まーさ
親のわたしが言うのも何ですが、今5歳でもうすぐ6歳になる息子は基本的に良い子です。
幼稚園でお友達が1人でいると「いっしょにあそぼう。」と誘ったり、先生が園児たちに難しい質問をすると、積極的に答えてリードしているそうです。
一方、3歳の娘は自由奔放です。彼女の感性は、「俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの。」です。お友達が持ってきたおもちゃを自分のものだと言い張り、手(足)も出します。
そんな兄妹がケンカをすると、妹は殴る蹴るで、兄は防御に徹します。でも、やっぱりイライラして、おりゃーと妹を突き飛ばし、泣かせてしまいました。傍目に見て娘が悪い……。でも、娘が突き飛ばされて泣いているのも事実……。
私「なんで、◯ちゃんを突き飛ばしちゃったの?」
息「突き飛ばしてないよ。◯ちゃんが自分で転んだんだよ。」
あー、せっかく息子の擁護をしようとしていたのに……問題が2つになってしまった。
さて、息子が嘘をついてしまったのは良くないことだと思います。でも、突き飛ばされる原因を作っているのは娘です。こんなときどうしますか?
目次
5つの嘘の種類
人は1日に200回嘘をつくだとか、1年で1000回嘘をつくなど言いますが、どちらにしても生きている限り嘘をつき続けることは間違いないです。
とは言え息子の嘘が問題ないわけじゃないです。嘘の種類は大きく5つに分かれます。
自分本位な嘘
自分本位な嘘とは自分の利益のために相手を騙したり、自分の立場が有利になるようにつく嘘です。詐欺もこの嘘になりますね。
誹謗中傷の嘘
誹謗中傷の嘘とは他人を傷つけたり、陥れるためにつく嘘です。自分が嫌いな人の立場を悪くするために、ありもしない噂を流すのはこの嘘ですね。
自己拡大の嘘
自己拡大の嘘とは自分を大きく見せたり、注目して欲しくてつく嘘です。「わたしモテるんだー。」「あのと知り合いなのー。」など自分を良く見せたいのはこの嘘ですね。
自己防衛の嘘
自己防衛の嘘とは言い訳したり、自分を正当化するためにつく嘘です。寝坊して会社に遅刻したときに、「道に迷ったおばあさんがいまして……。」というのはこの嘘ですね。
今回の息子の嘘はこれですね。
思いやりの嘘
思いやりの嘘とは周囲との関係を円滑にしたり、正直に言いづらいことをごまかすためにつく嘘です。「わたしの彼氏かっこ良くない?」「か、かっこいいね。」というやつ。
この嘘は相手がどうすれば喜ぶか、傷つかないかを考える嘘ですが、自分の本音じゃない事を言うので嘘をついたことになります。
子供が嘘をつく理由
まーさ
子供がつく嘘は、基本的に「自己拡大の嘘」「自己防衛の嘘」です。自分をどう見せるか、ごまかすかだけで、相手をどうにかしようという悪意はありません。
親に嫌われたくないから
子供は親に嫌われたくないから嘘を付きます。
ママは育児のイライラで、子供をきつく叱ることがあります。子供はママのイライラがわかるので、「ママに嫌われたくない。」という思いで嘘をつきます。
親のマネをするから
嫌なことがあって暗い顔をしてると「何かあった?」と聞かれますよね。相手に心配かけたくない、言及してほしくないときは「なんでもない、大丈夫。」と答えます。
大人は明らかに嘘だとわかり、それ以上深入りはしません。
ただこれ子供もわかります。とくに子供はママの顔色に敏感です。ママが「なんでもない、大丈夫。」を繰り返すと、子供も何か嫌なことがあっても、「なんでもない、大丈夫。」というようになります。
親を悲しませたくないから
嫌われたくないから嘘をつくことと似てますが、たとえば、いたずらをしてママに叱られるとします。
そのときに叱り方が「そんなことするなんてママ悲しい。」というものだった場合、子供は自分がした行為でママを悲しませていると認識します。
子供は、ママを悲しませることに罪悪感を感じて、「僕はやってないよ。」と嘘をついてしまいます。このような嘘は、子供なりの優しさの一種と考えても良いですね。
親の関心を引きたいから
子供は、言葉や行動によって親とのコミュニケーションを図ろうとしますが、もし親がそれに応えなければ、言葉や行動はエスカレートし、物事を大げさに表現する嘘をつくきっかけになります。
相手に認めてもらいたいから
子供は羨ましいと思ったことを、願望として口にします。お友達がみんなが欲しがるおもちゃを持っていた場合、つい「僕も持ってる。」「わたしも買ってもらう。」などと言ってしまうことがあります。
これは「◯◯だったら良いな」という気持ちが言葉になってしまっただけで、子供は嘘と認識していなかったり、誰かを騙したいとは思っていません。
子供が嘘をついたときの親の対応は?
