報の流れは感情や衝動を抑制する前頭前野に送られて正しい判断をしようとします。
ところがストレスを受けると前頭前野の支配力が弱まり、感情的な判断を必要としない視床下部などに情報が送られるため、常に不安を感じるようになります。
学力が低下する
子供が過剰なストレスを受けると、副腎皮質ホルモンの「コルチゾール」が大量に分泌されます。コルチゾールは脳の海馬を萎縮させることがわかっています。
脳の形成に貧困やストレスが影響、記憶力を阻害|WIRED.jp
Childhood poverty, chronic stress, and adult working memory | PNAS
海馬は大脳辺縁系の一部で脳の記憶や空間学習能力に関わる器官なので、海馬の発達が阻害されたり萎縮することで記憶力の低下を招きます。
自己肯定できない・自信がなくなる
ストレスを受けると前頭前野の支配力が弱まって、常に不安を感じるようになります。心が常に不安定になるので、自分の行動に自信が持てなくなります。
自信が持てないと自己肯定もできません。自己肯定ができないと、ストレスを解消することもできません。
他者の感情が理解できなくなる
他者の感情が理解できないのは、想像力が欠如するためです。想像力を司る前頭前野は生後6-8ヶ月ごろから活動を始め、成人まで成長を続けます。
つまりその間に前頭前野の成長が阻害されると想像力が欠如する恐れがあり、他者の感情が理解できなくなる可能性があります。
夫婦喧嘩でしてはいけないこと
まーさ
不満があっても「子供のため……」と何も衝突しないのは不健全です。夫婦が建設的に言い合いをしてお互いに修正できれば、より絆が強くなります。
また脳は適度なストレスを受けると耐性が付きます。ストレス耐性は、子供の将来には必要なものです。そのため、夫婦喧嘩すべてがマイナスとは言えません。
そのため夫婦がお互いに不満をぶつけても、最終的に納得して仲直をした姿を子供に見せられればいいんです。その際大切なのは以下のことです。
暴力を振るわない
1番大切なことは暴力を振るわないことです。身近な人が暴力を振るわれている様子を見せることは、児童虐待の「心理的虐待」です。
心理的虐待を受けると脳の側頭葉の上側頭回、横側頭回にある聴覚野が萎縮、聴覚や言語の発達に影響が出る可能性があります。詳しくは以下を参考にしてください。
大声で怒鳴らない
ヒートアップして大声を出してはいけません。子供の前で相手を恫喝したり、大声で萎縮させることも「心理的虐待」です。もちろん子供の心にダメージを与えます。
相手の人格を否定しない
夫婦喧嘩をすると見た目や性格、過去の出来事で相手を汚く罵る人もいます。ただ、子供は誰が何を言われたか記憶して、その言葉を将来使う可能性があります。
相手に対する悪口がその通りだとしても、子供が聞いている前では言わないでください。
子供を喧嘩に巻き込まない
夫婦喧嘩で相手を無視する冷戦状態に入ると、子供に積極的に話しかけるようになり、子供に対して相手の愚痴を言う人もいます。
夫婦喧嘩に子供を巻き込むのは、相手に完全勝利したい親のエゴです。パパとママに仲良くなってほしい子供の願いとは逆のことをすることになります。
我慢できなければ切り上げる
夫婦喧嘩がヒートアップしそうな場合は、言いたいことを言わずに飲み込んでください。とことん話し合いたい気持ちはわかりますが、子供を巻き込んじゃダメなんです。
夫婦喧嘩中でも挨拶だけはする
夫婦喧嘩中で冷戦状態だとしても、「おはよう」「いってきます」など挨拶だけはしてください。難しいことですが、子供の将来のために意識してください。
うちも夫婦喧嘩中でも無理やり挨拶をしています。もちろん苦痛ですが、そういうルールを決めているので仕方ありません。
夫婦喧嘩中の子供のケア
まーさ
たとえ夫婦喧嘩中でも、子供には関係ありません。そのため、ちゃんと子供の心のケアをしてください。
喧嘩中でも子供には優しく接する
夫婦喧嘩直後でイライラしていても、子供には優しく接しましょう。子供はパパとママが怒っている姿を見て怖がっています。
喧嘩していないと嘘をつく必要はないですが、せめて子供を安心させる態度をとりましょう。もちろん、その際に子供を取り込む行為はNGです。
子供に夫婦喧嘩の原因を説明する
夫婦喧嘩の本当の原因を詳しく説明する必要はありません。子供を安心させるために、「パパとママの喧嘩だから、あなたのせいじゃないのよ。」と伝えればOKです。
子供が夫婦喧嘩を心配している場合は、「言い合いになっただけだから、心配しなくても大丈夫よ。」と伝えてください。
喧嘩が収まったら仲直りの姿を見せる
夫婦喧嘩が収まって感情を抑えられるようになったら、「もう仲良くなったよ。」と子供に伝えてください。
そして、”子供に見せるために”お互いに「ごめんなさい。」をして、子供にも「喧嘩してごめんなさい。」と謝ってください。
仲良くなった姿を子供に見せること、喧嘩をした後に謝る姿を見せることで子供は強い安心感を覚え、ストレスから立ち直るストレス耐性が身につきます。
子供の将来を考えた夫婦げんかのまとめ
適度な夫婦喧嘩はお互い不満の解消につながりますし、その後も長く家庭を続ける1つのコツです。
夫婦喧嘩は、ある程度時間が経ってお互いの怒りが収まるまで終わりません。世の中には夫婦喧嘩を終わらせる方法がたくさんありますが、ほとんど役に立ちませんよね。
それでも事前に夫婦喧嘩にルールを設けておくだけで、子供への影響も少なくなります。決して子供を巻き込んだり、悪い影響を与えないように賢く喧嘩したいものです。
夫婦げんかで子どもの脳が危ない!? – NHK クローズアップ現代+
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