厚生労働省の統計によると平成20年度の離婚数は年間約25万組、平成23年度の婚姻数は年間66万組なので、離婚率は37%以上もあります(3組に1組以上の夫婦が離婚)。
最近わたしの周りでも離婚は増えてますが、妊娠しても結婚しない「シングルマザー」や「シングルファザー(シングルファーザー)」も増えてますね。
夫婦が離婚するのは悲しいことですが、他人が口を出す問題じゃないです。ただ子供にとって片親は精神的な影響だけじゃなく経済面の不安、将来のサポートの心配があります。
日本ではシングル世帯へのサポート制度はいくつも用意されてますが、それでも満足な経済状態を作ることは難しいです。そして、この状態を簡単に脱出する方法もありません。
ただシングル世帯になる理由を考えることは大切です。日本のシングル世帯がなぜ増えてるのか、どれくらい差があるのかを知りましょう。
そして自分の現状を踏まえて、今抱えている問題を解決する方法を探りましょう。
目次
シングルマザーとシングルファザーの基礎知識
まーさ
シングルマザー・ファザーの定義
シングルマザーとは
シングルマザーとは母子家庭・母子世帯の母親のことですが、明確な定義はありません。というのも、統計によってシングルマザーの基準が変わるからです。
たとえば総務省ではシングルマザーを以下の条件で定義付けています。
- 未婚、死別、または離婚による母子世帯であり、母親と未婚の20歳未満の子のみからなる一般世帯の母親のこと
- 上記の母子と祖父母など他の世帯員からなる一般世帯の母親のこと
- 子が既婚、または成人した後に世帯員となる場合は、他の子(未婚・20歳未満)がいても母子世帯とはみなされない
既婚の子または成人した子と同居なのかは、世帯ごとに各人の「続柄」で判別されます。
また子と同居していない場合もシングルマザーにカウントされません。さらに「子と同居で配偶者のいない15-49歳の女性」という年齢制限が設けられています。
シングルファザー(シングルファーザー)とは
同じく総務省の統計では、シングルファザーを以下の様に定義付けています。
- 未婚、死別、または離婚による父子世帯であり、父親と未婚の20歳未満の子のみからなる一般世帯の父親のこと
- 上記の父子と祖父母など他の世帯員からなる一般世帯の父親のこと
- 子が既婚、または成人した後に世帯員となる場合は、他の子(未婚・20歳未満)がいても父子世帯とはみなされない
シングルマザー・ファザーの人数と割合
シングルマザーの人数と割合
総務省の2010年の調査では、日本のシングルマザーの数とその原因は以下の様に発表されています。
- 総数|1,081,699人
- 未婚|132,052人(12.2%)
- 死別|77,912人(7.2%)
- 離別|871,735人(80.6%)
日本のシングルマザーの数は100万人以上、うち8割が離婚が原因でシングルマザーになります。また母子世帯がおよそ75万世帯、他の世帯員がいる世帯は32万世帯です。
シングルファザーの人数と割合
同じく総務省の2010年の調査では、日本のシングルファザーの数とその原因は以下の様に発表されています。
- 総数|204,192人
- 未婚|32,472人(15.9%)
- 死別|27,350人(13.4%)
- 離別|144,370人(70.7%)
日本のシングルファザーの数は20万人以上、うち7割が離婚が原因でシングルファザーになります。また父子世帯が9万世帯弱、他の世帯員がいる世帯は11万世帯です。
シングルマザー・ファザーの推移
シングルマザーの推移
シングルマザーの数は2000年、2005年、2010年で以下の様に増加推移しています。
- 2000年|86.8万人
- 2005年|107.2万人
- 2010年|108.2万人
シングルファザーの推移
シングルファザーの数も2000年、2005年、2010年で以下の様に増加推移しています。
