使い終わった後の哺乳瓶は、母乳やミルクがべっとりと付着しています。これは、母乳やミルクの成分が汚れとして残りやすいためです。この汚れを放置すると、細菌が繁殖する温床になります。
そのため、哺乳瓶は毎回きれいに洗って、消毒して、乾かして……を繰り返すのですが、自分ではしっかり洗っているつもりでも、きちんと洗えているか心配になりますよね。
また、赤ちゃんが使うものはすべてデリケートな扱いをしなければいけないため、忙しい家事の中で他の食器と同時に哺乳瓶を洗って良いか、食洗機で洗って良いかなど、疑問に思っている人もいるでしょう。
赤ちゃんは免疫力が弱く、体力がないため、いつ細菌などに感染してしまうかわかりません。しかも、食中毒が多い6-7月や感染症が多い12-2月ごろはとくに心配になります。
そのため、毎日使う哺乳瓶の正しい洗い方を知ることは、とても大切なことです。
そこで今回は、哺乳瓶の正しい洗い方と哺乳瓶を洗うために必要な物、哺乳瓶を洗う際の注意点についてお話したいと思います。
目次
哺乳瓶の部品の名前
哺乳瓶にはいくつかサイズがありますが、容量はおよそ100ml-240mlです。
一般的な哺乳瓶は、ボトル(本体瓶)、中ぶた、乳首、キャップ、フードで構成されています(中ぶたの上に薄膜が付く場合もある)。そのため、このワンセットを洗うことを意識してください。
哺乳瓶は、とくにキャップや中ぶたの溝にミルクが残りやすく、ミルクが残ったままだと、細菌が繁殖する恐れがあります。
ミルクが一度乾いてしまうと、さっと洗っただけでは落ちないことがあるため、一つひとつ意識して丁寧に洗ってください。
哺乳瓶を洗うために必要な物
哺乳瓶ブラシ
哺乳瓶の形はメーカーによって異なるため、哺乳瓶ブラシは、購入した哺乳瓶メーカーのものが使いやすいでしょう。それぞれ最適なブラシが販売されています。
また、哺乳瓶ブラシの素材は、哺乳瓶の素材によって選んでください。哺乳瓶がガラスの場合はナイロン製のブラシ、プラスチックの場合はスポンジ製のブラシにしましょう。金だわしの様に硬い素材は哺乳瓶に傷が付き、細菌が繁殖する原因になります。
乳首ブラシ
乳首ブラシも哺乳瓶ブラシ同様、購入した哺乳瓶メーカーのものが合いやすいです。大切なことは、乳首の先までちゃんとブラシが入るかどうかです。乳首ブラシが硬すぎると洗いづらく、柔らかすぎると洗った気がしません。
この辺りは個人の感覚もあるので、いくつか選んでみても良いと思います。
哺乳瓶用洗剤
洗剤は基本的に何でも良いのですが、哺乳瓶用洗剤があるとなお良いでしょう。また、液体洗剤よりも泡洗剤の方が洗いやすいと思います。
哺乳瓶つかみ(消毒はさみ)
哺乳瓶つかみは、煮沸消毒・薬液消毒した哺乳瓶を掴むためのはさみですが、キャップ部をはさんだまま調乳をしたり、デリケートな乳首をはさんで取り扱うこともできます。
きれいな布巾
哺乳瓶を拭いたり、乾かすときに下に敷く布巾です。布巾は他の食器用に使い回したり、他のものを拭いてから哺乳瓶を拭いたりしないでください。もちろん、赤ちゃんの哺乳瓶期間が終われば、好きに使って良いでしょう。
哺乳瓶の一般的な洗い方
汚れをお湯で洗い洗い流す
まず、哺乳瓶を分解して、すべて軽く洗い流してください。水でも良いのですが、お湯で洗い流すのがベストです。
哺乳瓶を洗う
哺乳瓶ブラシに、洗剤をつけて内部から洗います(泡タイプは中にシュシュッと)。ミルクが溜まりやすいのは口の溝とボトルの底です。
ボトルの口の溝はミルクのこびりつきがないか、確認しながら洗ってください。ボトルの底はぬめりが残らないように隅までしっかりこすり洗いをしてください。
もちろん、ボトルの外側も洗ってください。
乳首を洗う
乳首は小さく洗いにくいため、乳首専用ブラシを使ってください。口にくわえる部分なので、隅まで洗いましょう。乳首は消耗品と考えて、いくつか使い回すと良いですね。
洗剤をお湯で洗い流す
ミルク汚れがないか確認しながら、洗剤が残らないように、流水でしっかりすすぎましょう。このときもお湯で洗い流した方が良いですね。
哺乳瓶を洗う際の注意点
哺乳瓶専用の洗剤は必要?
