「うちの子、嫌いな食べ物多いんですよぉ。どうしたら好き嫌いなくせますか?」と園児のママからの相談。子供の好き嫌いが多いのはママの悩みの1つですよね。
ただこの質問をされると回答に困ります。わたしは子供の好き嫌いはある程度は仕方ないと考えていて、嫌いなものは無理に食べさせない考えだからです。
それでも「子供の好き嫌いや偏食はなくしたい!」「家族揃って同じものを美味しく食べたい!」と思う気持ちもあります。
ただ同じ食べ物を食卓に出し、同じように育てている兄弟・姉妹でも食べ物の好き嫌いは分かれますよね。
- お家では食べないのに、外食をすると食べる……
- 夫の前では食べるのに、わたしの前では食べない……
- 園では「きれいに食べました」と報告をもらうのに……
など、子供の食べ物の好みはわからないことだらけです。子供が環境や気分で食べ物の好みや食べ方に偏りができるのはなぜなんでしょうか。
この記事を読めば子供に嫌いな食べ物が多い理由、どうすれば嫌いな食べ物を減らせるかがわかります。家族で楽しい食卓を囲むためにも、ぜひ最後まで読んでください。
目次
子供の偏食・嫌いな食べ物が多い理由
まーさ
大人に比べて子供に偏食や嫌いな食べ物が多いのはちゃんと理由があります。
遺伝や先天的な味覚
嫌いな食べ物が多い原因、偏食が多い理由は遺伝や先天的な味覚が関係します。
先天的な味覚の役割が影響する
人は舌に味蕾という味を感じる器官があり、旨味、甘味、塩味、酸味、苦味を感じます。そして5つの味覚は以下のように認識されています。
甘味|糖
塩味|ミネラル
酸味|腐敗物
苦味|毒物
味覚の認識でわかる通り自然界では酸味は腐ったもの、苦味は毒物という認識なので、本能的に飲み込まないよう脳が信号を出します。
そのため子供が嫌いなピーマンなど「苦味」がある野菜、「酸味」があるトマトなどは初めは食べられません。ちなみに「辛味」は味覚ではなく痛覚です。
味覚と嚥下(2010/03) | JSDNNM|日本神経筋疾患摂食・嚥下・栄養研究会公式ホームページ
子供の味蕾の数が影響する
「ゴーヤは苦くて食べられないけど、ピーマンは大丈夫。」という人がいますが、苦味の強さは人によって感じ方が違います。そもそも大人よりも子供の方が味覚は敏感です。
味蕾は生後3ヶ月までが最も多く1.2万個ほどですが、大人になると徐々に減って7000個ほどです。味蕾が多いほど味に敏感なので、子供は苦味や酸味、甘味を強く感じます。
そのため大人はピーマンを苦く感じませんが、子供は苦く感じて食べられないんです。
妊婦の食事が影響する
子供の食べ物の好き嫌いは、親の遺伝や妊娠中の食事が関係する可能性があります。
母親が妊娠中も出産後もニンジンジュースを飲んだ場合、母親が出産後にニンジンジュースを飲んだ場合、妊娠中も出産後もニンジンジュースを飲まなかった場合、それぞれの条件で育てられた赤ちゃんの中で、最もニンジン嫌いが少なかったのが、母親が妊娠中からニンジンジュースを飲んでいた場合であるとの結果が確認されています。
上記はモネル化学感覚研究所のMennella博士が行った実験で、他にも妊婦の食べ物と子供の好き嫌いの相関性を調べているので、詳細は以下を参考にしてください。
羊水の匂いから赤ちゃんの食の好みが決まる?|健康・医療情報でQOLを高める~ヘルスプレス/HEALTH PRESS
毎日の食生活
子供に偏食・嫌いな食べ物が多い原因の1つは、普段の食事の経験が関係します。
食卓に並ぶ食べ物の影響
どこの家庭でもそうですが、ママが嫌いな食べ物は食卓に出てきません(^_^;)
子供は3歳で味の好みがある程度決まると言いますが、それは食の経験で決まります。つまり食べ慣れてないものは嫌いになる可能性があり、ママの好みのせいかもしれません。
大人から受ける食の印象