- 2000年|18.1万人
- 2005年|20.2万人
- 2010年|20.4万人
シングルマザー・ファザーになる原因
シングルマザー、シングルファザーになる原因は「未婚」「死別」「離別」の3つですが、細かく見ると家庭によって事情はいろいろです。
- 父母の一方が子の出生後に死亡
- 父親の死亡後に子が出生
- 父母の一方が行方不明(蒸発)
- 父母の離婚
- 母の一方が法令の規定により拘禁されている
- 父母の一方が精神障がいにより措置入院させられている
- 父母の一方に重度の障がいがあるために他方が養育している
- 母の一方による虐待・遺棄などにより他方が養育している
- 婚姻関係を結ばず出生
- 捨て子などで、母が懐胎したときの事情が不明
母子・父子家庭の支援制度と社会問題
まーさ
母子家庭と父子家庭は標準世帯のようにパートナーの協力が得られず、仕事と子育ての両立が必要なので世帯収入や生活水準が低くなります。
そのため母子家庭、父子家庭は国や地方団体から減免制度、生活費を支援する助成金などの援助を受けられる場合があります。一例を挙げると以下のとおりです。
- 児童扶養手当
- 児童育成手当
- 母子家庭・父子家庭の住宅手当
- ひとり親家族等医療費助成制度
- 所得税・住民税の減免制度
- 交通機関の割引制度
- 保育料の免除と減額
子供の健やかな成長や将来のサポートのためには、シングルマザー・シングルファザー世帯への手当などの拡充が望まれますが、一方で社会保障費が増大することも日本の問題の1つになっています。
ちなみに、母子家庭の平均世帯収入は291万円、父子家庭の平均世帯収入は455万円、標準4人世帯の平均世帯収入は707万円で、各世帯にかなり格差があります。詳しくは以下を参照してください。
未婚による母子家庭・父子家庭の増加
先ほど示したシングルマザーとシングルファーザー数の推移を見ると、初めから「未婚」のシングルマザーとシングルファーザーが増えていることが以下グラフでわかります。
もちろん増える背景はいろいろですが、ライフスタイルの変化で「結婚しないことの抵抗の薄れ」が要因の1つなのは間違いないですね。
ただ子供の生活や将来を考えるならば、ライフスタイルのみを重視した「未婚」の選択には個人的に賛同できません。
複雑な事情で未婚を選ぶしかない人は除いて、一時の感情で子供の生活や将来のサポートの可能性を狭める選択は、親の責任として避けることが望ましいと思います。
母子家庭・父子家庭・標準世帯の平均年収
まーさ
このような母子家庭(母子世帯)、父子家庭(父子世帯)などの
母子家庭と標準4人世帯の格差は2.5倍!
「国民生活基礎調査の概況」から母子家庭と父子家庭と標準4人世帯を比較した場合、各世帯の平均年収(平均収入)は以下の様になります。
- 母子家庭の平均世帯年収は291万円
- 父子家庭の平均世帯年収は455万円
- 標準4人世帯の平均世帯年収は707万円
平均値の比較ですが父子家庭と母子家庭の格差は1.5倍以上、父子家庭と標準4人世帯の格差も1.5倍以上、母子家庭と標準4人世帯では2.5倍弱もの格差があります。
総務省の「標準4人世帯」とは、夫婦と子供2人の4人構成で妻が専業主婦の状態です。
つまり「母子家庭」「父子家庭」「標準4人世帯」は、すべて働き手が1人の同条件なのに、一人親家庭には世帯年収格差があるんです。
世帯平均所得は約542万円…世帯当たりの平均所得金額推移をグラフ化してみる(2016年)(最新) – ガベージニュース
母子家庭・父子家庭の収入格差の理由
まーさ
母子家庭・父子家庭に大きな収入格差があるのは、「男女の平均年収の差」「働ける時間の差」という2つの理由が考えられます。
男女の平均年収の差
父親が働く父子家庭や標準世帯に比べて、母親が働く母子家庭の平均収入が低い理由は、男女の平均年収に格差があるためです。
