赤ちゃんは発汗量が多く新陳代謝も活発です。ぷにぷにの首周りには汗や皮脂、埃が溜まりやすいので、毎日体をきれいにしないといけません。
まーさ
なんて思ってるママもいますよね。ただちょっとまってください。赤ちゃんの体はデリケートです。とくに粘膜や体の内部に近い器官は丁寧に扱う必要があります。
耳の穴の中は体の内部に近い器官なので、耳掃除も気をつけないとダメなんです。
- 赤ちゃんの耳掃除ってどうするの?耳かきとか綿棒でもいいのかな。
- 耳掃除っていつからできるの?毎日しても問題ない?
こんな風に思っているママは危険です。赤ちゃん・子供の耳掃除は一部を除いてなるべくしない方がいいんです。
この記事を読めば耳掃除の何が危険なのか、またどんなときにどういう風に耳掃除をすればよいかがわかります。赤ちゃんの耳の特徴とあわせて知っておきましょう。
赤ちゃんの耳と耳垢の特徴
まーさ
耳の器官の名称
以下は基本的な耳の器官です。全て覚える必要はないですが、赤ちゃん・子供の耳の病気や鼻の病気で耳の器官名はよく出るので、覚えておくと便利です。
- 1.
骨導 - 2.
外耳道 - 3.
耳殻 - 4.
鼓膜 - 5.
前庭窓 - 6.
槌骨 - 7.
砧骨 - 8.
鐙骨 - 9.
三半規管 - 10.
蝸牛 - 11.
聴神経 - 12.
耳管
赤ちゃんの耳と耳垢の特徴
大人よりも耳垢が多い
赤ちゃんは発汗量が多いので耳周辺や
大人よりも外耳道が短い
赤ちゃんの外耳道(耳穴の入口から鼓膜まで)は2cmほどで大人の外耳道(3cm前後)より短いので、刺激に弱い特徴があります。
湿性耳垢の割合が多い
大人の耳垢は湿った
黒いゴマのような耳垢がある
新生児の耳垢は黒っぽいゴマのように見えますが、これは羊水中のゴミが耳穴に入って乾燥したものなので心配いりません。ただ耳垢はいろんな色、形状、匂いがあり、病気による変化もあるので注意が必要です。
耳垢が耳の入口近辺にできる
赤ちゃんの耳の汗腺は入り口近くにあるので、耳垢も入口付近に溜まります。
赤ちゃんの耳掃除のやり方や疑問点など
まーさ
耳掃除はいつからする?
赤ちゃんは耳垢が多いですが、外耳道の奥(鼓膜付近)に溜まることはほぼありません。
耳垢の成分は皮脂、空気中のチリやほこりなので、赤ちゃんが外出しだすと溜まりやすくなります。そのため、本格的な耳掃除は1歳以降が目安です。
耳掃除には何を使う?
1歳まで赤ちゃんの耳掃除をまったくしないわけじゃありません。基本的には耳かきや綿棒を使わずに、湿らせたガーゼで外耳と耳穴周辺の汚れを拭き取る掃除をします。
また湿らせた綿棒で耳穴の入口1cm程を撫でるように汚れを拭き取っても良いです。ただし赤ちゃんが耳掃除を嫌がって暴れると、耳を傷つける危険があります。
耳掃除はいつすればいい?頻度は?
お風呂で体が温まると皮脂が剥がれやすく汚れも落ちやすいので、赤ちゃんの耳掃除がしやすくなります。毎日お風呂後に、ガーゼで耳周辺をきれいに拭いてください。
またわたしの場合は、湿らせた綿棒で1ヶ月に1回程度耳掃除をしていました。
耳を傷つけると病気になる?
赤ちゃんの耳は柔らかくデリケートです。もし綿棒や耳かきで赤ちゃんの耳を傷つけると感染症を起こし、外耳炎や急性中耳炎の原因になる場合もあります。
耳の中に水が入ったら?
