まーさ
吐き気や嘔吐の症状が重くて何も食べられない状態が続く妊婦は、つわりじゃなく「
一般的なつわりの症状は嘔吐、吐き気、食欲不振などの消化器症状、全身の倦怠感、頭痛、眠気などですが、重症妊娠悪阻はこれらの症状が極めて悪化した状態です。
重症妊娠悪阻は病気と診断されるので、つわりがつらいだけ……と放っておくと、入院治療や胎児の死産につながる可能性もあります。
- つわりの症状が重くなるってどういうこと?何が違うの?
- 何が原因でつわりから重症妊娠悪阻になるの?
- 重症妊娠悪阻ってどうすれば治るのかな……。
つわりがつらい人は、重症妊娠悪阻に至らないためにもぜひ重症妊娠悪阻について知ってもらいたいです。
この記事を読めば重症妊娠悪阻に至る原因や治療法、どうすれば重症妊娠悪阻になる確率を減らせるかがわかります。
目次
重症妊娠悪阻とつわりの違い
まーさ
重症妊娠悪阻とは
重症妊娠悪阻とはつわりの症状が重くなり、激しい吐き気や嘔吐が止まらずに脱水症状を起こしたり、体重が5%以上減少または持続的に体重が減少する病気のことです。
重症妊娠悪阻を単に妊娠悪阻ということもあります。つわりは漢字で「悪阻」と書きますが、区別するために「妊娠悪阻」と「つわり」という表記で分けることが一般的です。
重症妊娠悪阻とつわりの症状
一般的なつわりの症状が嘔吐、吐き気、食欲不振、倦怠感、頭痛、眠気などに対して、重症妊娠悪阻は脱水症状、蛋白尿、摂食障害などの症状もみられます。
さらに重症妊娠悪阻が続くと脳症、妊娠高血圧症候群、肝機能障害を中心とした臓器機能不全や脳神経障害を起こす可能性もあります。
軽度のつわりの症状
- 軽度の全身倦怠感、頭重感、早朝・空腹時の悪心
- 食欲不振、食嗜変化、嗜眠感
- 乗物酔い
重度のつわりの症状
- 一日数回の苦痛を伴う悪心・嘔吐、冷汗、頭痛
- 食事摂取困難・強度の全身倦怠感
重症妊娠悪阻の症状
- つわり症状が持続的、高度となり脱水、飢餓状態を来す
- 蛋白尿
- 乏尿、体温上昇、代謝性アルカローシス
- 悪化すると脳症の発現
重症妊娠悪阻を判断する方法
重症妊娠悪阻とつわりの明確な線引きはありませんが、尿検査でケトン体の陽性値を見たり、つわりがどう悪化したかで重症妊娠悪阻の状態を判断します。
1週間に3~4kgの体重減少のある場合、尿中ケトン体が(2+)以上を示す場合、脳症状や肝機能障害(GOT、GPTが100lU/ℓ以上)を示す場合
つわりと重症妊娠悪阻の原因
まーさ
つわりと重症妊娠悪阻の原因は同じです。つわりの原因に体調、環境、個人差などが絡むことで、吐き気・嘔吐などの症状の重さが変わります。
精神・心理学的因子
重症妊娠悪阻は心理的ストレスや社会的ストレスを受けている妊婦、夫婦関係がうまくいっていない妊婦に多く発症します。
hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)
重症妊娠悪阻の発症時期がhCG分泌が高まる時期(妊娠8-10週ごろ)と一致すること、hCG分泌過剰状態が確認されると重症妊娠悪阻の割合が増えることがわかっています。
甲状腺ホルモン
妊娠初期にhCGが分泌されると血中TSH(甲状腺刺激ホルモン)は下降し、甲状腺機能が活発化します。甲状腺機能が活発化すると、重症妊娠悪阻の症状が現れます。
プロゲステロン(黄体ホルモン)
妊娠するとプロゲステロンの分泌が活発化し、消化管が収縮・弛緩をくり返す
エストロゲン(卵胞ホルモン)
重症妊娠悪阻症例でエストロゲンを投与すると悪心・嘔吐が生じることから、エストロゲンが重症妊娠悪阻の発症に関与している可能性があると言われています。
重症妊娠悪阻の治療方法
まーさ
重症妊娠悪阻の治療の原則は重度の脱水症状と摂食障害を防ぎつつ、心理的合併症の処置を行うことです。
