みーこ
娘の名前はわたしが考えたので、もしこう言われたらかなりショックです……。ただ、自分の名前を変えたいと思っている人は少なくないでしょう。
改名するには、家庭裁判所に改名の申請手続きをして戸籍を変えなければいけません。
「えー、裁判所に申請なんて面倒くさい。」と思っている人……戸籍はそんなに簡単なものじゃないですし、改名の準備や改名後の手続きには時間がかかるものなんです。
しかも実際改名できるのは申請者の75%で、残りは「却下」や「取り下げ」になります。単なる趣味、感情、信仰上の希望など以下の理由だけだと簡単に改名できません。
- 憧れのアイドルと同じ名前に変えたい
- 画数を調べたら名前を変えた方が良いと言われた
- 可愛い名前を思いついたから、そっちの方が良い
- 結婚した人の苗字と今の名前を合わせると微妙……
- 仕事上の理由で改名したい
- 何となく名前を変えてみたい
それでも本気で改名したいならこの記事を読んでください。どんな人が改名できるのか、改名の手続きの方法、改名後に必要な手続きなどについて説明します。
目次
改名が認められる正当な理由とは
まーさ
改名の理由は「名の変更許可申立書」に「申立の理由」としていくつか項目があります。ただし、これらの理由は本人と裁判所の認識が違う場合があります。
- 奇妙な名である。
- むずかしくて正確に読まれない。
- 同姓同名者がいて不便である。
- 異性とまぎらわしい。
- 外国人とまぎらわしい。
- 平成○年○月神官・僧侶となった(やめた)。
- 通称として永年使用した。
- その他
奇妙な名である
最近は「キラキラネーム」が多くなったので、どこまで変わった名前で、どう実害に結びついているかの判断が難しくなりました。
いじめや差別を助長する名前、常識で考えておかしいと思える名前など実害の事例があった方が改名しやすいことは確かです。
むずかしくて正確に読まれない
漢字が当て字で正確に名前を呼ばれたことが無かったり、覚えてもらえない場合は、社会生活に不利益があると判断され、改名できる理由になります。
同姓同名者がいて不便である
わかりやすいのは有名人と同姓同名です。たとえば、その有名人が犯罪を犯し、関係ない同姓同名の人が注目を集めた場合は、改名できる理由になります。
また近所に同姓同名がいて問題があった、養子縁組で姓を変えると家族と同姓同名になるなども改名理由になります。
異性とまぎらわしい
かおる、あい、ひかりなどはまだいいんですが、「○○子」なのに男、「○○男」なのに女など名前で性別を間違えられる場合も、改名できる理由になります。
外国人とまぎらわしい
純日本人でもカタカナ名は増えてます。ただ外国人が少ない日本で、マイケル、キャサリンなど外国人をイメージする名前で不利益があれば、改名できる理由になります。
神官・僧侶となった
神官・僧侶になる際、または神官・僧侶をやめる際は改名します。そのため、改名できる理由になります。
通称として永年使用した
名前は公的な文書や契約での偽りがなければ、普段の生活や仕事上で通称を使っても問題ありません。郵便物、表札、名刺でもOKなんです。
そのような通称を5年以上使い続けた実績(郵便物、名刺など)があれば、本名から名乗っていた通称に改名できます。
その他
また、その他という項目もあります。上記に改名したい理由がなければその他に書き込みます。過去の改名理由の事例には以下のものがあります。
- 会社の営業上の理由による襲名が必要なため
- 伝統芸能の継承者が世襲によって改名が必要なため
- 帰化した際に日本風の名に改める必要があるため
- 出生届を提出した際に実は名前が間違っていたため
- 過去の虐待などの想起で精神的苦痛をきたし、日常生活に支障を及ぼすため
- 性同一性障害など、性別の不一致があるため
など
改名の申請手続きに必要な書類・条件
まーさ
戸籍の名を変更するには、改名の申立人の住所地の家庭裁判所に必要な書類などを提出する手続きが必要です。
改名の申立人
