赤ちゃんには生きるためにいろんな反射行動が備わっています。赤ちゃんに大切な反射は、大きく「原始反射」と「姿勢反射」があります。
- 原始反射とは
脊髄、脳幹に反射中枢をもち、ある刺激に対して中枢神経系を経由して起こる反射行動のこと。原始反射の多くは、胎児のときから備わっているが、神経機構の発達に伴って徐々に消失する。 - 姿勢反射とは
姿勢や平衡を維持するために、乳児の成長に伴って発現する反射行動のこと。神経中枢による筋緊張反射(原始反射)と姿勢や平衡を維持する反射に分けられる。
今回ご紹介するのは、原始反射の「歩行反射」です。
赤ちゃんに必要な歩行反射とは、どのような反射なのでしょうか。また、出現時期や消失時期はいつなのでしょうか。
歩行反射の確認方法、出現しない場合の原因と合わせてお話したいと思います。
歩行反射(ほこうはんしゃ)とは
歩行反射(walking automatic reflex)とは、産まれたばかりの赤ちゃんを両脇ので抱えて持ち上げ、足の裏を床などの平面に触れさせて前傾させると、足を交互に屈曲して歩行するような仕草を見せる反射行動のことです。
「足踏み反射(あしぶみはんしゃ)」「原始歩行(げんしほこう)」「自動歩行(じどうほこう)」「自立歩行(じりつほこう)」とも呼ばれます。
歩行反射の出現理由
歩行反射は、赤ちゃんがつかまり立ちからひとり歩きに移行するための足の動きや、必要な機能を発達させる助けとして起こります。
なお、歩行反射を補助反射として、赤ちゃんの両脇の下で抱えて持ち上げると両足を曲げる「陽性支持反射(ようせいしじはんしゃ)」があります。
歩行反射の出現時期・消失時期
歩行反射はいつから?
歩行反射は出生直前の胎児期にも見られるため、多くは出生前から備わっている反射だと考えられます。
歩行反射はいつまで?
歩行反射は、生後1-2ヶ月で消失しますが、生後8ヶ月を過ぎるころに再び反射行動を行うようになります。これは赤ちゃんが成長して増えた体重を動かすことができなくなるためだと予想されます。
アメリカの発達心理学者 エスター・テーレンという人です。彼女は、足の運動が消失した赤ちゃんを抱っこして、その足を小さなプールに入れてみました。すると赤ちゃんの両足は見事に動き出したのです。ここで大事なことは、この時期の赤ちゃんの「脳」が、まだ足の動きを十分にコントロールできるほどには成長していないということです。つまり赤ちゃんの足は、プールの水の浮力で軽くなり、自ずと動き出したというわけです。