大人が「わたしはあれきらい、理由は○○だから。」など子供に具体的な印象を与えると、子供の記憶にはその食べ物の嫌いな部分が残ります。
食の経験が浅く、味の好みが固まってない子供のうちに食べ物の悪い印象を知ると、子供の好き嫌いに影響を与える場合があります。
食べにくさの影響
子供は食べにくい食べ物を嫌いになる傾向があります。大きくカットされて食べにくい野菜、食べるのに手間がかかる魚、固くて噛み切れない肉など、味が好みでも食べることを避けてしまいがちです。
食べることを避けると、その食べ物を嫌いになってしまいます。
食事以外の生活や環境
子供に好き嫌いがある原因の1つは、食事以外の生活や環境が関係しています。
叱られたトラウマ
子供がママの作った料理を食べないことに悪気はありません。「せっかくママが作った料理だから。」という発想もありません。
そのため「何で食べないの!全部食べなさい!」と突然叱っても、子供はわけがわかりません。この叱られたショックと食べ物が結びついて、好き嫌いの原因になります。
味覚嫌悪学習
良い食の経験は子供とって大切です。食の経験が少ない子供は、食と悪い経験が結びついて嫌いな食べ物ができてしまいます。これを「後天的な
大人も「豚肉が生焼けでおなかを壊した。」「生牡蠣で食中毒になった。」など、食と嫌な経験が結びついて食べ物を嫌いになります。
同じように「魚の小骨が喉にひっかかった。」「にんじんに虫がついていた。」などのちょっとしたことでも、子供はその食べ物を嫌いになるかもしれません。
子供の偏食・好き嫌いがない方が良い理由
まーさ
子供の偏食・好き嫌いの原因がわかると、「子供が食べられないから叱る」という発想にはならないはずです。ただそれは結果論で、子供の偏食の改善は今後の子供の人生にとても有益です。
偏食で健康を害さないため
肉、野菜、魚、豆類など、必要な栄養素を考慮したバランスの良い食事は、子供の健康的な成長を助けてくれます。
もちろん少々の偏食でも健康的に育つ子はいますし、サッカー元日本代表の中田英寿選手、野球のイチロー選手など偏食のプロスポーツ選手もいます。
でもバランスが取れた食事の方が健康を害さない確率が少しでも高いなら、ママは子供のために好き嫌い・偏食を改善したいと思うはずです。
食を通じたコミュニケーションのため
人は、食を通じたコミュニケーションをとります。子供でも、「友達の○○ちゃんの家にお呼ばれした。」「友達とキャンプでバーベキューをする。」などがありますね。
食を通じたコミュニケーションの場では、好き嫌いが多いとコミュニケーションが取りづらくなります。子供に良い機会を増やすためにも、好きな食べ物を増やしましょう。
食で一生喜びを感じられるため
楽しい食事、美味しい食事をすることで幸せを感じる瞬間は何度もあります。食は一生続くものなので、好きな食べ物が多いほど幸せを感じる回数は増えますよね。
そう考えると子供の嫌いな食べ物はなるべく減らして、一生でたくさんの幸せを感じてもらいたいですよね。
子供の好き嫌い・偏食をなくす方法と考え方
まーさ
子供の偏食や嫌いな食べ物をできるだけなくしたいなら、いろんなアプローチが必要です。
好き嫌い・偏食をなくす前の準備をする
本当に嫌いな食べ物か聞く
子供になぜその食べ物を食べないのか聞いてみてください。
まーさ
食べるのが遅かったり、食事中にダラダラするのは嫌いだからじゃなく、集中力が続かなかったり満腹で食べられない可能性があります。
子供は満腹でも「いらない」「食べたくない」と言うので、ママは嫌いな食べ物だと勘違いします。でも食べない理由がわかれば、対応も変わりますよね。
食べられない=悪いことと教えない
子供には、食べられない=悪いことと教えないでください。食べ物は慣れや環境の変化で好みが変わります。
子供は叱られるのが嫌で無理やり食べているかもしれません。そんな嫌な食の体験をすると、その食べ物が余計に嫌いになる可能性があります。
