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妊娠中にお菓子食べちゃダメ?食べ過ぎの影響と妊婦におすすめの間食

妊娠中にお菓子食べちゃダメ?

妊婦になると、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの合併症リスクを抑えるために体重コントロールをしたり、ビタミン・ミネラルなどの過剰・過少摂取による健康被害を避けるために栄養バランスなどに気を付けた食事をしなければいけません。

「体重コントロール」と「栄養バランス」この2つを意識すると、妊娠中にお菓子を食べたり、間食をすることが良いとは言えません……。

でも、甘いお菓子の誘惑には勝てず、つい食べすぎてしまうこともあります。ダイエットが3日坊主で終わる人にとって、妊娠中はお菓子食べちゃダメ!と言われるのはつらいことですね。

でも安心してください。妊婦が絶対にお菓子を食べたり、間食をしてはいけないということはありません。むしろ、お菓子を食べないことでストレスを感じ、妊娠・出産に悪い影響を及ぼす可能性もあります。

とは言え、ストレスを免罪符にして、いつでもなんでも食べて良いわけではなく、妊娠中はお菓子や間食に対するルールが必要です。

そこで今回は、妊娠中にお菓子を食べ過ぎることの影響と妊婦におすすめの間食・おやつをご紹介したいと思います。

妊婦がお菓子を食べも良い理由

妊娠中は、身体的にも精神的にも多くのストレスがかかりますが、人によっては、お菓子を食べることがストレス解消に役立つケースもあります。

甘味がストレスを解消することは、科学的にも証明されています。それは、舌が甘味を感じることで分泌される「セロトニン」や「エンドルフィン」というホルモンの影響によるものです。

お砂糖とストレス|お砂糖研究所|知る・楽しむ|お砂糖はカップ印 日新製糖

エンドルフィンの分泌

エンドルフィンが分泌されると、脳波はリラックスした状態になります。エンドルフィンは気持ちを落ち着かせてゆったりとした気分にさせる働きとともに、病気に対する抵抗力をアップさせる効果もあります。

セロトニンの分泌

セロトニンは、気分を高揚させたり、精神を安定させる効果があります。セロトニンは、タンパク質に含まれるトリプトファンというアミノ酸から合成されますが、トリプトファンを脳に運ぶにはブドウ糖の働きが必要です。

そのため、肉や魚などのタンパク質を摂取した後に甘いデザートを食べることで、トリプトファンとブドウ糖が同時に摂取でき、セロトニンがうまく分泌されることでストレス解消につながります。

妊娠中ついお菓子を食べ過ぎてしまう理由

妊婦がついお菓子を食べすぎてしまうのは、「性格的に我慢できない」という理由ではありません。妊娠しているからこそ、間食が増えてしまう理由があります。

ホルモンによって味覚が変わるから

妊娠すると、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)というホルモンが分泌されます。hCGホルモンはつわりの原因の1つですが、つわりは単純に気持ち悪くなるだけではなく、味覚が変化することがあります。

味覚が変化して甘味を感じにくくなるケースもありますが、甘味をより好むようになるケースもあります。そのため、お菓子などの甘いものがより美味しく感じて、止まらなくなってしまいます。

胎児の成長で糖分が不足するから

胎児は臍帯を通じてブドウ糖を摂取して成長しています。とくに妊娠後期の胎児の成長は著しく、胎児にブドウ糖を供給するため、母体がより多くの糖分を欲するようになります。

そのため、妊婦はブドウ糖を効率よく摂取するために、糖質が高いアイスクリームやケーキなどの甘いお菓子を食べたくなります。

つわり明けで食欲が増すから

つわりは妊娠2-4ヶ月ごろに多く、妊婦の50-80%が経験します。もっとも多いつわりの症状は、吐き気や食欲不振ですが、症状が重くなると食事が困難になり、脱水症状を起こす場合もあります。

そんなつらいつわりを何ヶ月も耐え続けると、つわりが治まった反動でつい食べすぎてしまう人がいます。

プロゲステロンで食欲が増すから

妊娠すると常に分泌されるのが、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という女性ホルモンです。このうちプロゲステロン(黄体ホルモン)は食欲増進の効果があるため、妊娠中は食欲が旺盛になります。

ちなみに、生理前に食欲が増す原因の1つも、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が盛んなことが挙げられます。

妊婦のお菓子食べ過ぎによる影響

いくらお菓子や間食にストレス発散効果があったとしても、妊娠中に食べ過ぎると、母体や胎児に悪影響を及ぼす恐れがあります。

妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病など

カロリーが高いお菓子は肥満の原因となり、肥満は妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などを引き起こす原因になります。

妊娠高血圧症候群は、重症化すると脳出血や肝臓や腎臓の機能障害を起こす可能性が上がります。また、胎児の発育不全や胎児機能不全の危険性もあり、胎児死亡に至る可能性もあります。

妊娠糖尿病は、合併症として網膜症や腎症などの恐れがあります。また胎児は、流産や早産、巨大児、低血糖、胎児死亡に至る可能性もあります。

食品添加物による胎児異常

市販のお菓子には、他の食品に比べて保存料や着色料、香料などの食品添加物が多く含まれますが、日本で使われる食品添加物は、最大無毒性量に安全係数1/100をかけて安全基準を設定した「一日摂取許容量(ADI)」が定められています。

食品添加物よくある質問(消費者向け) – 厚生労働省

食品添加物Q&A | 日本食品添加物協会

ただし、胎児は感受性が高いだけでなく、どのような成分に反応するかわかりません。そのため、食品添加物による催奇形性や流産、子宮内死亡、未熟児などの可能性は考えなければいけません。