まーさ
間違った叱り方や対応
嘘を問い詰める
「嘘ついちゃダメって言ってるでしょ!なんで嘘ついたの!は言いがちです……。大人はこの言葉に「嘘をついてしまう特別な背景があったのか?」という問いかけがあるとわかりますが、子供には理解できません。
言葉通りに捉えると、ママに叱られるのが嫌だったからなんですが、そんなことを子供が言う発想はないため、一方的に責められているようにしか感じないでしょう。
嘘自体が悪いことだと教える
自分自身に対するものも含めて、人は誰でも嘘をつくものです。そのため、嘘をつくことすべてが悪いこととは言えません。嘘の種類には、思いやりの嘘や気を使った嘘もあります。
そのため、子供を叱る場合は、まずは子供がしてしまったことを解決してから、「◯◯のときは、ごまかさないで正直に話してね。」と、子供の中で判断基準が育つように導かなければいけません。
とにかく子供に謝らせる
子供が嘘をついたことに対して、「嘘をついてごめんなさい。」の強要もやってしまいがちです。
嘘をつくきっかけになった出来事が解決したら、あとは「◯◯のときは、ごまかさないで正直にお話してね。」と教えてあげれば良いだけです。
この「とにかく子供に謝らせる(謝罪の強制)」ことは、嘘をついたかどうかに限らず、子供を叱る時にやってはいけないことですね。
叱るときに注意すること
子供の嘘にフォーカスしない
子供がイタズラをして、叱られたときに嘘をついたとします。嘘を見破ったママは、「なんで嘘つくの!嘘つく子は嫌い!」と嘘をついたことを叱っていないでしょうか。
でも、よく考えてください。最初に子供を叱ったのは嘘をついたからではありません。ママは子供が嘘を付いたことは一旦置いて、まずは本来叱るべき内容にフォーカスをあてましょう。
嘘ではなく悪い行動に対してビシっと叱る
子供がごまかすために嘘をつくのは、良いことではありません。ただ、嘘をついてごまかそうとするということは、自分が悪いことをした自覚があります。
そのため、嘘をつくきっかけになった「イタズラ」や「人に迷惑をかけた行動」をビシっと叱ることが大切です。
悪いことをしてしまった理由を聞く
子供が「イタズラ」や「人に迷惑をかけた行動」に対して謝った場合は、その出来事をもっと詳しく聞いてみましょう。
たとえば、お友達のおもちゃを壊してしまった場合、誰が、何をして、どういう風に壊れてしまったのか、そしてその時に何を思ったかなどです。
話を聞いていると、子供がどこに罪悪感を感じているのか、どうして嘘をつくことになったのかがわかります。これは、子供にそうなった経緯を理解させるためにも必要です。
話の流れの中で嘘を訂正する
子供が話した内容の要点をママがまとめたら、「じゃあ、さっきはママに叱られたくなくて、ついごまかしちゃったんだね?」と、同意を得る質問をします。
子供が頑なに嘘を認めないのは、「イタズラ」や「人に迷惑をかけた行動」がバレたら叱られる、もしくはママが悲しむと思っているからです。
そのため、全てが明らかになった後であれば、ごまかすために嘘をついたことを認めるのはそれほど難しくありません。
嘘を認めた時は褒める
基本中の基本ですが、子供が嘘を認めた場合は褒めます。ごまかさずに正直に話をすることが良いことだと学習させるためです。
もちろん、子供がしてしまった悪いことを解決した後に、「ちゃんと正直に言えたね。えらいね。これからも嘘をつかずに話してね。」などの言葉をかけて、ギュッと抱きしめてあげてください。
これは通常小学校低学年くらいまで、高学年でも言葉を変えれば同じように接することはできるはずです。
子供が嘘をつきやすい環境を作らない