食物アレルギーを疑う
食物アレルギーがあると痒み、じんましん、くしゃみなどの反応がありますが、症状が軽いと気付かずにアレルゲンを摂取し続ける恐れもあります。
わたしは子供のころ茄子を食べると口の中が痒くなるので嫌いでした。ただ当時は口の中が痒いと言わず、「まずい」「食べられない」と言ってました。
これは今思うとアレルギーの可能性があり、本来は医師の指導が必要です。そのため子供が嫌いな食べ物は、食物アレルギーの可能性も疑ってください。
嫌いな食べ物を克服する工夫をする
嫌いになる前に種類・味付けを変える
ピーマンが嫌いな子は、「嫌い」と認識する前に「美味しくない」→「食べたくない」→「嫌い!」と考えます。一度「嫌い」と認識すると頑なに食べません。
そのため「この子はピーマン食べたくないのかな?」と感じたら、「おなかいっぱいならママが食べるね。」と子供が「嫌い!」を認識する前に下げましょう。
次にピーマンを出す場合は同じ料理じゃなく、違う種類・味付けのピーマン料理を作りましょう。子供にはいろんな種類、味付けの食べ物を経験させることが大切です。
とにかくちょっとずつ食べさせる
好き嫌いが激しい原因の1つは食べ物に慣れてないためです。とくに食事を始めたばかりの1-2歳は、酸っぱい食べ物や苦い食べ物が苦手です。
ただし美味しくないと思った苦いピーマン、酸っぱい梅干しは何度も食べるうちに安全だと認識し、「食べちゃダメ→食べられる→好きかも」と変わることもあります。
食べやすさに注意する
子供は大人よりアゴが弱く、硬い食べ物を噛みきれません。一口が大きな食材や熱い料理も食べにくいと感じます。
よく噛んで顎を鍛えることは大切ですが、食べにくい料理は好き嫌いが激しくなります。そのため子供が食べやすいものから、徐々に大人が食べるものに近づけましょう。
匂いを消す調理をする
嫌いな食べ物は、味だじゃなく匂いにも苦手意識があります。そのため子供はその食べ物の匂いを嗅いだだけで気持ち悪くなり、食欲がなくなります。
そこで匂いが強い食べ物は、匂いを消す調理方法で食べられる工夫をしてください。匂いを消せば食べられるとわかれば、苦手意識もなくなる可能性があります。
甘い食べ物や味の濃い食べ物を控える
味覚形成時期に、濃い味や甘い食べ物に慣れると酸味や苦味が苦手になります。とくに3歳未満の子がインスタント食品やアイス、チョコなどを食べ過ぎると偏食が強くなります。
あまり味が濃いものばかり与えないで、 3歳までに多くの味に慣れさせましょう。そもそもショ糖を含む甘い食べ物は虫歯の原因なので、甘さは控えめの方がいいですよ。
お腹がいっぱいにならない調整をする
水分を摂りすぎていないか確認する
食べ物以外で幼児に必要な1日の水分は、体重×100mlほど。体重15kgの子は1.5リットルの水分でいいんです。ところが食事中に必要以上の水分を摂取をする子がいます。
食事中の水分は満腹になるだけじゃなく、水分で食べ物を流し込む癖がついて咀嚼回数が減ります。
咀嚼回数が減ると噛む回数が減ったり、唾液でプラ-クを落とす効果が減って口内の自浄作用が低下したり、唾液腺が発達せず口内が乾燥して虫歯の原因にもなります。
満腹感はおやつでコントロール
子供は体調や気分でおなかの空き具合が変わります。子供の満腹感で食事がすすまない場合は、おやつの時間や量を調整しましょう。
「おやつはダメ!」という家庭もありますが、3歳以下の子はご飯だけだと食べる量や栄養にムラができるので、おやつで調整する方が良い場合があります。
その日の食事量を見ておやつの時間を少し早めたり、量を少なくして、おやつで子供の満腹感をコントロールしましょう。
食事中の環境を整える・雰囲気を作る
食事のときはテレビを消す
子供は「ながら食べ」ができません。テレビが付いてると手や口を動かせなくなり、集中力が切れて食事がダラダラします。食べ始めて20分経つと満腹中枢が刺激され、十分な量が食べられなくなります。