お風呂後に赤ちゃんの耳の中に水が入っていたら、無理やり出さずにガーゼなどをそっとあてて水分を吸収します。その後、うちわなどであおいで乾かしてください。
ただし耳の中の液体が水じゃなく黄色っぽい透明な液体の場合は、滲出性中耳炎の可能性があるのですぐ受診しましょう。
耳垢が奥に溜まっていたら?
赤ちゃんの耳垢を発見しても、しばらくすると入口付近に出てくるので無理やり取らないでください。
ただ大きな耳垢がずっと耳の奥にあると気になります。大きな耳垢が赤ちゃんの耳の奥に留まっていたら、耳鼻科で安全に耳掃除をしてもらいましょう。
子供の耳垢が多い原因
まーさ
耳垢腺が多い湿性耳垢だから
日本人の2割弱が湿性耳垢です。耳垢が湿っていると空気の汚れを吸着して耳穴に溜まります。子供は湿性耳垢が多いので、耳垢が溜まりやすい子も多いです。
大量の汗をかくから
子供は新陳代謝が活発で、体内の水分割合が多いのでたくさん汗をかきます。その汗が耳穴に入ることで、耳垢が溜まりやすくなります。
外に出ることが多いから
子供は夏の暑い日でも外で元気に遊びます。外に出ることが多い子供ほど、耳穴に空気中のほこりやチリが入って耳垢が溜まります。
水泳やお風呂
習い事をしている子供の4割がスイミング教室に通っています。スイミングで耳に水が入ると、耳垢が固まって耳穴に溜まりやすくなります。これはお風呂も同様です。
耳掃除のしすぎ
耳掃除をしすぎると外耳道を傷つけ、細胞から
耳垢は基本的に剥がれた皮脂の塊です。耳掃除するほど外耳道の皮膚が剥がれて耳垢が作られます。
子供の耳掃除しすぎがいけない理由
まーさ
耳垢には耳を守る役割があるから
子供の耳垢を発見すると、取りたくなる気持ちはわかります。ただ耳垢には耳を守る重要な役割があるので、安易に取り除いちゃダメですよ。
侵入したゴミの吸着
耳垢は耳に侵入したほこりなどを吸着する役割があります。耳垢腺から分泌される脂分には粘性があり、侵入したほこりが奥に入らないよう吸着しています。
脂分で吸着したほこりは耳垢になり、線毛という細かい毛によって外に排出されます。
皮膚を守る
耳垢は皮膚を乾燥や物理的な衝撃から守る役割があります。耳は体内に近い器官なので乾燥すると傷ついて、感染症の原因になります。
耳垢腺から分泌される脂分は鼓膜や外耳道を覆って乾燥を防ぐだけじゃなく、耳垢が外耳道や鼓膜に対する直接的な衝撃を和らげる緩衝材になります。
細菌の繁殖を抑える
耳垢にはタンパク質分解酵素、抗体のIgA・IgGが含まれています。耳垢の免疫機能によって、侵入した細菌やウイルスの繁殖・感染を抑える役割があります。
昆虫の侵入防御
昆虫は耳垢が持つ苦味成分や匂い成分、脂分を避けるので、耳の穴に昆虫が侵入するのを防ぐ役割があります。
耳掃除のしすぎで病気になるから
何もしなければ、耳の奥が傷付くことはありません。ところが耳掃除しすぎると耳を傷つけ、病気の原因になります。耳は傷付きにくい分、傷付くと治りにくい特徴があります。
外耳道炎
外耳道湿疹
耳垢栓塞症
外耳道異物
外耳道損傷
外耳道真菌症
外耳道真菌症にかかると耳の中に菌糸が広がって耳垢が黒くなります。また耳垢が臭くなり、痛みやかゆみも伴います。
耳について | 大牟田市の耳鼻咽喉科 立石医院|風邪、アレルギー性鼻炎
鼓膜損傷・穿孔
耳小骨損傷
内耳損傷
子供の耳垢が多いときの対策
まーさ
基本的に耳垢は気にしない
