まーさ
どれだけ子供が欲しくても、なかなか妊娠できない夫婦がいます。一方、何の気なしの性交で望まない妊娠をするカップルもいます。
妊娠しやすい・妊娠しにくいは、個人差だけじゃなく年齢や環境などいろんな確率で決まるものなので望み通りにはいかないものです。
Human Reproductionに掲載された統計学者デイビット・ダンソン(David B. Dunson)のレポートによると、排卵日周辺の性交による妊娠率は以下のようになります。
6日前 | 5日前 | 4日前 | 3日前 | 2日前 | 1日前 | 排卵日 | 1日後 | |
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19-26歳 | 3% | 8% | 25% | 28% | 53% | 30% | 10% | 2% |
27-29歳 | 3% | 8% | 20% | 22% | 40% | 25% | 8% | 2% |
30-34歳 | 3% | 8% | 20% | 22% | 33% | 25% | 10% | 2% |
35-39歳 | 3% | 6% | 15% | 18% | 27% | 20% | 8% | 2% |
では妊娠はどうなれば確定するんでしょうか。今回は医師が妊娠を確定する条件ついてお話します。
妊娠とは受精卵の着床のこと
まーさ
妊娠とは胎生(母体内で胎児を育てる)動物において、女性(雌)の胎内で受精卵が子宮内膜に着床してから出産、または流産に至るまでの状態を言います。
妊娠が始まる流れ
妊娠が成立するまでの過程を簡単に書くと次のようになります。
- 卵巣から卵子が排卵される
- 性交によって精子が膣から進入する
- 卵子と精子が卵管(輸卵管)で受精し受精卵になる
- 受精卵が卵管内で成長しながら子宮に向かう
- 受精卵が子宮内膜に着床する
受精卵が子宮内膜に着床すると妊娠が始まり、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)が分泌されて、胎盤などの形成が始まります。
そして尿に含まれるhCGに反応した妊娠検査薬が陽性になり、妊娠が発覚します。
ところが病院で妊娠検査をすると、hCGの陽性反応、受精卵の着床だけでは妊娠だと診断されません。まだ妊娠継続が確定とは言えないためです。
妊娠の継続が確定する3つの条件
まーさ
女性が妊娠を確認する方法は国によって変わりますが、わたしが認識している日本人が「妊娠した。」と確信する流れは以下のものです。
- パートナーと性交渉後、次の生理が来ないため妊娠を予感する
- 妊娠検査薬を使用して陽性反応が出る
- 病院に行き、妊娠検査を行ったところ妊娠と診断される
ただし妊娠検査で妊娠確定と診断されるには、医師が3つの状態を確認する必要があります。それは、「胎嚢」「胎芽」「心拍」の確認です。
胎嚢
胎嚢とは、胎児が子宮内で入る袋のことです。受精卵が子宮内膜に着床すると、胎嚢を作り始めます。
胎嚢が作られていれば妊娠5-6週には確認できます(25mm程度)。そのため、妊娠6週を過ぎても子宮内に胎嚢が確認できない場合は、異常が起こっている可能性があります。
胎嚢が確認された、または子宮内容除去術により受胎産物を認められたものを「
妊娠の成立,およびその異常|日本産科婦人科学会
胎芽
胎芽とは、胎嚢の中にできる4-8mm程度の小さな輪状の物質で、妊娠6週ごろには確認できるようになります。
胎芽は妊娠8週に入ると、胎児と呼ばれます。このころには頭、胴体、手足が作られていて、よく見ると人の形に見える様になります。
心拍
妊娠7-8週には胎児の心拍も確認できます。心拍が確認できると胎児は生きてることになり、医師の診断として妊娠の継続が確定します。
また後妊娠7-10週ごろには出産予定日がわかり、ようやく母子手帳をもらいに行けるようになります。
医師によって妊娠継続のニュアンスが変わる
妊娠は受精卵が子宮内膜に着床することですが、そこから妊娠が継続するかどうかは胎嚢や胎芽が形成され、心拍が確認できるかという別のハードルがあるんです。
ちなみに受精卵が子宮内膜に着床しても安定せず、胎児に成長しないまま妊娠が中断することを「化学流産」と言い、一定の割合で誰にでも起こります。
化学流産だと妊娠検査薬で陽性が出ることもあります。そのため病院で妊娠検査を行うと、「一時的に着床したかもしれませんが、残念ながら……。」という診断になります。
他にも妊娠検査薬を使った場合に1%以下の確率で誤反応が生じる擬陽性・擬陰性もあるので、病院で医師から妊娠を告げられて初めて安心できると考えた方がいいですね。
ただし尿中hCGの検出で妊娠、胎嚢・胎芽・心拍の確認で妊娠、妊娠8-9週に突入したなど医師の判断で妊娠を告げるタイミングは変わります。
もちろん妊娠という言葉を聞いて嬉しくなる人は多いと思いますが、妊娠が確定するまでは心を穏やかに経過を待ちましょう。