まーさ
子供が非行に走る背景は環境によります。とは言え、「ママ大好き!」が「うるせぇ!クソババア!」に変わらないように何か対策したいですよね。
内閣府では定期的に「非行原因に関する総合的研究調査」を行い、非行原因の把握と対策に活かしています。つまり、この調査結果を見れば子供の非行を防げるかもしれません。
- 子供の非行と家庭環境は関係あるのかな?
- 生活態度を変えたらグレたりしないよね……。
- 子供に過干渉過ぎるとダメって聞いたんだけど。
こんな疑問を持つ親はこの記事を読んで、非行と家庭環境に関係性があるのかを知りましょう。
目次
家族に関する調査
家族に関する調査では、子供の家庭環境や家族と子供の関わりについて調査しています。
自分の持ち物
持ち物に関して、一般少年と非行少年に大きな違いは見られません。ただし非行少年の対象数が32名なので、多少の違いは誤差の可能性が考えられます。
自分の持ち物 | 一般少年 | 非行少年 |
---|---|---|
本箱 | 56.1% | 43.8% |
自分の机 | 88.1% | 62.5% |
自分だけの部屋 | 42.6% | 62.5% |
きょうだいと一緒の部屋 | 59.4% | 40.6% |
辞書や図鑑 | 65.6% | 65.6% |
学習百科や参考書 | 27.5% | 21.9% |
衣類のタンスあるいはクローゼット | 62.7% | 50.0% |
自分専用のテレビ | 11.1% | 6.3% |
CDコンポ | 16.4% | 0% |
携帯用音楽プレイヤー | 18.3% | 3.1% |
テレビゲーム機携帯用ゲーム機 | 65.8% | 68.8% |
自分専用のパソコン | 6.7% | 3.1% |
自分専用の携帯電話 | 18.8% | 15.6% |
どれも持っていない | 0.7% | 3.1% |
親子関係
非行少年の父母に対する意識は、一般少年が父母に対する意識と変わらず憧れや好意を持っています。
ただ、親からの愛情を感じる割合が少なかったり、より面倒を見て欲しい(かまって欲しい)、叱って欲しい意識が高いことがわかります。
親子関係 | 一般少年 | 非行少年 |
---|---|---|
父のような人になりたいと思う | 49.9% | 46.9% |
母のような人になりたいと思う | 61.4% | 53.1% |
親から愛されていないと感じる | 13.5% | 18.8% |
親がきびしすぎると思う | 19.9% | 21.9% |
親は家の中で暴力をふるう | 14.2% | 25.0% |
小さい時に親から暴力をふるわれた | 7.7% | 6.3% |
お父さんといろいろな話をしたいと思う | 60.6% | 50.0% |
お母さんといろいろな話をしたいと思う | 76.0% | 62.5% |
お父さんやお母さんが私の面倒をもっとみてくれるとよいと思う | 19.8% | 62.5% |
お父さんやお母さんにもっと叱ってほしいと思う | 7.3% | 12.5% |
家にいても、楽しくないと思う | 15.7% | 25.0% |
友達についての親との会話
一般少年と非行少年では、自分の友達の事を親に話す頻度が違います。一般少年は「よく話す」45.8%に対して、非行少年は9.4%と大きな差があります。
自分に対する親の評価
親が自分のことを「ふまじめで、少し悪い子だと思っている」割合が、一般少年は10.0%に対して、非行少年は28.1%もあり、より親の自分に対する評価が低いと感じています。
友人に関する調査
友人に関する調査では、子供の友人との関わりについて調査しています。
親友の数
一般少年と非行少年に、親しい友達の人数の特徴的な違いは見られません。
生活に関する調査
生活に関する調査では、子供の家族との生活について調査しています。
起床の様子
一般少年と非行少年に、起床の様子における特徴的な違いは見られません。
朝の家族へのあいさつ
一般少年は挨拶を「毎朝する」が47.0%、非行少年は「毎朝する」が9.4%とかなりの差があります。やっぱり、挨拶は大切だとわかりますね。
朝食の頻度
一般少年は朝食を「毎朝食べる」85.6%に対して、非行少年は53.1%で差があります。朝のあいさつ同様、朝の生活態度に特徴的な違いがあることがわかります。
夕食を家族とともにする頻度
夕食を家族とともにする頻度に関して、一般少年と非行少年に特徴的な違いは見られません。どちらも7割が「いつも一緒に食べる」と回答しています。
決まった家事の手伝い
一般少年は決まった家事を「ほとんど手伝わない」が9.6%に対して、非行少年はが31.3%と多くなっています。
外出先の告知
一般少年は外出先を「いつも言う」が64.8%に対して、非行少年は25.0%と少ないです。また「ほとんど言わない」も一般少年が8.1%、非行少年は25.0%で差があります。
門限の有無
門限が決まっているかどうかは家庭のルールによります。一般少年と非行少年の家庭において、門限の有無における特徴的な違いは見られません。
こづかいの使途
こづかいの使途で一般少年と非行少年に差があるのは、「食べ物、飲み物」「学用品」「スポーツ」「ゲーム、ゲーム機、ゲームソフト」「プラモデル、おもちゃ」「貯金する」です。
傾向としては、非行少年の方が「食べ物、飲み物」「ゲーム、ゲーム機、ゲームソフト」「プラモデル、おもちゃ」など一過性の使い方が多く見られます。
こづかいの使途 | 一般少年 | 非行少年 |
---|---|---|