子供が嘘をついたことを頭ごなしに叱ったり、謝ることを強要すると、本来叱るべき「イタズラ」や「人に迷惑をかけた行動」に対する反省がボケてしまいます。
そのため、子供は何度も同じ過ちを繰り返し、結果的にまたごまかすための嘘をついてしまいます……。
そして、子供が嘘に慣れてしまうと、どういう嘘ならバレないのか、どういうときの嘘なら問題ないのかを考えるようになってしまいます。子供が嘘をつきやすい環境は、残念ながら親が作ってしまっているんです。
1.親に嫌われたくないから
2.親のマネをするから
3.相手に認めてもらいたいから
4.親を悲しませたくないから
5.嘘が悪いと感じなくなるから
わたしたちは、子供が嘘を付した時に追い込んで誤らせるのではなく、嘘をついた原因を解決してあげなければいけません。
そして、本当のことをごまかさずに話すことができれば、そもそも嘘をついて嫌な気持ちにならなくてすむことを子供に理解させましょう。
私たち大人は、日々心の中で嘘をついているにもかかわらず、子供が嘘をつくことを過剰に嫌います。
なぜなら私たちは、人を騙したり、相手を陥れることが、「嘘をつく」ことだと認識しているからです。また、子供が純粋で素直な存在だと思い込んでいるので、ちょっとした嘘も許せないんです。
でも、ママは頭ごなしに「嘘をついちゃダメ!」と言うのではなく、子供がどんな理由で嘘をついているか見極めましょう。前述した「子供が嘘をつく理由」を見ると分かる通り、子供が嘘をつくきっかけの多くは親との関係性によるものです。
そのため、嘘をついた理由を理解できれば、きっと優しくフォローできるはずです。
ちなみに、早い子は2歳から嘘をつき始めますが、脳科学的に見ると頭が良い証拠だそうです。そのため、もし子供が初めて嘘をついたら、「嘘をついちゃダメ!」の前に「嘘をついた!頭の良い子だ。」と思うようにしましょう。
さて、冒頭の事件ですが、まず泣いている娘を片膝に乗せ、息子を抱き寄せて、このように話しました。
「ママは◯◯が突き飛ばしたのを見てたけど、何をされたからそんなに怒っちゃったの?」
ひとまず息子が嘘をついたことはスルーして、ケンカになった原因を息子の口から言わせます。
私「じゃあ、つい怒って◯◯を突き飛ばしちゃったんだね?」
息「うん……だって◯ちゃんが~~~~」
息子が嘘を訂正したため、まずは突き飛ばしたことがいけないことだと教え、その後に理由を言えたことを褒めました。以下の流れの通りです。そして、娘の方も同様の対応です。
ただ、息子も娘も頑なにごまかし続けることもあります。もちろん、優しく理由も聞いた上でフォローしますが、嘘をつき続けると、状況証拠で大きな雷を落とさざるを得ません。
大きな雷を落とすのは夫の役目なのですが、そんな夫はいつも自己嫌悪で凹んでいます。
子供がつく嘘なんて可愛いものです。子供の嘘を見抜けない大人はいません。しかも自分の子供ならなおさらですよね。
もし、子供がイタズラなどをごまかすために嘘をついた場合、理由はどうあれ自分が悪いことをした、叱られることをしたと理解できています。そのため、嘘をついている子供の心臓はバクバクです。
嘘をついている子はなかなか目を合わせてくれませんし、何も話してくれなかったり、言っていることが曖昧だったり……。というわけで、恐らく数秒で嘘だとわかります。
ただし、親は子供が嘘をついたとわかってからの対応がとても大切なんです。
大人は嘘をつくことを問答無用で「悪いことだー!」と考えてるかもしれませんが、子供にはまだそんな認識はありません。
そのため、子供が嘘をついた時の対処方法を間違えてしまうと、子供の心に傷を残してしまうかもしれません。