15歳以上で改名したい人は、申立人として家庭裁判所に申請できます。15歳未満で改名したい人は、法定代理人(親や養育者など)の代理申請がいります。
改名の申立てに必要な費用
- 「名の変更許可申立書」に貼る800円分の収入印紙
- 家庭裁判所の審査後連絡用の郵便切手160円分(80円切手を2枚)
郵便切手は家庭裁判所によって変わる場合があるため、改名を申請する裁判所のウェブサイトで確認してください。
改名の申立てに必要な書類
- 名の変更許可申立書(PDFダウンロード)
- 申立人の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)
- 名の変更の理由になる資料(実績証明)など
戸籍謄本は本籍地でしか発行されないため、入手が難しい場合は本籍地の自治体に連絡して、郵送で取り寄せ申請してください。
実績証明とは、通称名を使った郵便物の伝票など日付がわかるもののコピーです。使い続けている実績が必要なので、複数年分(5年など)の書類を用意しましょう。
名の変更許可申立書記載例
以下は、名の変更許可申立書(15歳以上)の記載例です。裁判所に許可をもらう申立書なので、申立ての理由などは丁寧にわかりやすく記載しましょう。
15歳未満の場合の名の変更許可申立書の記載例は以下を参考にしてください。
改名手続きの申請方法と流れ
まーさ
申立て
改名に必要な書類などを家庭裁判所に持っていくか郵送してください。
家庭裁判所は提出された書類に目を通し、改名可能かどうかの審査を行い、面談(審問)の日時を設定します。
面談の日時が記載された「審問期日通知書」が送られてきますが、早い場合は1週間、年度前後など裁判所が混んでいる場合は1ヶ月ほどかかります。
面談(審問)
面談当日は、審問期日通知書に記載された日時に遅れないように家庭裁判所に行きましょう。当日必要なものは、以下のとおりです。
- 審問期日通知書
- 免許証などの身分証明証
- シャチハタ以外の印鑑
裁判官との面談内容は、名前を変更する事情や必要性についてです。もし審問日時の都合がつかない場合は、事前に連絡すれば日時を変更できます。
審判書の送付
面談が終わると家庭裁判所から数日-1ヶ月以内に「審判書」が送られてきて、改名許可の結果がわかります。
戸籍変更の手続き
改名許可がおりたら、判決確定日から1ヶ月以内に本籍地の自治体に行き、戸籍担当窓口で戸籍変更の手続きをします。
または戸籍謄本を取り寄せて手続きをします。手続きには審判書の原本、念のため印鑑や身分証明証を持参しましょう(詳しくは自治体に尋ねてください)。
各種名義変更の手続き
戸籍変更は、反映までに数日-1週間ほど時間がかかります。次の手続きをスムーズに行うために、窓口でかかる時間を聞いておきましょう。
戸籍変更が完了したら、住民票と戸籍抄本など必要な書類を用意して、運転免許証、保険証、銀行口座など重要な契約が交わされている書面の名義変更を行います。
名義変更はそれぞれかかる時間や手順が異なります。戸籍変更が反映される前にピックアップしておきましょう。全ての手続きが終われば改名完了です。
通称を使えば戸籍変更の必要はない
世の中には、いろんな理由で改名したい人がいます。仕事のために名前を変えたい人、普段の生活の中でどうしても戸籍の名前を使いたくない人もいます。
ただ改名はサッとはできません。改名申請が却下される可能性もあります。
戸籍を変えるのはこれまでの行政的な行為だけじゃなく、不動産や自動車の所有名義、銀行口座などの手続きを全てやり直すということ。
もし改名希望者が「今日までは田中一郎だったけど、明日からは田中星空にしよう!」が簡単に通ってしまうと、明日から誰もあなたのことを認識できなくなります。
いろんな契約事項の変更が必要なので、改名に関わる行為が終わるまでに半年~1年以上かかる人もいるでしょう。
今後名前を変えたい人は、まず通称名から始めても良いと思います。郵送先や名刺に書く名前は自分が名乗りたい名前で構いません。通称名は芸名のようなものですね。
改名を本気で考えるなら、申請前に家族や周囲の親しい人にも相談してみてください。