「○○容疑者は、生後6ヶ月の長男を激しく揺さぶるなどして頭にケガを負わせ~~」などをニュースで聞くことがあります。子育て中のママはすぐにピンと来ます。
まーさ
揺さぶられっ子症候群は2002年から母子手帳にも記載されていて、最近のママには認知度が高い病気ですよね。
- 揺さぶられっ子症候群ってどんな病気なの
- なんで揺さぶられっ子は起きるの?原因は?
- 揺さぶられっ子症候群ってどうすればわかるの?
子供を激しく揺さぶることで発症する「揺さぶられっ子症候群」は1990年代に世界中で浸透した症状なので、まだ世間に十分認知されてはいません。
そこで今回は、揺さぶられっ子症候群とは何か、揺さぶられっ子症候群で起きる怖い後遺症、また揺さぶられっ子症候群の症状の見極め方についてお話したいと思います。
目次
揺さぶられっ子症候群とは
まーさ
揺さぶられっ子症候群とは、赤ちゃんの身体を大きく強く揺さぶることで脳内出血が起き、
揺さぶられっ子症候群診断の定義
揺さぶられっ子症候群に明確な定義はありませんが、3つの診断の特徴があります。つまりこの3つがあれば、揺さぶられっ子症候群と診断される可能性があります。
- 網膜出血または眼底出血
- 硬膜下血腫またはくも膜下出血
- 脳浮腫
赤ちゃんの頭蓋骨の隙間
赤ちゃんは、大人に比べて脳と頭蓋骨の間に隙間が広く空いてます。新生児の脳は1-2歳まで大きく成長するので、あらかじめ隙間が必要なんです。
また隙間があるおかげで、ある程度頭の形を変えて産道を通りやすくなっています。
ところが脳と頭蓋骨の隙間が広いので、頭を揺さぶられると脳が大きく揺れて頭蓋骨内に叩きつけられます。すると衝撃で脳が萎縮し、より隙間が広がります。
さらに脳の揺れで静脈がつぶれることで、血管が切れて脳内出血を起こします。出血した血は脳と頭蓋骨の隙間に溜まって塊になり、硬膜下血腫などの重大な障害に至ります。
以下の動画を見ると揺さぶられっ子症候群の仕組みや、赤ちゃんを揺さぶることがどういうことなのかがわかります。
揺さぶられっ子症候群が起こる原因
まーさ
揺さぶられっ子症候群になる赤ちゃんの特徴
赤ちゃんは生後3ヶ月過ぎに首がすわりますが、しっかり支えられるのは5-6ヶ月ほどです。そのため揺さぶられっ子症候群になりやすい赤ちゃんには以下の特徴があります。
- 生後6ヶ月未満の乳児
- 相対的に頭が大きくて重い乳児
- 頸部の筋肉など頚椎が未発達な乳児
- 脳が未発達で隙間が大きい乳児
- 脳表面の血管構築が未熟な乳児
ただ個人差がありますし、生後6ヶ月を過ぎても揺さぶられっ子症候群は突発的に起こるので、せめて1歳過ぎまでは気をつけた方が良いですね。
揺さぶられっ子症候群の原因
意図的に赤ちゃんの体を揺さぶったから
Wikipediaによると、以下が揺さぶられっ子症候群の原因です。
- 頭を2秒間に5-6回揺さぶる
秒数回の揺さぶりはかなりの速さで、意図的でないとありえません。 - 体を10秒間に5-6回激しく揺さぶる
早く揺さぶる以外に、大きく体を揺さぶることも原因です。 - 体を20分間左右に揺さぶる
速さや強さがなくても、長時間不定期に揺らされ続けると影響があります。 - 「高い高い」で空中に投げてキャッチを繰り返す
たとえ首がすわっていても、何度も高い高いするのは危険です。 - 急激に持ち上げゆっくり下ろすを繰り返す
急激に持ち上げて降ろすと脳が上下に揺れます。 - ゆりかごに入れて大きく何度も揺さぶる
程度の問題で、速く強く長く揺さぶると脳にダメージがあります。 - 新生児用ではないチャイルドシートに長時間座らせる
車の振動で体が揺れると頭も大きく揺れるので、定期的に休憩しましょう。
以下の記事でタオルを使って実際に揺れの実験検証をしてるので、参考にしてください。わたしも参考になりました。
揺さぶられっ子症候群はどの程度で発症するの?車移動は?症状は?
