まーさ
逆子の治し方はいろいろありますが、唯一医師が行う「
まーさ
と感じる人もいるでしょう。でもそれは間違いで、骨盤位外回転術はできる時期が限られるので最後の手段なんです。
- 骨盤位外回転術っていつごろどうやってやるものなの?
- 骨盤位外回転術っていくらくらいかかるの?
- 治る確率ってどれくらい?リスクはないのかな……。
骨盤位外回転術は費用もかかりますし、リスクもあります。そのため逆子と言われたら、骨盤位外回転術を理解した上でギリギリまで他の逆子対策に取り組んでください。
まずはこの記事を読んで骨盤位外回転術をちゃんと理解しましょう。
目次
骨盤位外回転術とは専門の医療行為
まーさ
骨盤位外回転術とは、妊娠35-36週の逆子(骨盤位など)の胎児に対して、医師が体外から物理的に胎児を回転させて逆子治療を行う医療行為のことです。
骨盤位外回転術は「骨盤位胎児外回転術」、または単に「外回転術」とも呼ばれます。
外回転術の時期と施術時間は?
外回転術を行う時期は骨盤位再発の恐れが少ない妊娠36週前後で、予約をした病院の分娩室で行います。
外回転術にかかる施術時間は1回10分-15分程度ですが、外回転術で妊婦に起こる合併症リスクを経過観察するために1日入院が必要な場合があります。
外回転術にかかる費用は?
外回転術にかかる費用は病院によって違います。施術費用は保険適用で1-2万円ほどです。麻酔や入院が必要だと3-4万円ほどかかる場合もあります。
外回転術を行えない条件は?
誰でも外回転術ができるわけじゃなく、以下の条件があると禁忌です。これらのリスクは妊婦に説明されますし、妊婦が望まない場合は外回転術は行われません。
- 帝王切開の既往
- 母体合併症(重症糖尿病、心疾患、甲状腺機能亢進症)
- 重症妊娠中毒症、子癇
- 高血圧症
- 子宮収縮抑制剤投与禁忌例
- 妊娠末期での子宮出血
- 子宮奇形
- 破水例
- 高度の肥満
- 前置胎盤
- 胎児仮死、胎盤機能不全
- 子宮内胎児発育遅延(IUGR)、羊水過少
- 巨大児
- 胎児奇形
- 多胎
外回転術は自分でもできる?
後で説明しますが、外回転術には合併症のリスクがあります。上記の禁忌もあるので、絶対に自分でやろうとしないでください。
外回転術のやり方と観察の流れ
まーさ
外回転術の施術の流れ
外回転術は以下のように行われます(深谷産婦人科による外回転術の方法)。より詳しい内容はリンク先を参照してください。
- STEP.1胎児の状態を確認するエコーで胎児の向き、胎盤の位置、羊水量、臍帯巻絡の有無等を確認します。
- STEP.2薬剤・麻酔などの点滴子宮収縮抑制剤を点滴して子宮収縮が起きないようにします。また硬膜外麻酔で子宮筋の張りを緩やかにします。
- STEP.3外回転術を施術するまず外回転術を10分行って治らない場合は休憩してさらに10分行い、それで治らないときは後日外回転術を行います。
- STEP.4胎児や胎盤を経過観察する外回転術後は分娩監視装置やエコーで、胎児の健康や胎盤剥離の状態を観察します。施術後6時間は観察が必要です。
04】妊娠後期: ₀₇₎骨盤位(逆子)と外回転術 – 【深谷産婦人科】,医学情報
下の動画を見ると外回転術の施術のやり方がイメージしやすいかもしれません。
外回転術の成功率
国立成育医療研究センターの症例によると外回転術全体の成功率は74.4%で、初産婦の成功率は71%、経産婦の成功率は86%です(一般的な成功率は5-6割ほどと言われる)。
妊娠35週以降で逆子が自然に治る確率は2%以下なので、外回転術の成功率はとても高いことがわかりますね。
海外での文献によると初産婦さんでは麻酔無しで32.4%, 麻酔ありで66.7%の成功率となっており、経産婦さんでは麻酔無しで57.5%, 麻酔ありで87.1%の成功率となっています。
当センターでの成績ですが、2012年1月から2014年8月の間に250例外回転術を施行し186例(74.4%)が頭位に矯正できました。内訳としては、初産婦さんでは177人中123人成功(71%)、経産婦さんでは63人中53人成功(86%)となっています。
このように病院を選ぶと、外回転術は逆子治療で高い成功率が期待できます。ただし外回転術は母子にとってリスクもあります。
外回転術リスクと合併症の割合
まーさ
外回転術は、医師が物理的に胎児の姿勢を動かすものです。そのため運悪く合併症を起こすリスクもあります。
国立成育医療研究センターによると、アメリカの外回転術の統計で以下の合併症例とその割合が報告されています。
- 一過性胎児心拍数異常:6.1%
- 破水:0.22%
- 性器出血:0.34%
- 常位胎盤早期剥離:0.18%
その他にも子宮破裂、胎盤血腫、絨毛膜下血腫、羊水塞栓、母児間輸血症候群、血液型不適合妊娠、早産、胎児腕神経叢損傷、胎児徐脈・胎児死亡などの可能性があります。
また外回転術中や術後に起こった合併症によって緊急帝王切開が必要になる場合もあります。日本国内で外回転術から緊急帝王切開に至った割合は2.9%です。
外回転術後に逆子に戻ることも
外回転術が妊娠36週前後に行われるのは、逆子を治してもまた骨盤位になってしまう可能性を低くするためです。
分娩が逆子になるかどうかは分娩直前までわかりません。そのため、外回転術で逆子が治ったとしても戻る可能性があることも認識しておきましょう。
外回転術のメリット・デメリットを知る
妊娠後期に逆子だとわかっても、妊娠35-36週までに9割は自然に治ります。ただその後自然に頭位に戻ることは期待できません。そのため外回転術は最後の手段です。
もちろん外回転術で必ず逆子が治るわけじゃないですが、国立成育医療研究センターの成功率74.4%という数字を見ると期待したくなりますね。
一方緊急帝王切開の割合が2.9%というのも、妊婦の心情的に低い数字じゃないです。そのため家族も外回転術のメリットとデメリットを十分に把握してください。
逆子治療として外回転術が勧められるのは、合併症割合と比較しても骨盤位分娩や帝王切開を回避する方がリスクが少ないためですが、最後に判断するのは妊婦自身です。
医師とよく話し合って外回転術を行うかどうかを決めてください。その他にも逆子を治す方法はあるので、以下を参考にして全力で取り組みましょう。