1-2歳ならママと向かい合ってコミュニケーションを取りながら食事し、3歳以上ではテレビを消して食事に集中しやすい環境を整えましょう。
食事中にコミュニケーションをとる
「食事のときは喋っちゃいけない」という家庭もあると思います。家庭の教育方針は尊重するとして、個人的には楽しく話しながらの食事をおすすめします。
子供は食事中のコミュニケーションで、食事を楽しいことだと認識します。食事が楽しいと感じれば、良い食の体験が増えて偏食が少なくなる可能性があります。
ただおしゃべりに夢中になる子もいるので、食事とのバランスには気を付けましょう。
食に遊びの要素を入れる
ただ会話するだけじゃなく、手や口が止まった子供に楽しく食べさせることも偏食をなくし、食事のリズムを作る有効な方法です。
よくあるのは、「ごはんが◯ちゃんのお口トンネルとおりまーす。」と言ってぱくっと食べさせるなどです。これは3-4歳までは通用する方法です。
ただし3-4歳はすでに保育園など集団生活が始まってる時期なので、食べさせることが当たり前にならないようにしましょう。
とにかく褒めまくる
まーさ
みーこ
まーさ
食事に限らず褒めるのは鉄板ですね。3歳ごろまでは子供を褒めて気分を良くして、調子に乗らせることが一番効果があるんですよねぇ(^_^;)
好き嫌い・偏食をなくす食の体験を作る
食べ物の種類や名前を覚えさせる
人は多く見たり触れたものを好きになります。名前や形を知ってるだけで嫌いな感情が薄れます(単純接触効果)。そのため、買い物は子供といっしょに行きましょう。
「にんじんとピーマンとって。」「このお魚おっきいねぇ。」「一番美味しそうなトマト選んで。」など会話しながら食材に触れる機会を増やすと苦手な意識を和らげられます。
いっしょに料理をする
子供が2-3歳になると、「○○もやるー。」と料理をしたがります。まぁおとなしくテレビを見ててくれる方が楽なんですが、料理を手伝わせると食の興味が高まります。
自分が作った料理は、嫌いな食べ物が入っていても「○○がつくった肉じゃがおいしいね(じゃがいも洗っただけ)。」と積極的に食べてくれます。
子供用調理器具セットを使うと、テンション爆上がりです。こねる、かき混ぜるは2歳でも問題なし。3歳ならピーラーで皮むき、卵割り、4-5歳だと野菜のカットもできます。
良い食の経験を作る
食の経験が少ない子は、食事のイメージで好き嫌いが変わります。子供が食事に良いイメージを持つほど、嫌いな食べ物が少なくなります。
先程話した後天的な味覚嫌悪学習とは逆で、「おばあちゃんの味噌汁が忘れられない。」など、食と良い経験が結びついて食べ物を好きになることを「後天的な味覚嗜好学習」と言います。
子供に好き嫌い・偏食があることは当たり前
子供の好き嫌い・偏食をなくすために工夫するのは面倒ですよね。
ただ食事は生きてる限り続くものですし、健康や人格形成にも影響します。そのため、嫌いな食べ物がい方が良いのは言うまでもないです。
でも何より大切なことは、食事に楽しさを感じることです。食事が楽しければ、毎日が楽しくなります。好き嫌いや偏食がないことは、楽しい食事の1つの要素でしかないです。
反対に嫌いな食べ物を無理やり食べさせてはいけません。毎日が楽しくなくなりますし、嫌いな食べ物を無理やり食べさせられて好きになった人はほとんどないはずです。
ママは子供の好き嫌いで悩むよりもいろんな種類・味付けの食べ物を食べさせて、徹底的に好きな食べ物と嫌いな食べ物を理解しましょう。
子供の好き嫌いを理解をしたうえで、家族で楽しく食卓を囲むために嫌いな食べ物を減らす工夫をすることが大切です。
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