飲食物に含まれる物質の催奇形性などの発生毒性に関する懸念について

新生児の低血糖症

新生児低血糖症とは、新生児の血糖値が低いことで、呼吸障害、けいれん、チアノーゼなどの症状が見られ、脳障害につながる恐れがある病気のことです。

赤ちゃんが低血糖症を起こす原因の1つに、胎児の「高インスリン血症」がありますが、高インスリン血症は妊婦が糖分を取りすぎて高血圧状態が続くことで起こりやすくなります。

低血糖症の原因/久保田産婦人科麻酔科医院

虫歯・口内環境の悪化

妊婦は、虫歯や歯周病になりやすく、妊娠後期に虫歯があることで、早産になる恐れがあります。当然甘いものを食べたり、間食が多いと虫歯になる可能性は高まります。

American Journal of Obstetrics and Gynecology(196:135,2007)によると、歯周病の妊婦は早産・低体重児出産の割合が2.83倍、早産児の割合が2.27倍、低体重児出産の割合が4.03倍多いことがわかっています。

妊娠中の適切なお菓子の選び方

ルールを持って間食をするために、妊娠に適切なお菓子を選び、できるだけ満足感の高い間食を心掛けましょう。

カロリーが低いお菓子を選ぶ

カロリー摂取量を控えるためには、カロリーの低いお菓子を選ぶことが基本です。市販のお菓子にはカロリー表示があるので、いろいろ比較してカロリーが低いものを選んでください。

噛みごたえがあるお菓子を選ぶ

噛む回数が多くなると、満腹中枢が刺激されて早く満足感を得られます。ハリボーのグミなど噛みごたえのあるお菓子であれば、食べ終わるまで時間もかかりますね。

小分けにされたお菓子を選ぶ

「大容量のお菓子の袋を開けて、5日に分けて食べれば……。」そんなことができるなら、お菓子の食べ過ぎで悩んだりしません(^_^;)

初めから小分けにされているお菓子を選ぶことで、1日1袋だけという調整がしやすく、だらだらと食べ続けることが防げます。

栄養価が高いお菓子を選ぶ

どうせ食べるなら、カロリーだけが高いお菓子よりも、カルシウムやビタミンなどの栄養素が多く含まれるお菓子を選んだ方が、母体にも胎児にもメリットがあります。

わたしがおすすめする妊娠中の間食・おやつ

わたしは、妊娠中に小腹が空いたときのために、飽きずに食べられる間食・おやつをいくつか決めていました。

ヨーグルト

もっともおすすめする間食・おやつは、ヨーグルトです。ヨーグルトは量の割にカロリーが低く、甘味が欲しい場合は加糖ヨーグルトでも111Kcalです。乳製品なのでカルシウムも豊富で、1人前あたりカルシウム110mgが含まれます。

無糖のヨーグルトに、はちみつで甘さを調整しても良いですね。100gあたりのカロリーは、砂糖よりもはちみつの方が25%低くなります。また、キシリトール粉末を使えば、虫歯になりにくいうえに、カロリーも砂糖の40%オフです。

ゼリーや寒天

次におすすめなのが、ゼリーや寒天です。水分を多く含み、バターなどの油脂が含まれないためカロリーを抑えられます。市販のゼリー70gあたり66Kcalほどで、ヨーグルトよりも低いカロリーです。

ダークチョコレート

どうしてもチョコレートが食べたい!と言う人は、ダークチョコレートがおすすめです。ダークチョコレートとは、カカオマスを40%以上含み、糖分や乳製品分が少なく苦味を感じるチョコレートのことです。

エール大学の研究によると、ダークチョコレートが妊娠高血圧症候群の合併症である子癇(しかん)の確率を下げる可能性を示唆しています。

Chocolate may be Boon to Pregnant Women, Yale Study Shows | YaleNews

酢こんぶ

甘味はそんなに求めてない、とにかく間食がしたいという人は、酢こんぶがおすすめです。酢こんぶはカロリーが低く、1人前15gで22Kcalです。

甘味は求めていないと言っても、酢こんぶは噛むほどに甘みを感じますし、酸味もアクセントになるので飽きずに満足できます。さらに食物繊維も2mgと豊富に含まれています。

みかんなど柑橘系の果物

さっぱりとした甘さを求めるなら、柑橘系の果物です。たとえば、みかんMサイズ1個はカロリーが34Kcalと低く、ビタミンCは62mgも含まれています。ビタミンCは抗酸化作用があるほか、鉄分補給にも役立ちます。

妊娠中のお菓子・間食は控えめに

冒頭でお話した通り、「体重コントロール」と「栄養バランス」を考えれば、妊娠中にお菓子を食べたり、間食をする必要性はありません。

そのため、無理なく我慢できる人は、できるだけお菓子を食べず、間食もしないで、きっちり1日3食の中で栄養を補った方が良いでしょう。

妊娠中は食欲が増す理由とともに、体重が増えやすい時期もあります。体重が増えやすい時期とその理由も理解して、体重管理の計画に含めておくと良いでしょう。

とくに妊娠中は気持ちの浮き沈みも激しいため、「妊婦としてこんなにがんばってるんだから、少しくらい食べたっていいじゃん!」と思って食べてしまいがちです(わたしがそうでした)。

もし過去に戻れるなら、あのときのわたしを叱りつけたい……。