重症妊娠悪阻の症状は心理的な要因で悪化することが多いので、生活環境を変えた入院管理下で医師の指導の元治療することが臨まれます。
医師による食事の指導
摂食障害がある場合は、少量の固形物を複数回に分けて摂取するよう指導されます。また食間に水分摂取し、脂肪の多いものや刺激の強い食べ物は避けるように指導されます。
精神科医による精神療法
重症妊娠悪阻の原因の1つはストレスです。つわりが悪化すると妊婦には大きなストレスがかかります。そのため場合によっては精神科医による治療も行なわれます。
生理食塩水の摂取など脱水症状の改善
重症妊娠悪阻による脱水症状を防ぐために生理食塩水の定期摂取は必須ですが、経口摂取が難しい場合は細胞外液を点滴で投与します。
また経口摂取が長期間行えない場合は、ビタミンB1欠乏症のウェルニッケ・コルサコフ症候群を予防するためにビタミンB群を投与します。
点滴投与など経口摂取の制限
重症妊娠悪阻では吐き気・嘔吐がある程度治まるまでは胃に負担をかけず、安静に保つ必要があります。そのため脱水症状の補助だけを行い、固形物の経口摂取は制限されます。
もし妊婦に栄養不足が懸念される場合は、高カロリー輸液を点滴します。
鎮吐剤、鎮静剤の投与
十分な点滴治療を行なっても強い嘔吐が続くと食道破裂や出血性網膜炎、酸塩基障害などの合併症をきたす場合があるので、鎮吐剤、鎮静剤の投与を行う場合もあります。
ただしつわりの発生時期は薬物による流産の可能性もあるので、薬の使用は必要最小限にとどめなければいけません。
抗ヒスタミン薬などの薬物療法
「産婦人科診療ガイドライン–産科編」において、抗ヒスタミン薬やpyridoxine(ビタミンB6)など薬物療法の考慮が謳われています。詳しくは以下を参考にしてください。
重症妊娠悪阻は単なるつわりじゃない
つわりは女性ホルモンによって起こるので、根本から治療をしたり事前に防ぐことは難しいですが、早めの対処で症状の悪化をある程度防ぐことはできます。
米産科婦人科学会と日本産科婦人科学会では、つわり治療にビタミンB6が推奨されています。そのためビタミンB6を多く含むサプリメントで、症状を和らげることができます。
また厚生労働省は1日0.4mgの葉酸摂取を推奨しています。実際に産婦人科医が行った実験では、ビタミンB6と葉酸を毎日摂取することでつわりが改善する結果が見られました。
ビタミンB6を25mgと葉酸400マイクログラム(0.4mg)を1日量として5日間、摂取していただき、吐き気がどうなるかというテストを 20 名の方にさせてもらいました。その結果、70%の方で吐き気が改善、65%の方で食欲の改善がみられました。
産科・婦人科マミーズクリニックちとせ院長島田茂樹先生コメント|【雪印ビーンスターク株式会社】
ただしビタミンB6単一、葉酸単一では栄養が偏るので、「葉酸+ビタミンB6+妊婦に必要な栄養素」をバランスよく摂取できるサプリを選びましょう。
わたしのおすすめは「マカナ」です。マカナは他のサプリと違い、栄養成分基準値を満たした栄養機能食品に認定されています。
ビタミンB6も1日4粒で2.5mg含まれていて効率良く摂取できます(調べた限り他のサプリは0.3-1.8mgほど)。また葉酸も推奨の0.4mg含まれています。
つわりのときに無理に食事をすると吐き気が起こるだけじゃなく、飲食と嘔吐の繰り返しで消化器系を傷つけて症状が悪化します。
つわりは早めに自覚して、医師の指導を受けた方が安心感がありますし最悪の事態も防げます。
重症妊娠悪阻が悪化すると母体を守るために中絶に至ることもありますし、「こんなに苦しいなら……。」と自ら中絶を選択する妊婦もいます。
妊婦1人の体ではないので、くれぐれも単なるつわりだと思わないよう対応しましょう。