子供の耳垢が多いと気になりますよね。ただ耳掃除で耳垢を耳奥に押し込むと耳垢栓塞になります。基本的には子供の耳垢は気にせず、耳穴の入り口だけ耳掃除してください。
粘着綿棒で耳穴入り口のみ掃除
耳垢がたまりやすい子には、綿部分に粘着性がある子供用の粘着綿棒を使って耳穴入り口の耳垢のみ頻繁に取り除きましょう。
耳掃除は1ヶ月に1回で問題ないですが、耳垢の溜まりやすさで頻度を調節してください。
やっぱり耳鼻科での耳掃除
湿性耳垢は外耳道の壁に張り付いて乾燥するとなかなか取れません。子供の耳垢が奥に溜まったら、耳鼻科での耳掃除が最適です。
まーさ
と思うかもしれませんが、耳垢が耳の奥に固まった状態は耳垢栓塞症です。耳垢栓塞の解消は難聴や急性中耳炎の予防になるので耳鼻科を頼りましょう。
耳鼻科で耳掃除をする時期や頻度
基本的には1歳ごろまでは耳垢は溜まらないので目安は1歳過ぎです。ただ個人差もあるので、耳垢栓塞症が心配な場合は診てもらいましょう。
1度耳鼻科で耳掃除をしてもらったら、どれくらいの期間で定期的に訪問すれば良いか聞きましょう。
耳鼻科での耳掃除の方法
耳鼻科で行う耳掃除の方法ですが、耳垢の取り方は以下の器具を使って摘んで出すか、吸引するか、引っ掛けてかき出すのどれかになります。
- 手術用顕微鏡
耳の中にライトを当てながら拡大して見ることができます。 耳鏡
耳穴に入れて奥を覗くための器具で、漏斗のような形をしています。耳垢鉗子
ハサミ状のピンセットで先端はギザギザなので、耳垢を挟んで引っ張り出せます。- 吸引管
ストロー状の管を耳穴に入れて細かな耳垢を吸引します。こびりついた耳垢は耳垢水 で柔らかくして吸い出します。 耳用小鈎
先端がかぎ状になった器具で、耳垢を引っかけて引っ張り出します。
耳鼻科の耳掃除にかかる料金
耳掃除は病気を予防する医療行為なので保険が効きます(乳幼児医療費助成制度)。
大人が耳鼻科で耳掃除をしてもらうと初診料で1,500-2,000円程度、次回からは1,000円程度だそうです。詳しくは近所の耳鼻科を調べてみてください。
耳鼻科で耳掃除をするメリット
耳鼻科によって家庭でのケアを推奨する医師もいれば、定期的に耳鼻科での耳掃除を推奨する医師もいます。
ただ耳鼻科での耳掃除なら耳を傷つけることはないです。赤ちゃんは耳の病気も多いので耳の定期健診も兼ねていると思えば良いですね。
- 正しく耳垢栓塞症の予防ができる
- 耳を傷つけて他の病気にかかることがない
- 乳幼児は耳鼻の病気にかかりやすいので定期健診になる
- 助成制度のおかげで子供の医療費が安く済む
- ついでにママも耳掃除してもらってスッキリできる
なぜ子供の耳掃除をしたくなるのか
耳掃除しすぎで耳垢を作ってまた耳掃除……のループになることはわかっていても、耳掃除の癖がある人はつい子供の耳掃除もしたくなります。
別に鼻掃除だって良いですし、もっと念入りな歯磨きだって良いはずです。ただママが耳掃除にこだわるのは、耳掃除が気持ちいいからですよね。
耳の外耳道にある耳垢腺には
この迷走神経を刺激するとリラックス、体の弛緩などの「迷走神経反射」が起きます。
耳の話し (5)耳掃除はなぜ気持ちいい? | 地域医療に貢献する|高見台クリニック
ただママが耳掃除の気持ちよさを知っていても、子供の耳の穴、鼻の穴、口の中、目付近など粘膜に近い部分は慎重に扱ってください。
子供の耳の奥に大きな耳垢を発見すると欲求にかられる気持ちはよーくわかりますが、子供のために我慢です……(^_^;)