2012年の国税庁のデータによると全年齢における男性の平均年収は502万円、女性の平均年収は268万円で、男女の平均年収格差は1.87倍もあります。
労働基準法第4条「男女同一賃金の原則」には、「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない」と定められています。
にもかかわらず、男女の平均年収に格差があるのは理由があります。
会社が法律を守ってないから
昔ながらの経営をする企業や法律に関心がない企業、女性蔑視の企業は女性の年収を低く設定します。男女の年収格差が1.87倍もあるので、そんな企業は少なくないんです。
女性は非正規雇用が多いから
差別ではなく女性には妊娠や子育てで生活スタイルを変える分岐点があり、そこで正社員から契約社員やパートに変更するケースが少なくないです。
夫の扶養家族(103万円)の壁もあるので、女性は平均年収が低い傾向があります。
注釈2018年(平成30年)度から、勤めている企業規模によって配偶者控除が103万円から150万円に変わる場合があります。
長期の仕事が難しいから
同様に生活スタイルを変える分岐点で、転職してキャリアをリセットするケースも多いですね。日本は終身雇用の企業が多いので、キャリアのリセットは大きな収入減です。
平均賃金が低い仕事が多いから
仕事の種類による男女間の年収格差がなくても、男性が就きやすい仕事、女性が就きやすい仕事で初めから収入格差がある仕事も多いです。
たとえば保育士、アパレルショップ店員、美容師、介護士は男性もいますが、女性が働くイメージが強いですね。これらの仕事は一部を除いて収入が低い職種でもあります。
働ける時間の差
母子家庭・父子家庭では、働き手が仕事と子育てを両立しないといけません。そのためフルタイム勤務が難しく、子供が体調を崩して急な休暇や勤務時間の変更も多いです。
また一般家庭に比べて仕事、家事、子育てが計画的に分担できないので、単純に働ける時間の差が生まれます。
時短勤務しないといけないから
時短勤務とは「育児・介護休業法」で定めた勤務形態で、子供が3歳未満まで1日6時間の短時間勤務を選択できる制度のことです。
育児のために時短勤務をする人は少なくないですが、働く時間を短縮するので収入は減ります。時短勤務の詳細は以下を参考にしてください。
昇進や昇給に影響があるから
時短勤務や勤務時間の変更行為が、昇進や昇給に悪影響を及ぼしてはいけません。
ただし勤務時間に融通が効かない社員は、責任が重い仕事を任せることができません。そのため、必然的に昇進や昇給に影響がある仕事の機会が減ってしまうんです。
母子・父子家庭の収入格差を埋めるには
同一能力、同一環境の男女なら年収格差があってはいけません。
ただし母子家庭・父子家庭だとフルタイムの仕事と子育ての両立が困難なので、仕事の環境を調整して子育てをすることが多くなります。
妊娠・出産・育児に関係ない他の社員からすれば、「勤務形態が変われば、仕事内容や年収が変わることは仕方がない。」と考えるもの……。
そのため会社単位で母子・父子家庭に配慮した制度を設けることはできず、標準世帯に比べて世帯の平均収入が低くなります。
女性の社会進出、保育園の受け入れ、核家族化、母子家庭・父子家庭の増加、国民の生活水準の低下などが絡むので、簡単に収入格差を埋める方法はありません。
世帯間の収入格差をなくしたいなら、母子家庭・父子家庭にならないことが1番の方法です。または両親と同居して働き手を増やし、世帯収入を上げることも考えるべきです。
母子家庭・父子家庭は世帯の収入格差が生まれ、子供の貧困や詳細の生活不安につながります。そのため仕方がない理由じゃないなら、安易な選択は控えた方がいいですね。
わたしたち親の責任は子供を生むまでじゃなく、子供を育てて将来へのサポートをしてあげるまで続くからです。