まーさ
普通「泣く」というのは涙が流れることですよね。わたしたちは感情が動くと涙が自然に出ます。大人の感覚だと、涙が出てないのは嘘泣きのように感じます。
ところが生まれたばかりの赤ちゃんは泣き声だけ大きくても、あんまり涙が出ません。でもこれにはちゃんと理由があるんです。
- なんで新生児って涙が出ないの?悲しくて涙とか出ないの?
- しっかり涙が出るのっていつくらいからなの?
- うちの子新生児なのに涙出てるんだけどこれって……?
赤ちゃんの涙についてこんな疑問がある人はこの記事を最後まで読んでください。人が涙を流す理由や涙の役割を理解できると、赤ちゃんの涙で成長がわかって楽しいですよ。
今回は新生児に涙が出ない理由・涙が出る理由についてお話しますね。
目次
人の目から涙が出る理由と仕組み
まず人がなぜ涙が出るのか仕組みを押さえましょう。涙は目尻の上にある「涙腺」から流れ出て、目頭の上下にある「涙点」に流れ込みます。
- a.
涙腺 - b.
上涙点 - c.
上涙小管 - d.
涙嚢 - e.
下涙点 - f.
下涙小管 - g.
鼻涙管
涙腺から涙が出る理由は3つあります。ただし、生まれたときからこの3つの理由で涙が流れるわけじゃないんです。
保護による涙
目は常に涙で潤ってます。これは基礎分泌と呼ばれ、角膜を乾燥から守るだけでなく涙に含まれる抗菌成分(リゾチーム)で目を細菌から守っています。
反射による涙
目にゴミや砂などが入ったり、目に何かがぶつかるなどの刺激を受けると異物を洗い流す反射として涙が流れます。
感情による涙
感情で流す涙は科学的に解明されませんが、涙は表情を使ったコミュニケーションの1つだと言われてます。悲しいときや嬉しさを感じたときに涙が流れます。
新生児はなんで涙が出ないの?
まーさ
新生児の涙は主に保護による涙です。まだ反射や感情の涙は流れません。
涙を作る機能がまだ未熟だから
新生児が泣いても涙があまり出ない理由は、涙を作る機能が未熟で必要最低限の量の涙しか作れないためです。
涙は目尻の上の涙腺で作られ、眼球を覆うことで目を保護します。新生児は主に目の保護のために必要な涙が作られますが、眼球を覆う涙の量は大人より多いそうです。
眼球を覆う涙の量が多いので新生児は目にゴミが入っても痛みや違和感を感じにくく、違和感を感じないため大量の涙を流すこともありません。
感情を伝える神経系が未発達だから
もう1つの理由は、新生児は感情の情報を伝える神経系が十分に発達していないためです。
人間は自身に起きた状況を脳の扁桃体で快・不快の評価をして、感情を作ります。「不快」の感情で交感神経が優位になると、涙腺が刺激されて涙が分泌されます。
新生児が扁桃体で快・不快を評価して感情を伝達できるのは生後3-4ヶ月からなので、悲しい・寂しい・悔しいなどの感情が涙腺を刺激するのはもう少し後です。
というわけで、新生児の涙が出る理由の多くは目の保護のためです。涙によって角膜や目の機能を守っているんです。
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赤ちゃんが涙を流すのはいつから?