食べ物、飲み物 | 41.2% | 75.0% |
学用品 | 16.1% | 6.3% |
マンガ、雑誌、本 | 44.3% | 34.4% |
スポーツ | 6.9% | 0% |
ゲーム、ゲーム機、ゲームソフト | 27.3% | 40.6% |
音楽、映画 | 6.5% | 6.3% |
プラモデル、おもちゃ | 6.3% | 18.8% |
切手、シール、バッジなどを集めるため | 3.1% | 3.1% |
衣料、装飾品、化粧品 | 7.3% | 3.1% |
プリクラ、写真 | 11.5% | 12.5% |
貯金する | 49.3% | 25.0% |
その他 | 7.8% | 0% |
こづかいはない | 10.9% | 9.4% |
塾や習いごと
一般少年は塾や習いごとで「習っているものは無い」が17.7%に対して、非行少年は59.4%と差があります。
また「野球、サッカーなどのスポーツ」「剣道、柔道などの武道」「スイミング教室」など、スポーツ系の習い事にも差が見られます。
学校・勉強に関する調査
学校・勉強に関する調査では、子供の学校生活や勉強態度などについて調査しています。
クラスの中での成績
一般少年と非行少年では、成績の良し悪しの感じ方にかなり差があります。
一般少年が「良い方」14.4%、「ふつう」66.2%、「悪い方」18.7%に対して、非行少年は「良い方」3.1%、「ふつう」46.9%、「悪い方」46.9%となっています。
クラスの中でのスポーツ能力
一般少年と非行少年は、運動能力の良し悪しの感じ方に違いは見られません。
学校の授業のおもしろさ
一般少年と非行少年に、学校の授業のおもしろさの感じ方に違いは見られません。
クラスの中での人気
一般少年と非行少年に、クラスの中での人気の感じ方に特徴的な違いは見られません。
家での勉強時間
一般少年は家での勉強を「ほとんどしない」が18.2%に対して、非行少年は43.8%と差があります。
学校でのいやなこと
学校でのいやなことに関して、一般少年は「勉強がきらい」が14.9%に対して、非行少年は34.4%という差があります。
テストの点が悪い理由
テストの点が悪い理由に関して、以下6問の選択肢として「あてはまる」「だいたいあてはまる」「あてはまらない」「無回答」で回答しています。
非行少年は一般少年よりも「あてはまる」の割合が多く、自分のせいにする、人のせいにする、運のせいにするなどテストの点が悪い理由は決めつけが多い傾向があります。
勉強の意義
勉強の意義に関して、以下5問の選択肢として「あてはまる」「だいたいあてはまる」「あてはまらない」「無回答」で回答しています。
一般少年は勉強の意義を「よい学校に入りたいから」だと考える傾向があり、非行少年は勉強の意義を「親にしかられたくないから」だと考える傾向があります。
学校の楽しさ
一般少年と非行少年に、学校の楽しさにおける特徴的な違いは見られません。
非行に関する調査
非行に関する調査では、子供の行動に不良行為が見られないかについて調査しています。
今までの経験
非行少年の特徴的な回答は、友達とゲームセンターで遊んだ経験が70%、夜遅くまで遊んだ経験が50%、親のお金を黙って持ち出した経験が50%、親に強く反対した経験が70%です。
地域活動に関する調査
地域活動への参加
地域活動への参加に関して、以下6問の選択肢として「何回もある」「1~2回はある」「ない」「無回答」で回答しています。
非行少年は全ての地域活動に対して、一般少年よりも不参加の傾向が見られます。
地域社会の状況
地域社会の状況に関して、以下5問の選択肢として「あてはまる」「だいたいあてはまる」「あてはまらない」「無回答」で回答しています。
非行少年は一般少年に比べて「地域の中で、エッチな雑誌やDVDを買うのは簡単だ」「地域の中で、酒やたばこを買うのは簡単だ」と考える傾向が強いです。つまり、軽犯罪法違反などルールを破りたい衝動があるということです。
エッチな雑誌やDVDを買うことは簡単(あてはまる)
一般少年|1.1%
非行少年|9.4%
酒やたばこを買うのは簡単(あてはまる)
一般少年|2.6%
非行少年|9.4%
一般少年と非行少年の家庭環境差は大きくない
より詳細な情報を見ないとわかりませんが、内閣府の調査結果を見る限り一般少年と非行少年の家庭環境や生活態度に少々の違いはあっても、特筆するほどではありません。
非行少年は親に反抗的な態度を取ることもありますが、親子関係は特別悪いわけじゃなく、むしろもっと親に関わってほしいと思う子供も多いようです。
また、生活面では朝のあいさつや朝食が少ない傾向があり、これは親が少し生活を見直すだけで改善できそうな内容です。
学校は嫌いじゃなく授業に面白さも感じていて、運動能力や人気面でも一般少年と変わりませんが、勉強は嫌いで苦手意識が強いことがわかります。
この調査は小学生に対する調査なので、子供の生活態度や学習態度は、まだ親の影響力が強く出るはずです。周囲よりも、家族の関わり方や家庭環境が大切になる時期です。
とは言え、刑法犯少年(触法少年ではない)の親の態度としては、放任以外は父親も母親も過干渉・気紛れ・溺愛の特徴は低く、「該当なし」が最も多い(多くの親がいたって普通の親)事実もあります。
さて、みなさんの家庭では子供はどのような環境で、どう人間関係を築き、社会生活を送っているでしょうか。
もちろん、この調査結果の傾向に照らし合わせて子育てをすれば、全て良い結果が出るわけじゃないですが、非行に走らない子供の育て方のヒントは見つかるかもしれません。