まず、哺乳瓶などを洗う際に洗剤は必要です。ミルクには、残りやすいたんぱく質や脂肪が多く含まれるため、洗剤を使わなければ汚れが落ちません。そして、洗剤はすすいで落としきらなければいけません。
哺乳瓶専用洗剤を使う必要はありませんが、哺乳瓶専用洗剤はリンや着色料などが含まれておらず、食品に使われる成分だけを使用しているため、より安全性を考えるのであれば使った方が良いでしょう。
哺乳瓶はいつ洗えば良い?
使った哺乳瓶はできるだけすぐに洗ってください。使用して洗うまでに時間が経つと、細菌が生物膜(バイオフィルム)を形成してしまい、細菌を落としにくくなる恐れがあります。
すぐに洗浄できない場合は、最低でも水で何度かすすぎ、できるだけ早いうちに洗浄・消毒をしてください。
哺乳瓶専用のブラシ・スポンジじゃないとだめ?
哺乳瓶などを洗うときは、哺乳瓶専用のブラシやスポンジの方が、隅々まで洗うことができます。ただし、哺乳瓶の素材によってブラシを選んでください。ブラシが合わないと哺乳瓶に傷が付き、細菌が繁殖しやすくなります。
また、ブラシやスポンジは雑菌の温床なので、丁寧な管理を意識するためにも、しっかり哺乳瓶用として分けた方が良いでしょう。
食洗機を使ってはいけないの?
食洗機を使う場合は、はじめから食洗機に入れるのではなく、丁寧に洗ってから食洗機に入れてください。哺乳瓶の溝や内部に汚れが残ってしまうと、細菌が繁殖する原因になります。
しっかり洗ってから食洗機を使えば、すすぎ温度は60-80℃ほどあるため、サカザキ菌などの殺菌効果も期待できます。また、乾燥機能がついていれば、より細菌の繁殖を抑えることができます。
- サカザキ菌
1歳未満の乳児が感染すると、数日間の潜伏期間を経て発熱、食欲不振、発作等を起こし、髄膜炎を合併する恐れがある。乳児の致死率は10-80%。 - サルモネラ菌
乳幼児が感染すると、6-72時間の潜伏期間を経て、吐き気、腹痛、38℃前後の発熱、下痢などを起こし、重症の場合は致死率が0.2-0.5%ほどになる。
旦那さんにも哺乳瓶を洗ってもらおう
気分が充実していれば、赤ちゃんに授乳をするのはとても楽しいです。ただ、哺乳瓶をきれいに洗ったり、消毒をしたり、乾かしたり……が楽しいという人はあまりいないですよね。
そんな人は、ぜひ赤ちゃんのため、自分のために、哺乳瓶を洗うグッズを一通り揃えてみてください。普段の家事の流れでやると面倒に感じても、育児の一環だと思えばやる気が出るものです。
もちろん、旦那さんが授乳をしたときは、「哺乳瓶をしっかり洗って、消毒をして、乾かすまでが授乳だよ(本当は調乳もだけど)。」と伝えて、哺乳瓶を洗わないときのリスクも教えてあげてください。
次回は、哺乳瓶のいくつかの消毒の方法とメリット・デメリットをお伝えしたいと思います。