まーさ
赤ちゃんが反射や感情で涙を流し始めるのは、生後3-4ヶ月ごろからと言われます。
まず目に刺激を受けた反射で涙を流しますが、次第に感情で涙を流すようになります。感情で涙を流すのは、感情情報を伝える神経系が発達するからです。
発達心理学者のマイケル・ルイス(Michael Lewis)氏は、人は生まれながらにして「苦痛」「満足」「興味」の感情を持っていて、生後3ヶ月を過ぎると「満足」から「喜び」の感情が生まれ、「苦痛」から「悲しみ」と「嫌悪」の感情が生まれるとしています。
赤ちゃんは悲しみと嫌悪の感情で涙を流す
赤ちゃんは主に「悲しみ」と「嫌悪」の感情で涙を流します。「嫌悪」はわかりますね。おなかが空いたり、眠気を感じたり、おむつに違和感を感じるなどの不快感です。
もう1つの「悲しみ」とはママがいないことです。赤ちゃんは早い子で生後3-4ヶ月から愛着関係の対象者を認識し始め、生後5-6ヶ月には物の永続性を理解してママが存在することと存在しないことの違いも認識し始めます。
そのため赤ちゃんはママの存在を感じて安心し、ママがいなくなると存在しないことに不安を感じます。そしてママがいない不安で「悲しみ」を感じて涙を流します。
新生児なのに涙が出てるんだけど…
まーさ
新生児でも涙を流す子もいます。早い子は生後2週間でも涙がボロボロ出ます。
娘も新生児期から涙を流していました。涙以外に目やにも多く、目が開かないこともあったためガーゼで拭き取ることが日課でした。
ただ新生児の涙や目やにが過剰だったり、片目だけやたら涙が出る場合は「
先天性鼻涙管閉塞とは
先天性鼻涙管閉塞とは、涙腺から出た涙がのどに流れこむ際に通る「
先天性鼻涙管閉塞は先天性、蓄膿症や結膜炎などの後天性の原因があります。先天性だと新生児の10-15%に見られ、約90%が片目、約10%が両目に発症します。
先天性鼻涙管閉塞の症状
先天性鼻涙管閉塞の赤ちゃんは、鼻涙管が詰まって涙嚢に涙が溜まります。そして涙に細菌が繁殖すると目の周りやまつ毛に目やにが溜まり、目が開けにくくなります。
溜まった目やにを放置すると、細菌に感染して
先天性鼻涙管閉塞の治療
先天性鼻涙管閉塞は生後3ヶ月以内に70%、1年以内に90%以上が自然治癒しますが、数%の赤ちゃんは閉塞解消の根本的な治療が必要です。
涙嚢マッサージ
軽度の鼻涙管閉塞には、抗生物質入り点鼻薬と涙嚢マッサージを行います。涙嚢マッサージは、涙嚢が破けて細菌が目に広がる可能性もあるので専門医の指導が必要です。
マッサージ中に目やにが出たらガーゼなどで軽く拭き取り、マッサージ後は新生児用目薬をして清潔に保ちます。以下を見るとイメージできると思います。
鼻涙管開通手術
涙嚢マッサージで改善しない場合は、プジーという針金状の器具を通す鼻涙管開通手術を行います。その後シリコンチューブを涙点から挿入して2-3ヶ月経過観察します。
涙嚢鼻腔吻合術
手術後に再び鼻涙管が閉塞して慢性的な鼻涙管閉塞になった場合は、涙嚢と鼻腔の間の骨を削って鼻と涙嚢をつなげる
涙が出るようになると鼻水も出る
ちなみに赤ちゃんは涙が出るようになると、鼻水もダラダラ出るようになります。赤ちゃんが大泣きすると、涙と鼻水とよだれと汗で大変なことになりますよね(^_^;)
涙が出るようになると鼻水もダラダラ出る理由は、あれは鼻水じゃなく涙だからです。
鼻から涙が出るのは目と鼻が鼻涙管でつながってるからです。涙点に涙が流れると涙小管、涙嚢、鼻涙管を通って鼻から涙が出ます。鼻を通るので鼻水も混じりますが……。
これは大人も同じです。赤ちゃんも大人も大泣きすると鼻水が出るのは仕方ないんです。
というわけで、新生児は涙が出にくいけど個人差で涙が出る子もいるので、涙が出ないからおかしいと考える必要はありません。
ただしやけに涙や目やにが多い場合は鼻涙管閉塞の可能性もあります。こちらもほぼ心配する必要はないですが、異変を感じたら小児科に相談してください。
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