転倒や落下など頭に衝撃を受けたから
つかまり立ちから倒れたり、ソファから落ちることで硬膜下血腫が起こることがあり、これが揺さぶられっ子症候群=虐待だと診断される場合もあります。
生まれたときから脳内出血があるから
揺さぶられたり頭に外傷がない赤ちゃんでも、生まれたときから脳内出血が見られることがあります。しかもその割合はかなり高いです。
「通常分娩で生まれた健康な新生児でも、その30%に網膜出血が見られ、吸引分娩の場合は75%である」
「通常分娩で生まれた健康な新生児でも46%に硬膜下血腫が見られた」
「揺さぶられっ子症候群に科学的根拠なし」日弁連シンポで外国人医師らが警鐘(柳原三佳) – 個人 – Yahoo!ニュース
この出血が原因で障害に至る可能性もあります。
揺さぶられっ子症候群の症状
まーさ
揺さぶられっ子症候群は脳の損傷具合で症状が変わるので、見極めやすい場合と見極めにくい場合があります。
たとえばボクサーはパンチで脳を揺らされると気持ち悪くて嘔吐したり、めまいがします。また脳に損傷があると眠気に襲われたり、頭の痛みを訴えます。
揺さぶられっ子症候群の赤ちゃんにも近い症状が出ますが、言葉がしゃべれないので状況や症状を見て親が判断するしかありません。
揺さぶられっ子症候群を疑う症状
揺さぶられっ子症候群の可能性がある症状には、以下のものがあります。
- 半日以上おっぱい(ミルク)を飲まない
- 大量に嘔吐する
- 何度もけいれんを起こす
- 意識がない、ぐったりしている
- 月齢目安よりも長時間眠り続ける
- 起こしてもすぐに寝てしまう
- ギャン泣きがピタリと泣き止む
- 笑わない、表情に反応がない
- 目が見える月齢なのに焦点が合わない
- 呼びかけに応じない
- 呼吸が苦しそう
嘔吐やけいれん、意識がない、おっぱいを飲まない、苦しそうなどは揺さぶられっ子症候群に限らず異常だとわかりますが、その他は異変にも気付かないかもしれません。
それでも泣いてる子がピタッと泣き止んで落ちるように眠るのは稀ですし、急に呼びかけに反応しなくなったり、目がうつろで焦点が合わない場合も異常だと分かります。
ただし静脈損傷の出血は時間がかかるので、明確な症状が出るのは数週間から1-2ヶ月後ということもありえます。
脳の病気は深刻なので、少しでも気になる症状があれば早めに病院に連れて行って相談しましょう。とりこし苦労なら良かったと安心すれば良いだけです。
揺さぶられっ子症候群の後遺症
揺さぶられっ子症候群は脳の静脈が損傷することで深刻な脳の病気が起こり、後遺症が残ることも考えられます。
- 失明や視力障害
- 難聴
- 言語機能の障害や遅れ
- 知能障害
- てんかん
- 手足の麻痺
- 重度心身障害
- 麻痺による寝たきり
せっかく元気に生まれた赤ちゃんが、揺さぶられっ子症候群で言葉を話せない、目が見えない、耳が聞こえない、身体が動かせないなどの生活を強いられる可能性があります。
揺さぶられっ子症候群に対する疑問
まーさ
揺さぶられっ子症候群は本当に虐待?
これまで外傷がない赤ちゃんに網膜出血、硬膜下血腫、脳浮腫などが見られたら揺さぶられっ子症候群と診断されて、親の虐待と決めつけられていました。
ただ網膜出血、硬膜下血腫、脳浮腫などは揺さぶっただけで起こるわけじゃありません。
車の振動でも揺さぶられっ子症候群になる?
生まれたときから脳内出血がある子は、車の振動でも揺さぶられっ子症候群を発症する可能性があります。そうなると赤ちゃんは車に乗せるのを避けたいですね。
ただ、長時間車に乗せなければいけない場合もあります。わたしも片道1時間以上かけてこども病院に通っていたので以下の対応をしました。
- わたしが息子の横で揺れないように付き添う
- なるべくガタガタ道を避けてこども病院に向かう
- 往復どちらも休憩時間を2回以上とる
- 休憩毎にベビーシートのフィット具合を確認する
これくらい注意すれば揺さぶられっ子症候群の可能性は低くなるはずです。付き添いが難しい場合は、より慎重な運転と休憩時間の回数を増やすなどしましょう。
何かのはずみで赤ちゃんが揺さぶられたら?
赤ちゃんが揺さぶられっ子症候群の可能性がある行動をしたらすぐに病院に連れて行き、何をしてどんな症状が出ているかはっきり医師に伝えましょう。
「揺さぶられっ子症候群=虐待」という認識は近年少しずつ訂正されています。もちろん虐待を疑われることは怖いことですが、それよりも子供の命を優先することが先です。
揺さぶられっ子症候群を防ぐには?
まーさ
揺さぶられっ子症候群は、赤ちゃんを激しく揺さぶったことだけで起こるわけじゃありません。生まれたときにリスクを抱えている子もいるので、以下の4つを守ってください。
- 赤ちゃんを激しく揺さぶらない
- とくに首すわり前は慎重に抱っこする
- 赤ちゃんに違和感がないか常に観察する
- 違和感を感じたらすぐに医師に相談する
故意にしろ、過失にしろ、赤ちゃんを強く揺さぶったり、赤ちゃんを大切に扱えない1番の原因は「イライラ」です。
イライラした気持ちで育児をすることがあるのはよくわかりますが、育児ストレスが溜まってつい力が入ると赤ちゃんに重大な影響があるかもしれません。
育児にマジメ過ぎるママ、近くに頼れる人がいないママは育児ストレスを溜めやすいので気をつけましょう。
もちろん揺さぶられっ子症候群には十分注意が必要ですが、過度な心配をしすぎても十分なコミュニケーションが取れません。
コミュニケーションとのバランスを考えながら、楽しく育児できるように心がけてください。